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週刊 お奨め本
2010年２月28日発行 第383号
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『猟犬』 深見真
￥1,600＋税 講談社 2009/9/18発行
ISBN978-4-06-215709-4
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本日のご紹介は、ハードボイルド小説。
主人公は警視庁捜査一課特殊班捜査、通称SITの第四係の呉内冴絵。
第四係の担当は他の部署では対応不可能な特異事件。
「第一章 感情捜査」
風俗嬢が連続して殺されるという事件が起きた。三人目の被害者が出て、SITに
出動命令がかかった。喉と股間周辺の肉を切り取り、近辺に遺棄する。派手な殺
し方の割には、証拠になるものがまったく残されていない。
冴絵はソープ嬢だった三人目の被害者の勤務先のソープランドで教育係だった岩
谷恭子と話して、風俗嬢に性病を移された男の犯行という仮説を立てた。その頃、
本部は風俗店のNG客、相良に注目していた。山谷で相良を発見、職務質問をし
たところ、いきなり拳銃を取り出し…。
> 「殺人を担当する刑事の捜査は、大雑把に二つのタイプに分類できる。被害者
> に感情移入するタイプと、加害者に感情移入するタイプだ。[…]そして呉内冴
> 絵は断然、加害者に感情移入するのがうまい」（10頁）
「第二章 攻性人格」
さいたま市の大型ショッピングモール内のシネコンに、アサルトライフルを持っ
た犯人が人質を取って立てこもった。
フルオートのアサルトライフルは、警官が採用している防弾ベストでは防げない。
閃光手榴弾を投げ込んでから突入したSTSとRATSは、立てこもり犯の銃撃に
次々と倒れていった。一方的に虐殺されるかに見えたとき、ひとりのRATS隊員
がMP5を連射した。犯人は死んだ。しかし同時に、RATS隊員の銃弾は人質を
も殺してしまった…。
一週間後。
ふたたび乱射事件が発生。今度は渋谷。前回の事件で面子をつぶしたと感じた
SATが突入作戦を開始、八人が死亡、犯人も死亡した。
第一の事件の犯人は、元警視庁SAT隊員、第二の事件の犯人は元陸上自衛官と身
元が判明。
国家の安全にかかわると判断され、公安とSITの共同捜査となった。
冴絵は犯人の資料の中にある戦闘シミュレータに注目する。プログラム名は
「S3（エスキューブ）」、作成したのはゲーム会社「ガジェット」の大酉光郁。
暴発寸前だったふたりの背を押して、スーサイド・バイ・コップ（警官による自
殺）に駆り立てたものは…。
> 「元陸自の精鋭が、ホームレス同然の生活か……」
> 自分を鍛えに鍛えて、国のために死ぬ覚悟で自衛隊に入った男が、納得できな
> い理由で退職させられていったときの不遇感といったらどれほどのものだっ
> たろうか。何をしでかしてもおかしくない状態だったろう――。（116頁）
> 「食料がない時期に危険を承知で大型の肉食獣と戦う。あるいは自分が所属し
> ている集団が別の集団と敵対したときに、積極的に殺しを行う。そんな人間が、
> どの集団にも数パーセント必要だった。[…]それが攻性人格の原点だ」（175頁）
第一章ではノーマル（？）な刑事事件だったのが、第二章ではがぜん大がかりな
陰謀が発生。展開の派手さ、ガンアクションの派手さ、キャラクタの派手さが相
俟って、読み応え充分。
キャラクタの派手さというのは、冴絵が同性愛者で、恋人は元風俗嬢で、女子高
生から言い寄られていて、というセクシャリティは脇に置いといても、筋骨たく
ましい鍛えられた肉体、歯に衣着せぬ物言い、高校時代にアマチュアピアニスト
だった冴絵のファンに襲われて指を切り落とされた事件という過去、等々。
「この女刑事には野生がある」という帯コピー（by今野敏）の通り、野生のカン
で事件を解決に導く。もちろん後追いで証拠を固めるんだけど、地道な捜査って
のがないなー。警察小説の割にはなー。普通の警察小説ではないってことです。
展開が強引ではあるのだけど、それを補うパワーがある。
深見真って私は本書で初めて名前を知ったんだけど、ライトノベル系で何冊も出
してる作家さんだったようですね。そして同性愛者頻出らしい。
これは要チェックの作家だわ。
楽しみな作家発見でちょっと嬉しい♪
☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆
