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めでたきなっ☆

良い年した腐女子がこそこそ萌えを語る場所。
ときどき小説(笑)もうpするかもしれません。

【おめでとう!】新装版WILD ADAPTER 1巻発売!【ありがとう!】

2011-10-26 06:43:33 | 峰倉先生作品的な
新装版WILD ADAPTER1巻 発売おめでとうございます!

日付的には昨日になりますが、漸く本編を読み、特典のドラマCDを聞き終わりました。
時間もアレなんで、こちらにさらっと感想を書いてみようと思います。ツイッターで暴れるとネタバレになるしね…まあ10年以上前の作品のネタバレって…という感じではありますがww


さて。まず少し自分語りをさせて下さい。
10月25日。発売発表から、この日を心より待ち焦がれておりました。
しかしいざ当日になると緊張と興奮で震えて震えて…会いたくて会いたくて君を思うほど震えるという某歌姫の名曲はあながち間違いではないように思えますね。
そして、やっとの思いで事前に予約をしておいた地元のアニメイトに赴きました。
店内に入るのに1時間掛かりました。緊張で。正直自分でも引いています。
そしてとうとう手に入れた新装版WILD ADAPTER1巻!!!
見た瞬間死にましたね。いや公式サイトで表紙は確認してあったのですが、いざ眼の前にすると死にました。
しかも新刊の棚にズラァ…と久保田久保田久保田…これは破壊力が桁違いだぜ…
更にアニメイト特典のポストカード。これも死因です。なんですかこれは。
久保田にしては珍しいカジュアルな様相。ダボッとゆとりを持った袖。拳銃を無機質に放り投げるその掌と指先。特徴的にしっかりと描かれた鎖骨。繋がる首筋の奥から覗く束ねられた髪。煙草を咥え僅かに開かれた口元。しゅっと通った輪郭。フレームの重たそうな眼鏡の奥にハイライトの栄える瞳。芸術的質感を残す煙草の煙。適当さを残しつつも艶やかに描かれる前髪。
なにもかもが素晴らしい。これを間近で見て悶絶し死なない人間は正直居ない気がします。是非、まだ見ていない方は一見の前に遺書のご用意を。破壊力が抜群です。
今すぐにでも久保田を前に泣き喚き愛を叫びたい衝動を堪える。そんな苦行のような試練を乗り越えて、購入して参りました。

以下感想です。
感想は今まで言ってきたから、何を言えばいいのやら…シーン一つ一つ語りたいけど時間がよ…後日しっかり纏めますね。
なんか結果的に考察と論文のようになってしまったwwww


WILD ADAPTERを初めて知ったのは、2001年の冬のことでした。
初めて1巻を読んだ時の感動。それを再び感じることができました。
懐かしさと、新しさと、おかえり!という気持ち。また彼らに会うことができましたね。
1巻。峰倉先生風に言わさせて頂きますと「小宮編」。
この巻の久保田は、本当に不思議すぎて未知すぎて不明すぎて、もうどーしよーもねーなァ、としか言えません。
久保田誠人の、情、視野、欲、意思、心。どれもがふわふわとしていて、まさに「無」。
人間として大事な部分の欠損。そんな人物。
小宮編の久保田は、まさに真っ白な…というと綺麗なので、真っ黒なキャンバス。
黒に色を重ねていくという雰囲気。その下地の部分。
美しく、丁寧に、的確に表現していらっしゃる峰倉先生の手腕に感服致します。

主要人物は1巻で大方出てくるのですが、やはりこの巻のメインキャラクターは小宮。
1995年5月。久保田と小宮の出会い。そして、1996年1月。久保田と小宮の別れ。
小宮という少年には久保田はどう映っていたのか?と考えたことは多々ありますが、恐らくWAの作品の特性上、小宮の見ていた久保田とわたしたちの見ていた久保田は同じだったのではないでしょうか。
小宮が久保田に惹かれれば惹かれるほど、わたしたちも久保田に引きこまれていく。そして、散々わたしたちの感情を引っ張っていった小宮の突然の死。
ここで、すっぱり1巻すべてで植えつけてきたものを断ち切られる衝撃。
「生きて」
死の間際に小宮が言ったこの台詞こそが、今後のWAの軸になっていっているような気がします。
久保田が「生きて」いく物語。真っ黒なキャンバスに落とされ染みを作った最初の一滴。
折角のこの一滴も、ふと拾った運命に塗りつぶされていくんですが。それはまた2巻からのお話しですね。

1巻久保田の容姿。
これがまた可愛いなんてものではない。
中学生久保田は可愛いなんてものではないのですが、この1995年5月時点の久保田が可愛い。本当に可愛い。
後ろの髪が短くて前髪にボリュームがあるからか、幼さの残る貴重な可愛い久保田。
可愛いくせに、アツシを睨みつける双眸や、東条組代行を射抜いた時の眼差し。かっこいい。化物みたいだ。
やっぱり公園のシーンの笑顔は心臓が痛くなる。
これは小宮の表現が的確すぎて、キャラクターに自分を重ねても(感情的に)違和感なく読めるというのも凄い所。
小宮がきちんとストーリーテラーを勤めてくれるという、WAならではの魅力に気付ける名シーン。
絵柄については、峰倉先生「らしい」のはこの頃の方だと思います。
1990年代後期が、個人的に見慣れた絵柄ですので、敢えて「らしい」という表現を使わせて頂きました。
線が少し太くざらついていて、細めの頭身に描くかんじというか…それが1巻久保田の可愛さとかっこよさを表現するのにぴったりで大好きです。
もちろん、今現在お描きになられている絵柄も美しく聡明さが伝わってきて、先生にしか描けない魅力の塊です。
だんだんと物語の進みに沿って絵柄も変化なさるわけですが、その絵柄(容姿)の変化も彼らの成長と軌跡。
合わせて楽しめて、まさに久保時と共に歳をとっていくんだなあ…と実感させられますね。

さて。ドラマCDの方に。
「愛すべき七つの大罪 vol.1 強欲」
そう来ましたね。七つ、ということは1巻から6巻まで1枚ずつと、全サで1枚。計7枚のCDに収録されるということでしょうかね。
雰囲気は、今までのWAドラマCDのOPとEDに収録されていた彼らの「日常」そのものでした。
驚いたのが、目を閉じると久保時の部屋にいるような気持ちになれる音の存在感。
インターホンの音、雨の音、時任の声。久保田の声。
彼らの生活を覗いてしまったような背徳感…毎度のことながらたまらないです。

内容に関しては、なんというかもう、久保時でした。
久保田と時任のいつもでした。あーそうそう、コレ。ってなれるような。
期待を裏切らない。大幅に上回りもしない。そんな、普通の二人。大好きです。
久保田の「欲」。わたしたちから見れば、久保田の発言は全部「あー、そうだろうね。」ってなってしまいます。
このテーマを。この久保田を。この時任を。日常のヒトコマの中にすっぽりと当てはめてしまうシナリオ。
そして確かな幸福感と、久保田を思って少しの虚無感。天才ですね。
あー久保時。いつまでも久保時でいて欲しい。大好きです。

キャストトーク。
そっか!このCDが森川さんの久保田と石川さんの時任はじめての人がいるんだ!
と、純粋にびっくらこきました。そうだよね、いるんだよね…
一番最後に出てたCDはWILD ADAPTERの6ですかね。帰ってきた荒磯より前でしたよね。
…と思って調べたら、Sound Drama CD WILD ADAPTER 06 発売日は2008/8/27だそうです。
久保田の誕生日の3日後ですね。
わたしが情弱でなければ、WILD ADAPTERでの久保時はこれ以来なので約3年ぶり。
おかえりなさい!!お二方の久保時が大好きです。ずっと、ずっと大好きです。
出る杭を引っこ抜かなくても、わたしの久保時はお二方でしか有り得ないです。
楽しいキャストトークでした。最後までじっくり楽しめる素晴らしい1枚。

峰倉先生のこと。
久保田と時任が先生の中に産まれたのが、先生がまだ学生の頃だというのが驚きです。
公式サイトにもありましたが、「横断歩道ですれ違ってもたいして目を引かない風体」というイメージでキャラクターをお作りになられたと。
恐らく、久保時を産み出されたのは先生が十代だった頃のはず。
……信じられない。ちょっと意味が分からない。
峰倉先生の描かれる絵が好きです。語られる言葉の一節一節が好きです。キャラクターの心情の表し方が好きです。凄く影響されました。
わたしだけじゃない先生に影響されている方は凄く多い。絵柄も、塗りも、言葉遊びも。
峰倉先生の漫画が大好き。小説が大好き。作詞が大好き。世界が大好き。
峰倉先生が表現する「生」が大好きです。


早足になってしまったー!!もっと時間掛けてゆっくり書きたかったけど、そんなことよりすぐにこの気持ちをぶつけたかったwww
あー来月も楽しみですね!来月は最遊記外伝OVAも発売です。なんという峰倉先生マンスリー!!




【WA】久保田誠人に殺されたい。【おかしな妄想】

2011-10-17 21:48:18 | 峰倉先生作品的な
黒髪、長髪、眼鏡、長身、煙草、垂れ目。
黒いロングコートは彼が着るためだけに誂えられたのではないでしょうか。
彼の姿を見ているだけで両手を顎の下で組み肘を机上に置き、さながら碇ゲンドウのようなポーズで溜息を吐かざるを得ませんね。

諸君!!!!!!
わたしは久保田誠人が好きだ!!!!!!
わたしは久保田誠人が好きすぎて辛い!!!!!!!
わたしは久保田誠人を好きでいることにより人生が華やかだ!!!!!!!
わたしは久保田誠人に殺されたい!!!!!

そんな感情がぶわわっと。
なんかおかしい妄想がはじまりますので、死んだりとか殺したりとか苦手な方は注意をお願いいたします。






ここで予め注釈しておきたいのですが、わたしは久保田と付き合いたいとか時任が羨ましいとかそういう感情は一切持ちあわせてりません。久保田は正直二次元キャラもし付き合うならランキングワースト1です。ちなみにナンバー1は銀魂の近藤さんです。
そんな彼ですが本当に好きなんです実は二次元キャラで一番好きです。さらっと聞き流して下さい。恥ずかしい…
で、最初に↑でさらりと言っちゃいましたが、わたしそんな久保田に殺されたくて殺されたくて仕方ないんです。いやマジで。結構前からの将来の夢でした。登場キャラ×自分の絡みを想像し楽しむことを夢、即ちドリームなんて称されていますが、わたしは久保田に対してこの夢を見ています。
そんな風に久保田のことを見ている人がいたら是非語り合いたい。久保田に殺される方法について一晩でも二晩でも語り合いたい。久保田がどんな顔をしてどんな手でどんな格好でどんな目で自分を殺してくれるのか飲まず食わずで語り合いたい。その記念すべき日の時間や天気や場所や気温季節についても静かな個室で時間を忘れて語り合いたい。
でもわたしにはそんな友達が居ないので、一人で語ることにします。
結構気持ち悪いです。(わたしが) 閲覧注意。




なんでわたしが久保田に殺されたいか願望を抱いているかと言いますと、WILD ADAPTERで描かれる久保田誠人が一番格好良いシーンが「人を殺している」シーンだからだと個人的に考えるからです。
作中で何度か彼は人を殺めていますが、どれもこれもその瞬間の久保田が最大限に格好良い。言い換えれば、殺された人間は久保田の魅力を最大限に引き出しているということになる。
羨ましくて仕方がない。久保田が最大限に格好良いところを見ながら息絶えること。更には自分の犠牲によって久保田が更に魅力的になるだなんて、本当に羨ましい。
でももちろん作中で殺された幾人かのキャラクターになりたいとは思っていません。それが彼らの役割で、生涯で、魅力だから。それを奪う気はないしそんな権利も利益もない。
で、わたしが殺されたいと思う人間は「人を殺すことを抱え込まない人間」というのが絶対条件となります。例えば信念のしっかりした道徳的な人間は、誰かを殺すことが習慣となってしまっていたとしても、それを一つ一つ背負うでしょう。でも久保田はきっとそんなことはしない。そこが彼の良いところ。なので安心して殺されられます。わたしが殺された後、うじうじとそれを重く受け止めたりはしない。彼の責任になりたくないのです。

そんなこんなでわたしが殺される妄想に花が開きます。でも久保田って女(性別)を殺すのかなあ…と、考えたところ、まあ殺せなかないでしょうがアレなので一応男体化したいです。女(性別)を殺す久保田はそんなに見たくないから…
なので手順を追いますと、 わたし(という存在)が男体化(念のため)→久保田に殺される要因を作る(些細なことで構わないが、一番分かりやすいのが出雲会年少組の敵もしくはスパイ的なポジションに落ちぶれる)→殺される という風になります。
ここでわたしと称しているものはモブ中のモブで構わない。3コマしか映らないような。

さてここまで来ればもう理由はお分かりでしょう。
一番重要なのは、どのようにして久保田に殺されるかということです。
久保田がもしわたしを殺してくれるのであればそれはもう大きな満足ですが、更にわがままを付け足すとこうなります。
・できれば正面から。背後からだと顔が見えないから。
・わたしに興味を向ける(視線を投げる)のは殺す瞬間その一瞬で良い。それまではどこか遠いところに意識があると良い。
・わたしは醜く命乞いをしたい。許して下さいと騒ぐわたしの声は久保田にとって雑音でいい。
この3点は欲しい。ここで言っておきたいのはわたしは自殺願望もドM願望もありませんwwwただ久保田に殺されたいだけです。

で、理想のシチュエーションを幾つか考えてみた。
尚、これは全て久保田が時任と出会う前(出雲会所属期間)の出来事です。


1:王道パターン
わたしは年少組リーダーの久保田誠人の情報を敵組織である東条組に流そうとしたのが出雲会に発覚し、組織から追われる身となってしまう。
コソコソと逃げまわる後、夕方の河川敷の線路下で久保田に発見される。
わたしは久保田に殺されたくない一心で久保田を東条に誘う。が、久保田の意識は上の空。どこを見ているか分からないその眼光に恐怖を抱いたわたしは、殺されると思い全力で命乞い。
畏怖すべき存在の久保田に対し前のめりになるほど必死に、助けてくれ、もう出雲会に関わらないからと叫ぶわたしの頭上、タイミング悪く電車が通る。ガタンガタンとけたたましい音がダイレクトに響いてやっと久保田がこちらを見る。と同時に、久保田の手にある銃口もこちらを見た。
「ごめん、よく聞こえないんだ。」
わたしの主張も彼には届かず、軽く首を傾けた後に言うと、虚しく引き金が引かれ、弾丸が心臓を貫いて死亡。

2:他人を巻き込むパターン(王道パターン亜種)
わたしは出雲会支部長の真田の部屋に潜入し取引に重要なデータもしくは薬、武器などどれかを盗み逃げる。
外は昼にも関わらず曇天の広がる豪雨で、風が吹き荒んでいる。そんな中走って必死に逃げるわたし。盗み出した物を手に、ここを乗り切ればわたしには幹部の座が与えられると、不安と期待の入り交じった感情を抱いてひたすら走る。
と、入り組んだ路地裏で久保田に発見される。足元は微かに水の跳ね返りで濡れてはいるが、ずたぼろなわたしと違い息一つ乱しておらず、一人で傘の下平然と立っている。まるでわたしがそこに逃げてくることを分かっていたような。
久保田は綽々と携帯電話を取り出し、真田支部長に電話をかける。
「真田さん、例のなんとかさん、見付けましたよ。連れてった方が?」
「ああ、所持品だけでいいんですか。分かりました。」
これはヤバい。逃げようにも久保田誠人から逃げられる気がしない。そう確信したわたしは誠心誠意彼を説得する。ざあざあと降り注ぐ雨の中、届いていないかもしれないが。
金に目が眩んだんだ、もうしない。これは返す。だから…
そう言いかけた時、久保田の耳が受話器から離れる。
傘を肩に引っ掛けてもう片方の手で、その視線と黒い鉄の塊をこちらへ向けて、
「ちょっと静かにしてもらえる?」
真田支部長との会話の妨げになるからと、雨音の向こうに聞こえた雑音の音源を絶つために鉛玉が真っ直ぐ飛ばした。
身体が撃ち抜かれる衝撃を受け、膝から崩れ落ち、濡れた地面に倒れる。腹がじくじくと熱くなってきて、まずは視力が狭くなる。久保田誠人の顔は最期には見えず、わたしの手にある物を取るためだけに歩み寄った、濡れた足元だけが映る。聴力が失われる寸前に、「今から帰ります」と、真田支部長へ向けた声が聞こえ、わたしの意識は途絶えた。