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よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.htmlまぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。
週刊 お奨め本
2010年２月28日発行 第383号
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『猟犬』 深見真
￥1,600＋税 講談社 2009/9/18発行
ISBN978-4-06-215709-4
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本日のご紹介は、ハードボイルド小説。
主人公は警視庁捜査一課特殊班捜査、通称SITの第四係の呉内冴絵。
第四係の担当は他の部署では対応不可能な特異事件。
「第一章 感情捜査」
風俗嬢が連続して殺されるという事件が起きた。三人目の被害者が出て、SITに
出動命令がかかった。喉と股間周辺の肉を切り取り、近辺に遺棄する。派手な殺
し方の割には、証拠になるものがまったく残されていない。
冴絵はソープ嬢だった三人目の被害者の勤務先のソープランドで教育係だった岩
谷恭子と話して、風俗嬢に性病を移された男の犯行という仮説を立てた。その頃、
本部は風俗店のNG客、相良に注目していた。山谷で相良を発見、職務質問をし
たところ、いきなり拳銃を取り出し…。
> 「殺人を担当する刑事の捜査は、大雑把に二つのタイプに分類できる。被害者
> に感情移入するタイプと、加害者に感情移入するタイプだ。[…]そして呉内冴
> 絵は断然、加害者に感情移入するのがうまい」（10頁）
「第二章 攻性人格」
さいたま市の大型ショッピングモール内のシネコンに、アサルトライフルを持っ
た犯人が人質を取って立てこもった。
フルオートのアサルトライフルは、警官が採用している防弾ベストでは防げない。
閃光手榴弾を投げ込んでから突入したSTSとRATSは、立てこもり犯の銃撃に
次々と倒れていった。一方的に虐殺されるかに見えたとき、ひとりのRATS隊員
がMP5を連射した。犯人は死んだ。しかし同時に、RATS隊員の銃弾は人質を
も殺してしまった…。
一週間後。
ふたたび乱射事件が発生。今度は渋谷。前回の事件で面子をつぶしたと感じた
SATが突入作戦を開始、八人が死亡、犯人も死亡した。
第一の事件の犯人は、元警視庁SAT隊員、第二の事件の犯人は元陸上自衛官と身
元が判明。
国家の安全にかかわると判断され、公安とSITの共同捜査となった。
冴絵は犯人の資料の中にある戦闘シミュレータに注目する。プログラム名は
「S3（エスキューブ）」、作成したのはゲーム会社「ガジェット」の大酉光郁。
暴発寸前だったふたりの背を押して、スーサイド・バイ・コップ（警官による自
殺）に駆り立てたものは…。
> 「元陸自の精鋭が、ホームレス同然の生活か……」
> 自分を鍛えに鍛えて、国のために死ぬ覚悟で自衛隊に入った男が、納得できな
> い理由で退職させられていったときの不遇感といったらどれほどのものだっ
> たろうか。何をしでかしてもおかしくない状態だったろう――。（116頁）
> 「食料がない時期に危険を承知で大型の肉食獣と戦う。あるいは自分が所属し
> ている集団が別の集団と敵対したときに、積極的に殺しを行う。そんな人間が、
> どの集団にも数パーセント必要だった。[…]それが攻性人格の原点だ」（175頁）
第一章ではノーマル（？）な刑事事件だったのが、第二章ではがぜん大がかりな
陰謀が発生。展開の派手さ、ガンアクションの派手さ、キャラクタの派手さが相
俟って、読み応え充分。
キャラクタの派手さというのは、冴絵が同性愛者で、恋人は元風俗嬢で、女子高
生から言い寄られていて、というセクシャリティは脇に置いといても、筋骨たく
ましい鍛えられた肉体、歯に衣着せぬ物言い、高校時代にアマチュアピアニスト
だった冴絵のファンに襲われて指を切り落とされた事件という過去、等々。
「この女刑事には野生がある」という帯コピー（by今野敏）の通り、野生のカン
で事件を解決に導く。もちろん後追いで証拠を固めるんだけど、地道な捜査って
のがないなー。警察小説の割にはなー。普通の警察小説ではないってことです。
展開が強引ではあるのだけど、それを補うパワーがある。
深見真って私は本書で初めて名前を知ったんだけど、ライトノベル系で何冊も出
してる作家さんだったようですね。そして同性愛者頻出らしい。
これは要チェックの作家だわ。
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