3:自業自得パターン
わたしは今横浜で流行しているドラッグの出処を探って、中華街の片隅にある東湖畔という店を急襲する任務を担う。
元より良い噂も聞かない、きな臭く日の届かない「雑貨屋」。店主の噂も耳にしたことはあるが、どうも食えない人物らしい。
人気のない時間帯は、逆に昼間だった。普段から客らしい客の出入りは少ない店らしく、まさに白昼堂々突入した方が相手の油断を引き出せるとお上の方々は考えたらしい。
簡単な仕事になるだろうと、相棒を車に残し一人店に向かう。天高く登った夏の太陽が、威嚇用の拳銃に反射する。それをそのままスーツの内ポケットに仕舞いながら、涼しい車の中に残っていた方がどれだけ楽だったかと、早々に流れてきた額の汗を肩口で拭った。
東湖畔の前に立ち、扉を勢い良く蹴破る。髪の長い男が一人居るらしいとの情報があったが、意外にも中に居たのは二人だった。呑気に氷の入った麦茶なんか飲みつつ、突然の訪問者であるわたしを4つの目で見た。
わたしは先に伝えられていた用件を店主に言う前に、この邪魔な一般人を外へ追いやろうと考えた。わざとらしく内ポケットから黒い塊を取り出す。と、目標人物の前にだらりと座っていた眼鏡の男が面倒臭そうに己の項を掻いた。
「鵠さん、お客さんみたいだけど。心当たりあるんですか?」
空になった手元のグラスを傾けて、まるで近所の野良猫でも迷い込んできたかのような言い草で。
「ありすぎてどれだか分からないですね。ところで久保田くん、緊急でお願いしたいバイトがあるんですけれど」
目標の人物が、皮肉なほど煌びやかな黒髪を撫でながら言う。わたしは自分自身の存在が認識されていないかのような、白昼夢の中にいるかのような感覚を振り払うように大声をあげた。
「いいですよ。内容と、報酬は?」
「夏ですからね。うるさい蚊が入ってきたようです。退治したいんですが、店内が汚れるのも面倒なんで、出来れば屋外で。報酬は…そうですね、麦茶一杯でどうです?」
「随分足元見るんだからなあ。」
眼鏡の男がグラスを机上に置くと、氷同士がぶつかり合い涼しげな音を立てた。スッと、面倒臭そうに、しかし流れるように立ち上がると、わたしの腹部に鈍痛が走った。
蹴られたのだと、気付いた頃には道路に身体が放り出されていた。手にしていたはずの拳銃が、見た目の重量からは意外なほど見事に転がり、目の前の男の足元に辿り着く。それを拾い上げてから、仰向けに転がっていたわたしの腹を無駄に長い足が強く踏み付けてきた。
喉から呻き声のみが迫り上がってきて、同時に恐怖がわたしを支配する。声にならない代わりに、視線で訴えようとしてみたものの、その総ての原因を作り出しているこの男はこちらを見てはいなかった。
「ねえ、君。どこの人?」
有無を言わさぬ声音が上から降ってくると、少しだけ腹に掛かる重圧が和らぐ。しかし、多大な恐怖と、些細な忠誠心からその質問に答えることは出来なかった。代わりに、助けてくれと譫言ののように呟いた。何度も。それがいけなかったのかは知らないが、また内臓がつぶれそうなほどの圧迫感が押し寄せる。
「まあ、どうせ鵠さんの商品狙いでしょ。いいや。あっちの車の人に聞くから」
引き金に指が掛かる。漸くこちらを射抜いた瞳は暗く、その後ろから憎らしいほど高く昇った太陽がわたしを嗤っていた。焦燥感を煽ったが、最期の景色には勿体無いほど美しく。

(東湖畔付近で時任を攫ってったくらいなので、昼間でも人通りが少ない場所にあると予想。アバウトですみません)


4:1巻エレベーターかっこよすぎ亜種(妄想しすぎてやたら具体化)

※以下「どういう人物が久保田に殺されるに相応しいんだろう」と考えてみたところ産まれた人物がただ殺される誰も得をしない話です。

 * * *

人生は選択肢の連続だ。どれか一つ間違える度に、ペナルティとして厄介事が付与されるのが主な特徴である。
俺が最初に間違えた選択は、産まれる家庭だった。物心付く前に、両親というものに捨てられ孤児となった。幸い命ばかりは助かり、それなりの思想を掲げる愛護団体に拾われたものの、自分は所詮間違えてできた子供なんだろうと、いつまでも心の隅で思っていた。
次に現れた大きな選択肢は、里親の件だった。夫の方が不動産会社の社長らしく、そこそこ金持ちの、幸せそうな夫婦が突然現れたのだ。彼らの腰にも満たない身長の俺を前に、「この子をうちの養子に。」そう笑う彼らにほいほいと着いて行ったことが大きな間違いであったと今は思う。
人生は選択肢の連続だ。間違えてはいけない。が、どうやら間違えて産まれてきた俺には、正しい選択肢を選ぶという能力が他人より大きく欠如していたらしい。
拾われた家での暮らしは、最初は順調だった。学校というものにも通った。俺はただ必死に勤勉を装った。もう惨めな思いをするのは御免だと、見返してやると、向上心だけは人並みに優れていたような気がする。
しかし、向上心だけでどうにかなるような世の中であればどれほど幸せであったろうか。
俺が名門私立高校に入学し、1年程過ぎた頃、義父の会社が倒産した。もともと生活の基準が他所よりも高かったこともあり、それからの毎日は地獄だった。
プライドが山のように高く見栄っ張りな義父と義母は、それでも他人にバレないようにと体裁を取り繕った。俺が気を使って学校をやめると言ったら義父に殴られ、義母には泣かれた。「そんなに私たちに惨めな思いをさせたいのか、恩知らず」近隣に聞こえないようにと声量こそは小さかったが、搾り出したかのような義母のその言葉と虫けらを見るような義父の眼差しは、また間違えたのかと思わせるに充分過ぎた。
そんな彼らは会社が倒産し家庭が崩れたことを周囲に隠し続けた。義父は会社から独立、新しくベンチャービジネスに取り組み、革新的な開発を進めるため自宅に事務所を作り、家に居ながらも忙しい日々を送る。義母は今まで通りの専業主婦、より忙しくなった義父を支える献身的な良い妻。俺は名門私立高校に通うエリートコースまっしぐらの出来た息子。という、『設定』の中で生き始めた。
実際、義父は酒に溺れ、義母は部屋の片隅でブツブツ何かを呟きながら涙を流すという毎日。それでも他所様を前にすれば、まるで舞台役者のように『設定』通りに過ごすのだ。
ある日、酔った義父に殴られた。珍しい事ではなかったが、その夜は義父がやたらと饒舌であることが印象的であったように思える。
「俺たちのような上流家庭に息子の一人でも居なければ世間様から笑われると思いお前を拾ってきた。今考えれば大間違いだった。お前が居なければ。」
俺を殴ったり蹴ったりと忙しなく動きながら、そう義父は言った。部屋の隅からはいつものようにブツブツとなにか聞こえたが、その中で唯一聞き取れた言葉があった。
「あんたなんか消えろ。」
ああ、この人達も選択肢を間違えてしまった人なのか。まるで親子のようにそっくりだ。
俺はその日の深夜、家を出た。

金も身寄りもない俺を受け入れてくれた場所は、寮付きの土方の仕事だった。
まだ高校2年生だったが、年齢を19歳と偽り俺は必死になって働いた。
生まれて初めて自分で稼いだ金は、金額こそは小さかったが、俺の充実感と支配欲を擽るには大きかった。
あの人達は落ちぶれたが、俺はあんな風にはならない。今度こそは選択肢を間違えない。
土方の仕事に慣れる頃には、腕や脚らへんの太さが一目瞭然で変わっていた。少し力を込めれば浮き上がる筋肉を見ると、誰にも負けない強さを得られたような気がした。
朝から晩まで効率よく働くため、俺はキャバクラの呼びこみのバイトを掛け持ちし始めた。土方では夕方までしか使ってくれないので、夕方から深夜まではそちらで働くことにしたのだ。
今まで一切縁のなかった世界。綺羅びやかではあるものの、ここの人達のようになりたくないと思わせた。しかし、派手な女の写真を腹と背に掲げ、鼻の下長くしている男共に声を掛けているだけで土方の何倍も稼げる。踏み台には丁度いい世界だと、自分に言い聞かせた。
そんな生活を続けて少しした頃、俺が働いている店の常連に声を掛けられた。連れて来る人物だけをころころと変えては週に何度もやって来る、腹の出た中年である。
酒を浴び真っ赤になった顔をてからせて、こちらに近付いてきたかと思えば背中をバンと叩かれた。振動が看板に伝い背中を打ったが、日々の肉体労働で鍛えられた身体は揺れることがなかった。
「君、若いのに毎日よく働くね。そんな若者は好きだ。是非ウチの会社で働かないか。」
よくある酔っ払いの戯言だ。自分の権力を振り翳したいだけなのだろう。しかし常連様の機嫌を損ねるわけにもいかず、もうすっかり板についた営業スマイルとやらで受け流したが、彼は権力の象徴である名刺を俺に握らせた。
「私ほどのものになるとやる気のある人材はどんな掃き溜めにいようと雇おうと思うものなのだよ。」
そう笑う彼の前歯に嫌味な金歯が光った。未だに居るのか、このような典型的な人種が。
周りの下っ端共によいしょされて気を良くした彼は、何が入っているのかでかい腹を揺らしつつ夜の街に消えていった。
掌の中に残った名刺をネオンの光の下見てみると、名前の脇に代表取締役社長と書かれている。彼の名前よりも、こちらの方がよっぽど重要なのだろう。彼にとっても、周りにとっても。
皮肉な事に、義父の顔が頭を過ぎった。要らないと捨てた者と、それを拾おうと言う者。記号のように纏わり付く肩書きが同じ二人は、こうも違うものなのか。
その日の仕事を終え、寮に戻る。同じ部屋の同僚のいびきが、いつもよりうるさく聞こえた。
疲れきった身体をベッドに転がし、先程握らされた名刺をまじまじと見つめる。
名前は聞いたことないが、どこぞやかの製薬会社のようだ。
世の中は無駄に広い。その中で暮らすのは、こんなにも惨めだ。
俺はその日、惨めに紙切れを握り締めたまま眠った。

次の週、また眩しい街で金を稼いでいた時のこと。特徴的なでかっ腹がわざとらしく女を侍らせて俺の元に近寄ってきた。
「あの件については考えてくれたかな?」
今度は下っ端ではなく女に権力をちらつかせたいのか。好きにすればいい。この男にとっては俺は所詮舞台上の背景に過ぎないのだろうから。男の隣に居た女が長い爪を付けた掌を合わせ歓声を上げる。一生懸命太鼓を叩くその姿。これが彼女らの仕事なのだろうが、なかなか真似は出来そうにない。
「私が本気になれば君を活かせると思うんだがね。逞しい若者は好きなんだ。」
一瞬、女を見る目で見られたような気がした。女の肩を抱いたまま、たゆんと腹を揺らして一歩近寄り、開いている方の手が俺の腕を叩く。
「とにかく、一度連絡をくれないか。」
動くたびに存在を主張する腹を摩りながら、にたあと汚く笑う。その目は宛ら、品定めをされているかのようだった。
金と女と地位だけでは飽き足らないらしい。なんとも欲張りなのだろうかこの男は。
(──息子の一人でも居なければ)
そんな奴にばかり拾われる俺は、間違いだらけの人間です。


社長の言う『掃き溜め』に居た頃が、遠い昔のことのようだ。
実際のところは、まだ3年しか経っていない。社長の趣味で上から下まで揃えたスーツを着た自分がガラスの扉に映る。俺にはあまり似ていなかった。
この会社に入社してから知ったが、表向きここ数年でシェアを広げてきた製薬会社。裏では結構汚いことをやっているらしい。社長がしたり顔で「楽しくなれる薬を作ることも、社会貢献事業の勤めだよ」と言っていたのを記憶している。
どちらが掃き溜めかは分からないが、収入面や社会性では断然こちらの方が上であろう。あの頃住んでいた寮はとっくに離れ、今は会社近くのそれなりなマンションに住んでいる。
俺の選択は正しいのだろうか、時々考える。あれからまた醜く肥えた社長の世話をする、言い方を変えれば秘書の役割。社長からすれば秘書なんてポジションは使い捨て。有能、且つ好みの男をその辺から引っ張ってきて近くに置いておくのだと、以前社員の一人から聞かされた。
この社長の機嫌イコール俺の立場の安定だ。しかし、あの地獄に比べればここは楽園のような所だ。尻尾と腰を振っていれば、それだけで良いのだから。
例えば、今回のように。明らかにカタギではない男達が社内の応接室に入っていったとしても。
もう何が正しいかなんてとっくに見失った。

今日は会議だから、少し遅く来てくれと、連絡を貰った。普通の会社であれば、重要な会議なんてのは社長秘書の肩書きを持った人物はせかせかと忙しく働いたりするのだろうか。幸い俺は使い捨て、信用なんてものは皆無だ。だからこそ、内容を明るみに出せないような『会議』に呼ばれることはない。そんなところで信用されたとしても困りものだが。
太陽が頭上を過ぎた午後、生ぬるい風を感じつつ出社した。コーヒーを買うため途中で立ち寄ったコンビニの店内で擦れ違った眼鏡の男が、携帯で話しているのがたまたま耳に入った。「─…製薬会社」うちの会社の名前だ。前後の言葉は聞こえなかったが、そこそこの知名度になったものだ。冷えたコーヒーをレジで受け取り、その場を後にする。
会社に着き、社員証を首から下げる。俺の名前と顔写真と肩書きが記された、余りにも小さく薄い俺の分身だ。
すぐに向かった社長室の周辺はやけに静かで、早めに会議が終わり『お得意様』は帰っていったようだ。
社長室の前でノックをする。中から返事が無い。声をかけてから扉を開けると、誰も居ない室内はやたら散らかっていた。書類が詰まっていた棚はめちゃくちゃで、俺も存在を聞かされていなかった隠し金庫が丸出しになっていた。もちろん中は空になっている。
此処で何かが起きたことは明らかで、すぐにでも誰かを呼べば良かったものの、一般社員には知られてはいけないようなものがバラバラになっているので躊躇われた。携帯で社長に電話してみるものの、繋がらない。
会議とやらが長引きまだ客と共に居るのかと、特別応接室に足を向けた。一般社員が行き来する事務室や研究室から離れた社長室からまた少し奥に、その部屋はある。そこでは、文字通り『特別な』応接が行われているのだと、入社早々に人払いの意を込めて教えられた。今日のような『会議』は、主にこの部屋で開かれる。
扉をノックし、社長の名を呼ぶ。社長室の惨状を、一刻も早く伝える必要があると思ったからだ。しかし、この部屋からも応答が無かった。扉の前で社長に再び電話をする。と、部屋の中から着信音が聞こえた。会議中にマナーモードにしていない上、電話が鳴っているにも関わらず応答がない。
違和感を感じ、意を決して扉を開ける。
目の前に広がっていたのは、社長室の惨状よりも、あの頃の日々よりも、凄まじい光景。
俺をここに連れてきた社長を含め、キャバクラで働いていた頃から顔を知っていた重役達だったものが転がっていた。拳銃で綺麗に額を撃ちぬかれ、黒く沈んだ眼光が俺を見ている。
ドラマなんかでは悲鳴を上げるようなシーンだが、声どころか息すら儘ならなかった。
あまりに非日常なものを前にして、飛んでいきそうになる意識を繋ぎ留める。鉄の臭いを含んだ空気を吸い込みたくなくて、無意識に後退りしていた。
ふと、頭の中で警報音が鳴る。黒い影に追い掛けられるような感覚。
俺を連れて来た社長はもう死んだ。俺の居場所はもう無い。
よく考えたら、俺がやりたかったことは、歩みたかった道は、こんなふざけたものじゃない。
社長は、親から受け継いだ小さな製薬会社を一代でここまで大きくしたらしい。結婚もせず、ただ金のことを考えて生きてきたと、酒を呑みながら自慢気に話していた。人は裏切るが、金は裏切らない。自分は、自分の為だけに金を作り、豪遊の挙句に人生を謳歌したことを誇って死んでいくのだと。
俺は。普通に仕事をして、普通に結婚をして、普通に子供を育て、普通に生活をしたかったんだ。普通の家庭が欲しかった。金や権力に埋もれない、普通の幸せが欲しかった。
俺の居る所は、此処じゃない。

出来るだけ音を立てないように、俺は特別応接室を後にすることにした。入ってきた時と同じようにエレベーターに乗り込む。幸い、社員の誰かと顔を合わすことはなかった。良かった。誰にも見られていない。
目立たぬ程度の早足で、人通りの多いエントランスとは逆の出口から外に出た。右手に大通り、左手に駐車場と直結している。
迷わず大通りの方へと進むと、タクシーの群れが列を成していた。車外に出て煙草を吹かしている白髪混じりの男が立っている。いつもなら見下し哀れむような光景であるが、今は彼が羨ましくさえ思えた。
行き先など分からないが、どこか遠くへ行きたい。逃げるようにして、前から数台目の、適当なタクシーに近付いた。
運転手は俺に気付いていないのだろうか。車の真横に立っても、扉は開いてくれない。窓を軽くノックすると、やっとそれは開き歓迎してくれた。急いで乗り込み後部座席に座ると、思っていたより息が乱れていることに気付く。落ち着こうと呼吸を繰り返そうとするも、鼻孔にへばり付いた血と硝煙が邪魔をして、下手糞に口でひゅうひゅうと息を吸うことで限界だった。
「お客さん、どちらまで?」
運転手が声を掛けてくる。びく、と、肩が大きく跳ね揺らいだ。人の声にここまで驚いたのは、人生で初めてかもしれない。なんとなく、この狭い車内には自分一人しか居ないような気がしていたから。
どちらまで、などこちらが聞きたいくらいだ。しかし、このままタクシーを停車させている訳にもいかない。俺は近くの駅の名前を口にした。上手く声にならず、裏返った汚い音になってしまった。
怪しまれていないかと、そっと運転席を見る。すると意外にも、バックミラー越しに運転手と目が合ってしまった。最近ではあまり見掛けなくなったタクシードライバー御用達の帽子のつばの下に栄えるそれに、慌てて目を逸らすも、もう遅い。
「えーっと、お客さん、そこの会社の方?」
車は進まない。代わりに質問で返された。
この運転手は見たところ年齢も若く、よくいる世間話好きなタクシーの運ちゃんという印象ではないのだが。
今は誰とも話したくない。が、無視を決め込むのもおかしな話だ。バックミラーに視線を戻すと、眼鏡の向こうからこちらをじっと見据える瞳があった。怖じ気付いた俺は曖昧に、まあ、などと我ながら要領を得ない返事をするしかなかった。
「そっか、社長秘書さんなんだ。若いのに」
心臓が跳ねた。何故そんなことを知っているんだと、冷や汗が吹き出す。よくよく考えれば俺は別に悪事を働いた訳ではないのに、人の死に初めて対面したからだろうか。この躙り寄る恐怖感は。
その重圧に耐え切れず、思わず身を乗り出した。どうして、俺を知っているのかと、見ず知らずの運転手に詰め寄る。振り返る横顔で、漸くミラー越しではなく、本物の彼を目の当たりにした。
「だってホラ、これ」
彼が俺の首から下げていた社員証を人差し指で軽く揺らした。普段ならば会社を出る前に外して鞄の中に仕舞うのだが、今日は慌てていたせいもあり、そんなことはすっかり忘れていた。なるほど、肩書きをぶら下げていれば子供にだって分かることだ。俺は取り乱したことを謝罪すると、座席に深く腰掛け直した。
あとは発進を待つだけだ、という所で、運転手が煙草を咥え火を点けはじめた。後部の扉には、大きく禁煙のステッカーが貼ってある。俺は呆気に取られ、その姿を見ることしかできない。
「秘書さんなら知ってるでしょ。おたくの会社、結構汚い事してるって」
突然、彼がタクシー運転手ならば知っているわけがない事情を語り出した。真っ直ぐに吐き出された煙がフロントガラスを曇らせる。
「最初はウチとは関係無かったから泳がせてたんだけどね。お宅の社長さん、随分仕事熱心みたいじゃない。なーんか要らないトコにまで首突っ込んじゃったんだって?」
既に一杯になった車内用灰皿に灰を弾く指先が、視界の隅で動く。俯く俺に、煙かった?なんて言いながら彼は運転席右手の窓を少し開けた。すうと煙が外に溶けていく。余韻を残しながら消えていく白い靄のように、俺の恐怖も少しは和らいでくれたらと、心から願った。
どれ程の時が流れたかなど、知る由もない。ただ、車内に充満した煙が、刻々と流れていた時間を告げていた。
「ま、それで俺が来ることになったんだけど、貰ってた資料と人数合わなくて困ってたんだ」
紫煙の元となっていた火種が灰皿の中で朽ちる。それに堪らなく恐怖を感じた。
彼は窓を閉め直すと、煙草に火を点ける時と似た手つきで、ダッシュボードから黒鉄色に鈍く光る拳銃を取り出した。先程の“元上司”達は、これに射抜かれたのだろうと思うと、背中に冷たい汗が伝う。
俺はまた間違えたようだ。もし、一台後ろのタクシーに乗っていたら?もし、あの時人を呼んでいたら?もし、この会社に入社しなかったら?もし、捨てられていなかったら?
いいや、違う。俺は産まれてきた事すら間違いだったのだ。そうだろう。最初から間違っていたのだから、最期まで間違え続けるのは必然だ。
思考がそこまで行き着くのには、そんなに時間は掛からなかったが、何故か頭の中の暗雲が消し去られていくのを感じた。
ここまで一貫していると最早才能だろうか。俺を産み落としたであろう、両親が唯一与えた才がそんなものだったなんて。笑えてくる。
間違いの上に成り立つ、不幸の元産まれてきた。仕方の無い事だ。道を歩いていたら突然雨が降ってきて髪が濡れ、更に水溜まりでズボンの裾を濡らし、ガムを踏んづけて靴を汚し、ペンキの乾いていないベンチに座ってしまいスーツが汚れる。これらと何ら変わらない。俺には、徹底的に運が無かったのだ。
「…で、ここで待ってたらさ」
彼が窓を閉める。外界から遮断されたこの空間。もう外に出られないだろうと、思考の隅で考えた。
「まさかそっちから来てくれるなんて、思ってなかった。俺もラッキーだなあ」
そうだ、俺のように運が無いヤツの反面、運が良いヤツだって居る。
どうやら後者な部類の彼に、俺を殺すのか、と、分かり切った事を訊いてみた。

「うん、ごめんね。」

目を閉じる。痛みすら無かったのが、俺の最初で最期の幸運だ。

──次産まれてくる時は、どうか、正しく。




『次のニュースです。昨日、神奈川県──製薬の関係者が数名、何者かによって殺害されるという事件が起きました。会社内で遺体が見付かったのは、同社の社長を含め7名。近隣の車の中で1名。何れも凶器に拳銃が使用されており、同一犯の犯行と見て調査を進めています。暴力団絡みの事件と見られ、──製薬と暴力団との関係も問われています。 では続いて、今日の血液型占いのコーナーです!』


 * * *

大変失礼致しました。ちょっと言い訳を…。
1巻の清掃員に扮した久保田がかっこよくてかっこよくてたまらん!となり、久保田にコスプレさせてみました。タクシーの運転手。絶対かっこいいと思うんですがね…
そして、この殺されるためだけにわたしの脳内に降り立った青年。久保田に殺されるために何をしたらいいのか?色々考えたら分からなくなってきちゃって、ただ単に「不運」というだけで殺されるケースも有りなのではないかなーと思いまして。
理由も無く、ただうっかり殺される!的な…それでもいいなあ。うん。
わたしという人物を出来るだけ投影しないように創ったところ、陳腐ながらもあっさりと殺されやがってなんか悔しいです。わたしだって殺されたいのに。
描写が甘く読み苦しいものになってしまってただただ申し訳ないですが、少しでも久保田に殺されるイメージを抱いて頂ければと思います。うす。

一番上から読み返してみると、わたしのテンションがだんだん上がってってだんだん読み難くなってって笑えます。
あと久しぶりに長文らしい長文書いたなーって思って文字カウントしてみたらさらっと13000文字越えてて笑えます。もし万が一全部読んでくれた方がいたらありがとうございます。そのお暇を是非久保田のために費やして下さい。
WAで文章を書くのが何よりも苦手です。なんか死にたくなるレベルで苦手です。まあ久保田に殺されるこの生命、簡単に死にはしませんが…
WA「っぽさ」を表現できるのは峰倉先生だけで、どうしてもそれは何よりもわたしの頭の中にある絶対的な定義なので…、あーってなりますね。あーーー!
何度も何度もこの殺される妄想を考えて、書いて、消して、消して、書いて、って繰り返してたんですが、先日とうとうAGFで無料配布されていた新装版WAのPVを見てしまい、止まらん!となってしまって…後々後悔しそう。お許し下さい。自責の念にフルボッコされたらきっと消します。そのうち。
ああ久保田に殺されたい。クリスマスにサンタさんにでも頼もうと思います。
これ以上長々と書いても堂々巡りなので、これにて失礼致します!

久保田誠人が大好きです。





【まとめ】OVA 最遊記RELOAD -burial- 烏哭の章【感想】

2011-09-09 15:50:53 | 峰倉先生作品的な
さて、前回の記事でずいぶん懐かしい気持ちになりましたので。
今回も懐かしさ無双で行きたいと思います。

最遊記外伝のOVA、壱と弐が無事発売されましたね。おめでとうございます。そして、峰倉先生と制作者様に、ありがとうございます。
参巻の発売日を心待ちにしつつ、OVAと言えばこちらを覚えておいででしょうか。

2007/4/27 発売
最遊記RELOAD -burial- 壱 三蔵法師の章


アニメシリーズが終了してから、はじめてのOVAとなりましたこの作品。
三蔵一行+烏哭&光明の過去編の話を映像化したものとなっています。
当時、発売決定から心待ちにし、購入してからは何度も何度も見返しては泣いていたのが昨日のことのようです。
壱巻のスペシャルエディションには特典CD、額入り複製原画、オリジナルブックレット、ポストカードまで付属され、大満足の素晴らしい作品でした。
あれから4年。光陰矢のごとしとはこの事でしょうか。当時は感想をどこにも漏らさずに一人で転がり回っておりましたので、時を越えてぶちまけたいと思います。
主に流れ重視してキャプ画ぺたぺた貼ってるので重いです。クリックで大きくなります。
作品とわたしの好みの特性上、血まみれだったりするので(主にあの男が)閲覧にはご注意下さいね。
よろしければお付き合い下さいませ。



すべては、
月だけが
看ていた 物語。






burialは月や光が非常に美しく描かれていますね。
埋葬編に相応しく、その圧倒さに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
まるですべてを呑み込むような。誰かに似た強い光。強く強く、人を惹き付け、最後には焦げてしまいそうな。
自分の欲望に対して誠実な人間であればあるほど、伸ばした手のやり場に困る。
追いかけても追いつかない焦れったさに、自分の小ささを目の当たりにさせられ、苛立ちさえ覚える。


その男は、
月の光のかたちをしていて



冒頭にて、月の下での光明三蔵と烏哭三蔵の会話は胸が締め付けられる思いになります。
三蔵一行には無い、煌めきと陰影に富んだ二人組だと思います。



二人の出会いからおよそ3年でしょうか。この微妙な距離感。近付かず近付けずな二人の間柄を形容する言葉が見付かりません。
肩を並べ、酒を飲み、闇に浮かんだの月の下、月と闇が言葉を交わす。
埋葬編ならではの、ぐっとくるシーンですね。
しかし、恐らく2年ぶり?(もうじき7歳になる江流。初対面の頃4歳で、その後約1年間共に旅をした。それから一度も会ってないとすると2年弱?)に会った人とナチュラルに会話を続けたかと思いきや、ワンテンポどころかスリーテンポほど遅れての「お久しぶりです。」




そら烏哭も思わず肩を震わせる訳ですよ。
この光明がめちゃくちゃ可愛いです。天然さんなのでしょうか。掴み所のなさにおいても、烏哭より優れていそうですね。


油断をしたら 夜の闇さえ
蝕むような 静けさだった



─烏哭の章─




喰い尽くせばいい
骨の一つも残さずに。


本編は、玄奘三蔵の師である光明三蔵が、剛内三蔵に呼ばれ禅奥寺に赴くところからはじまります。
そこで見掛けた、一人の少年、健邑。
健邑のCVが鳥海浩輔さんだったことに驚いた当時です。ディスプレイの前で「俺得!!!」と叫んだ方は是非、わたしと握手して頂きたい。
健邑という少年は、凄く人間らしいですね。教科書通りの綺麗で穢れのない聖人ではなく、生き方も死に方も分からずに自分さえ他人さえ分からずにいる、普通の人間。
ただ、少し人と違ったことは、天才だったことでしょうか。才とは恐ろしいものです。人間の視点をこうも変えてしまう。厄介なものです。このせいでさっぱり分からない。
数多の分野において才を発揮する健邑。表向きには人懐こくサバけた性格で、敵が少ない、らしいです。いやあ、笑わせますね。
しかし先輩達と喋る健邑は可愛いなあ。本当に。だぼっとした法衣用着物?が本当に可愛い。なんだこいつ。



神聖な堂内で堂々と官能小説を執筆し、音読する健邑(CV鳥海浩輔)。
こちらの小説が書き上がった暁には、販売をしてくれるそうですよ。官能小説、一部二百円は良心的な値段かと思います。
すみません健邑先生、一部お願いします。
健邑とわいわいやっている先輩修行僧達も可愛らしいですね。大部屋で光明の愛弟子である紅流の噂なんかしています。
「年端もいかぬ美少年」と呼ばれていた時期が確かにあった三蔵。なんだか面白くてたまらないです。
年端もいかぬ美少年参考画像



うん。これはいかにも年端もいかぬ美少年だ。間違いない。こちらの画像は噂されてる時から約8年かな?経っていますがね。


さて。場面は移りまして健邑と光明の初会話のシーンです。
初会話から江流の自慢話に(光明一人の)花が咲きます。親バカな光明がなんとも微笑ましいですね。
江流と健邑を「似ている」と称した彼の心理はなんなのでしょうね。健邑の内にあるなにかが、彼の目には映っているのでしょうか。

「へえ、今いくつです?」
「39ですが。」
「いや、アンタじゃなくて。」
「ああ、江流ですか?今年で4歳です。可愛いんですよ、これが。」
「ああ、そうすか。」

この会話の破壊力はどう責任をとるおつもりなのでしょうね、光明三蔵法師。



健邑の呆れ顔にも納得です。

そして、本題の会話がはじまります。
光明に「何故この修業寺に入ったんですか?」と問われ、「なんで?」と聞き返す健邑。



ご覧下さい。このアヒル口。可愛い。たまらない。どうしたの健邑。可愛い。たまらない。
こんな可愛い顔をしてる健邑が、答えます。

「三蔵法師になるためですよ。それが一番難しいことだって聞いたから。大概のことには手を出してみましたけど、実際どれも簡単で、つまらないものばっかりだったから。退屈しないものが欲しかったんですよね。」

健邑は本当に可哀想な少年ですね。彼がこの寺に来る前のことを知りたくなります。
人はなにかしら、目的があってこそ生きているのではないでしょうか。綺麗事ですが。もちろんそれがなくても現状に満足している人もたくさん居ます。いまが幸せならば、それも一つの生きている形です。
呼吸をしているだけでは生きていることにはならないとはよく言ったものです。
彼はどちらにも属していないのでしょうね。だからこそ貪欲でギラギラしてて、ある意味においては生き生きとしているような。うん。さっぱり分からない。

「はあ、なるほど。何をやってもつまらないとなると、アナタ、よっぽどつまらない人間なんですねえ。」

この光明の返しが物凄く秀逸です。流石最高層。欲しい答えをちゃんとくれるんですね。
その後、集めた枯葉でお芋さん焼くわけなんですが。光明と健邑が二人でお芋さん食べてると想像したらもうシュールすぎて、その絵面には本当敵いませんね。


さて。物語の本題に入ります。
無天経文を所持する剛内が、弟子の前で血を吐いて倒れます。
紹介が遅れましたが、こちらが剛内三蔵法師です。



剛内は最遊記に登場する三蔵法師にしては珍しく、すごく真面目で心身共にしっかりした人格者のように見受けられます。光明に「スパルタ親父」なんて呼ばれていましたが、弟子のことを思い、教えを説く姿は父親のような暖かさを感じますね。
そんな剛内は、残念なことに重い病に侵されていて、彼の無天経文の継承者を弟子の中から選出することになります。
その立会人として、光明を禅奥寺に呼んだのです。
彼の口から、継承者候補の名前が呼ばれます。しかし、その中に健邑の名前がありません。弟子達もざわつきます。どの分野においても優秀な健邑が何故呼ばれないのかと。
それは健邑も同じでした。

「その人選、いかな条件によるものか、是非お聞きしたい。」
「それが分からぬ以上、お主が三蔵法師に選ばれる事は有り得んだろうな。」

剛内からその答えを聞くと、健邑は剛内に襲い掛かります。
…なんでこんな事をしたのか、少し意外でしたが。



「ねえ、教えて下さいよ。三蔵法師ってどれほどのもんなの?」
「お主が持たぬ、すべてのものだ。」

この剛内の返しも良いなあ。健邑という少年をうまく焚き付けてる。健邑の欲しいものをチラつかせてる。剛内も、凄く人の心を動かすのが上手ですね。
そして健邑が腕を振り上げた時、後ろから光明にその手首を捕まれ静止させられます。
それがこちらの画像。



ご注目下さい。いや、注目するまでもなく目線が勝手に向かうでしょうか。



な ん だ こ れ は 。
ああああああけしからん!!!!!くっそ、やられた…!惨敗だくそ…当時のゼロサムで話題になった三蔵様お風呂シーン(これも後日に紹介します)でも瀕死の重症を負いつつなんとか耐えたわたしですが、これにはやられた…くっ…健邑のチラリはアカン…アカンで…

…さて。話を元に戻します。
この事件のため、健邑は懲罰房に入れられてしまいます。
その晩、懲罰房の中でくっきりと手形がついた手首を眺める健邑。光明の知られざる強さが垣間見えたワンシーンとなってますね。
ここでの会話が凄く印象的で大好きなのです。

「ねぇ、アンタならさあ、俺を殺してくれるかなあ」
「ヤですよ。めんどくさい。人様のしがらみに巻き込まれるのは避ける性分なんです。君子危うきになんとか、って、言うでしょ。」
「俺は駄目なんだ、ソレ。喰うか喰われるかって所に居ないと、生きてる感じがしない。本当は手に入れたいものなんてないんだあ。勝って、勝ち続けて。皆、誰かの屍を糧に生きてるんじゃないの。生きてるってことは、他人を喰い続けることなんだ。」



「──いつか、自分が喰われるために?」



ここは本当に光の演出とBGMも大好き。いつ見ても何度見ても鳥肌です。キャプ画作るために何度も再生してましたが見入ってしまうので深呼吸しながら作業を進めていました。
健邑の世界の小ささを感じますね。三蔵法師ってなんなんだろう。
漸く答えを啓示され、息を飲む健邑のこの目が大好き。なんて形容したらいいんでしょう本当に…お分かり頂けるでしょうか。この胸の高鳴りと締め付けを。
人の生き方に答えなんかない。健邑が進むものも求めるものもすべて彼次第だし、誰かが兎や角言うものでもないと思う。けど。
呑み込まれそうな光とはどういうものなんだろう。それを前にした時、人はどうなってしまうんだろうね。
あーもう、よくわかんねーわ。

──その光はまるで
すべてを呑み込む
ようだった



さて、次の場面から烏哭の章クライマックスに突入します。
無天経文継承の為、修行場にて試験が行われます。選出された弟子と剛内が命懸けで戦い、剛内を倒した者が時代三蔵として認められるというものです。
立会人の光明が見守る中、剛内相手に苦戦する弟子達。
そこに突如として乱入し、先輩弟子を一瞬にして葬る健邑。




懲罰房に入っている筈の男が何故ここに。ざわつく弟子達をよそに健邑は光明に語りかけます。

「ねえ、光明。アンタの言った通りかもね。待ってるんだ。俺を、喰らってくれる奴を。」

そこからは健邑無双。その才を遺憾無く発揮します。



ああ、かっこいい。最遊記一返り血の似合う男。次に似合うのは悟能だと思います。返り血かっこいい選手権があったら全国大会に進めるのではないでしょうか。
それを見ていた剛内が動きます。「やはり、こうなるか…」そう呟くと有能な弟子の元に歩き出します。
彼はこうなることが分かっていた。だからこそ、光明三蔵をここに呼んだのだと。健邑を、光明に託すため。



──その時
一羽の烏が哭いた




「また、生きぞこないましたか。」



そう声を掛ける光明の前、師匠の返り血を浴び僅かに微笑む健邑。



その後、光明三蔵が烏哭と名付けた最年少の三蔵法師の額に、選ばれし者の証チャクラが現れることは、終ぞなかった。




最後は駆け足になってしまいましたので、感想を纏めたいと思います。
懲罰房に入れられてから烏哭三蔵誕生までの流れが神すぎてもうすンごいですね。すンごい。
剛内は確かに強かったのでしょう。三蔵候補に選ばれた他の弟子達も、総勢59名の中から選ばれた6人。その能力は高かった筈です。でも、誰も病を抱えた剛内に敵わなかった。正午に集合してから、健邑乱入の夕方までの数時間で決着が付かなかったとなると…恐ろしい連中ですね。
そんな剛内三蔵を若干17歳の少年が一撃とは…果てしなく圧倒されますね。現在の烏哭三蔵は最遊記RELOAD 10巻で漸くきちんとした戦闘シーンが描かれましたがもうラスボスの風格があります。恐ろしい奴です。
基本的に強い奴が大好きなので、乱入シーンの健邑は本当にかっこいいです。また、光明が語り掛ける所に続く音楽が緊迫感と少しの切なさを煽っていて、大成功な映像化だったのではないでしょうか。
最後の血まみれ健邑は、本当にベストオブ血まみれです。大好きです。いつまででも眺めていられます。なんでしょう。整い過ぎです。まさに理想の血まみれ。このシーンは原作神なので是非お手元のコミックスをご確認下さい。持ってねーお!て方はもし血まみれ好きなら一見の価値有りです。

しかし健邑=烏哭の内面を見ていても感想らしい感想が過ぎらないんですよね。凄く良い意味で。
最遊記シリーズは、妄想フィルターを掛けないで原作素材の味をそのまま頂くことにしてるんですが…下手に妄想で味付けしちゃうと脳が拒否反応起こしたりするので。原作が神すぎて、自分の中の想像や創作が追いつかないんですよね。
それで、健邑=烏哭は大好きなので何度も見て、一生懸命咀嚼するんだけど、なんというか無味無臭。
インパクトが強烈な分、それはそれは脳裏に焼き付いて離れなくて、ずっと居座ってくれちゃうんだけれど、どれどれ健邑はどんな事を考えているのか…と探ろうとすると、スルリと逃げていってしまう変な奴です。
さすが「無」を所持するだけありますね。非常に掴めない、魅力的な人物です。大好きです。
じゃあこの烏哭の章の感想はなんだったのさ?って話になってくるんですが、ただburialの流れとキャプ画纏めたかっただけってことにしてやってください。
結論としては、烏哭ってよくわかんねー奴だよね。ってことです。
もうここまできたら言うまでもありませんが、最遊記で一番好きなのは健邑=烏哭=你健一です。
順番的には烏哭>健邑>你健一かな。
キャプ画の贔屓っぷりが今見ると酷い。
凄くどうでもいいですが、健邑のチラリ注目画像を作ってる最中にいつのまに背後にいた同居人に「なにやってんの?」とすげー冷静に聞かれて答えが見付かりませんでした。なにやってんだろうわたし…

続く玄奘三蔵の章、孫悟空の章、悟浄&八戒の章はまた後日纏めつつ感想っぽいものをちらちらぶち込んでいきたいと思います。この記事、データ取り込みながら書いてたら思った3倍くらいの時間が掛かってしまいましてぐぎぎ…うち4割くらいはDVD見てた時間ですが。
少し切れが悪いですが次は玄奘三蔵の章でよろしくお願いします。


【糖衣】峰倉先生画集『sugar coat』紹介してみた。【久保時】

2011-09-08 18:48:35 | 峰倉先生作品的な
一つ前の記事でご挨拶も済ませましたので、こっちでもわたししか得をしないことをしたいと思います。

ご存知でしょうか。2004年5月1日に、神が産み出した奇跡がこの地球に降り立ったことを。
それがこちらです。

峰倉かずや先生画集 sugar coat【糖衣】


これはもう奇跡としか言いようがない。美しすぎて心の臓が焼かれる思いになります。
発売からもう6年も経過しているんですね。あれから6年。早いものです。
この神の産物から、数点ご紹介したいと思います。本当は好きなイラストTOP10!とかやりたかったんですが、どれもこれも神すぎて順位が付けられなかったことをご理解下さい。
お察しの通り、新装版WA発売に先駆けまくって抑えられない愛を込めてみようというアレです。
画集を写メってるので、画質がアレなのもお許し下さいね。クリックでばかでかくなります。
是非、お手元のシュガーコートと一緒にご覧下さい。
ではではさっさと参りましょう。相変わらず気持ち悪いですよ!




ふたりぼっち
この王道感がたまりませんね。やはり久保時はセットで存在するべきなんだと実感させられます。
まず注目して頂きたい点は、久保田の口元。いつものように煙草を咥えたその麗しい唇が、僅かに笑みを浮かべております。そうです、神です。この満足そうな、見ているわたしたちに憎らしささえ感じさせるような笑みがたまりません。
次にご覧下さい。時任の肩から指先にかけるこのライン。完璧な前腕屈筋群。久保田の肩をしっかりとしかし優しく掴むその掌は一体わたしたちをどこに連れ去りたいのでしょうか。
掌と言えば、久保田の時任をそっと包み込む両の掌。やんわりと組まれた指の隙間はさながら妖精の住処です。
時任がすっぽりと包まれている時任の腕の中は、時任以外が立ち入ることを禁じられた結界のようなものが貼ってあると信じております。
はらりと零れ落ちるドラッグが、優しげな二人の雰囲気に辛めのアクセントを加えていて完璧だと思わせられますね。



サイレン
焼ける夕日のような儚くも力強いオレンジが眼球に優しいこちらの一枚です。
スーツに翼。擽られますね。「この二人のスーツ姿は珍しい」と、先生も仰ってらっしゃいますが、もっと着た方がいいと思います。やはりいい男たちはスーツが似合いますよ。
この作品の素晴らしい点は、なんといっても背中の翼です。背負う翼。
一枚で見るととても翼の映える男達なのですが、久保時の二人が翼。天使の羽。
なんと似合わないことでしょう。白々しいのもここまでくると芸術です。
時任の顔に貼られた絆創膏と、久保田が手にしている拳銃が、不一致さを掻き立てていますね。
見ればみるほどふわふわと漂うような心地いい不安感がわたしを包みます。わたしが好きなWILD ADAPTERはこういうところなんだなあ、と、個人的には初心にかえるような一枚です。



東湖畔
さて。久保時の二人以外から攻めてみましょう。
余計な感想など要らないですね。ただただ、「美しい。」これに尽きます。
鵠さんは白がとても似合いますね。鶴と牡丹は、鵠さんを彩るために世に放たれた生命なのでしょうか。
流れるような黒髪はどこへ行くのでしょうか。願わくは、わたしもその境地まで連れて行って欲しいものです。
鵠さんは、峰倉先生が描かれる数多くの眼鏡キャラで美しさで言ったら群を抜いていると思います。
かと思いきや、本を優雅に持つ指先に注目してみて下さい。袖からちらりと除く爪。萌え袖です。なんということでしょう。可愛らしさをここに持ってくる、鵠さんはなかなかのやり手のようです。存じ上げておりました。
画像では分かりにくいのですが、現物の加工の仕方は素人のわたしから見ても綺麗で吸い込まれそうな一枚と言えるかと思います。



私立荒磯高等学校
美しさの次にはほのぼのを求めて、荒磯に行ってみたいと思います。
全員集合です。何時間でも見てられる、一粒で何度も美味しく飽きがこない作品ですね。
荒磯CD第二弾のジャケットです。懐かしいですね。
ここで気付いて頂きたいのは、室田の頭どころか顔の1/3ほどが切れているところと、藤原が一人だけ逆さまでハブられているところと、松本会長(受)のドヤ顔と後ろの橘副会長(攻)のエエ顔と、喧嘩を大安売りしてくる大塚の眉間をド付きたくなる衝動と、何故かいるハルキのウインクにイラッドキッとくる感情と、桂木ちゃんのほっぺのピンクは最早執行部の名物となり得るほどの可愛らしさがあることと、五十嵐先生(♂)のもみあげからちょろんと出てる髪でアーアアーとターザンした後に膝に着地したいアクロバティックさと、保坂のいやらしいってレベルではない目付きに対する鳥肌ですね。
こんなに個性豊かな面々をぎゅぎゅっと纏めた、遊園地のような楽しい一枚となっています。



逃亡者
はい、久保時に戻って参りました。
光と影を非常に綺麗に表現されていて、パッとライトを当てられたその瞬間を抜き出し捉えているその表現力に、思わずこちらまで眩しいと目を細めてしまいそうです。
この二人に絶対的にある身長差が何度見ても昇天しそうになります。
それにしても久保田の影になりたい。この一枚で言ったらそうですね、右手首から親指にかけての三角形のような形を描く部分の影になりたい。
シンプルながらも緊迫感に満ちた、素敵なイラストです。
…でも峰倉先生が「夜中の公園で職質されてるカップルみたい」と仰るものだからもうそうとしか見えない自分が確かに居ます。お前ら家帰れ。



やわらかな悪夢
ピンに行きましょうか。
アニメ塗りとはここまで美しいものでしたか?
濃い目のしっかりした色使いながらもしつこさを感じさせず、高級なチョコレートでも頂いたかのような感じです。そのままとろりと溶けていきそうです。
峰倉先生が描く骨々しさが大好きなので、王道ながらもこの鎖骨には目をかっ開かずにはおられないと言ったところでしょうか。
包帯で隠れた右目と肌に、こちらの想像力が掻き立てられます。かと思えば、珍しく黒の手袋を外し右手があらわになっています。絶妙なバランス。地団駄を踏みながら叫びたくなりますね。
この時任すっごく可愛い顔をしてると思います。シンプルに重ねられた影がスッと心に入ってくる、可愛いくもかっこいい時任です。



くもりガラス
時任の次は久保田ピン。
シュガーコート+久保田=くもりガラス ですね。
この一枚が一番好きと仰ってる方を今までちらほらと見かけてきましたが、わたしも例に漏れずこの画集の中でこのイラストが一番好きです。
見れば見るほど溜息が出ます。その目が手が唇が髪が肌が眉がすべてが、脳みそに訴えかけてくるような。
圧倒されすぎて責められているような錯覚さえ覚えます。
どこが好きとか、この一枚に関しては挙げることもできません。
ただ、好き。



埋葬
ピン繋がりで小宮を。
これも画像では分かりづらいのですが、現物は本当に光の中に小宮が消えていってしまうような儚い雰囲気を背負っている、切ない一枚です。
真っ直ぐと語りかけるように前を見据える小宮の瞳には誰が映っているのでしょうか。
タイトルと合わせてじっと見ていると、胸が締め付けられる思いです。
それでも視線を反らせなくなる、無表情の中に確かにある感情が伝わってくる。
ただ立っているだけの構図のイラストでここまで説得力があるなんて、小宮と峰倉先生は一体なんなんでしょうね。



咲ク朱、散る紅
続いては久保時です。
主線無しで暖かな色使い、非常にあっぱれな一枚ですね。
髪の毛の一本一本に至るまで精密に繊細に描かれたこちらはまさに神のアートと言っていいでしょうか。
久保田にご注目下さい。はい、眼鏡です。麗しく艶やかに描かれたレンズの向こう側に栄える垂れ目。ふわりと触感さえ感じさせる踊る髪。ええ、芸術です。
時任にご注目下さい。眉間から繋がってスッと通った鼻筋に、一文字に結ばれた口元。生え際とおでこの絶対領域。ええ、芸術です。
背景の紅葉も存在感がありながら、二人を強調させるこの一体感。これからの秋、真っ赤に色づく紅葉を見たら久保時を思い出してしまいそうですね。



虚飾
はいこちら。表紙にもなっております糖衣と対になるように描かれた、ほんとうの姿です。
表紙の糖衣も、甘く真っ白な世界でふたりきりの愛が確かにそこにあって、素晴らしいのですが。
こちらのイラストは、まさに現実。彼らが彼ららしく在る、正直で真っ直ぐな一枚ですね。
手を加えただけで、同じイラストの筈なのに、こうも伝わってくるものが違うものなのでしょうか。不思議ですね。
この二人は、未だに触れることができない深い深いところで生きているのでしょう。ふたりだけで。
しかしこの久保田は本当にかっこいい顔をしている。時任と一緒にいる時の久保田はなんて顔をするんだろう。
本人たちだけが幸せな、ふたりだけの空間が描かれたまさに久保時らしい一枚と言えるかと思います。


はい、以上です。お疲れ様でした。
シュガーコートは100点以上のイラストが収録された素晴らしい画集です。更に、詩なんかも収録されていますし、ラフ画、イラストに対する峰倉先生のコメントや制作秘話、ROMまでついてきたりする優れものです。
もう誰がなんと言おうと、家宝です。
是非一家に一冊シュガーコート。新装版WA発売に合わせて、まだお手元にない方は是非。
…なんの販促だろう。




さいごに。


あとがき久保田
この可愛さは反則。




【久保時】久保田誠人のspoil聴いて滾った。【神曲】

2011-02-17 23:33:50 | 峰倉先生作品的な
spoilが神曲である件について!
Love×Allの収録曲をひたすらリピートしてたんだがspoilやべえ…今はじまった事じゃないけど…。
意味調べたら「…から奪う」「…を台なしにする」「…を甘やかす」「廃物、傷物、破損品」だって。なにこれ…?

久保田がああしたいこうしたいっていう感情を剥き出しにするのって本当珍しい気がする。
暴力的な気持ちはどっちに対するものなんだろう、多分両方でそれが凄く自分勝手であることを分かってるから、だからそれは全部願望止まりなんだろうなと思う。
普段本心を見せない久保田だから、利己的な事を零す時ってとても汚い時だよなあ…
本当に粉々にしたいのは久保田本人で嫌いになりたくないのは久保田本人なんじゃないかなあ…はあ…久保田…。
峰倉かずや先生作詞はちょっとやばい。人格破綻、頭の中はグログロ。良い久保田だ…。ここに森川さんの声が乗ってもう神曲としか言いようがない。歌の言葉ひとつひとつに作品や人物がきちんと表現されていて、され過ぎていて溢れてくるよ…
完全に蛇足だけど色々考えて止まらなくなったから、なんかはじまります。わたしなりにspoilを解釈してみた。
(ところで煙草の灰が先に溜まるのを芋虫って友達が言ってたんだがこれは共通語?)



【嫌いになってももう遅いんだよ。】


 ガチャン。
 テーブルからグラスが落ちた。中身と破片が床を汚す。
 眉を吊り上げて目を見開いて。本当に分かりやすい子だ、すべてがすべて表情に出るのだから。

「久保ちゃん、お前今なんて言った?」

 怒気を含んだ言葉と、今度は鋭く細めた眼差しが突き刺さる。ピリ、とどこかが痛んだような気がした。
 何を言ったか、なんて正直のところ覚えていない。とりあえず、この子にこんな顔をさせるような事を言ったのだろう。
なにを、なに?俺の言葉でこの子はこんなに、衝動的になって。黒い手袋で隠れたその手でグラスを弾き落として。
肝心のその言葉、を覚えていないことを後悔する。もし覚えていたのなら、もう一度きっとこの顔を見れただろうに。
ぼんやり、考え事。言い訳ではない。質問に答えようと記憶をまさぐる。指に挟んだ煙草の先端に落とし忘れた灰が溜まり、芋虫のようだと思った。
ぽとり。漸く芋虫が死んだ。この子にしてはよく待った方だろう。それでも俺は口を開かない。否、開けない。躊躇しているのではない。何を返したらいいのか分からない。
ジリジリと火種が迫る。もう用の無くなった煙草を灰皿に押し付ければ、煙りが途絶えた。
ほぼ同時に、目の前に座っていた影が突然動き出した。ガタンと音を立て、彼の特等席が転がる。

「もう知らねえ。」

待ちくたびれたのだろうか、綺麗な眉を顰め不快を丸出しにした顔で言い放つ。横を擦り抜けて部屋とかいう小さな空間から出て行った。
逃げた?違うあの子がそんな意味の無いことをする訳がない。こんな小さな箱から逃げ出した所で俺達の世界は広いのだから。なんてったって二人しか居ないんだ、そうだろう?
途端に音の無くなった室内で、床に散らばる硝子の破片とコーヒーが視界に入る。わざわざ椅子から下りしゃがんでみた。
 羨ましい。あの子にあの子の手に壊されて散って中身をぶちまけて精神の歪みの吐け口となって、ああ俺もコレのようになりたい。

(醜いなあ。)

あの子のせいでいやあの子のおかげで。
気持ちが悪い吐き気がする。でもこんな存在をあの子は。
嫌いになってももう遅いみたいだ。だってこんな存在をあの子は。

今更なにを言った所で今更どこに行った所で。
ああ時任と二人だけの世界中を永遠逃げていたい。

(俺を壊すためにお前を傷付ける俺をお前は)


【このまま君も僕も全部台無しにしたいな。】