こんぴら展を見に来た際に偶然見つけた企画展。ぜひもう一回ゆっくり見たいと思って馳せ参じました。
広重代表作である木版浮世絵「名所江戸百景」藝大所蔵本を一挙に展示しています。一言で印象を言うならば「音が聞こえてきそうな絵の数々」です。人々のにぎわう喧騒とか、風の吹く音とか、夕闇の虫の声とか、そこにある生活音がきこえてきそうなのです。
色については藍色~水色のグラデーション、深い緑、やわらかい桃色~紅色のグラデーションの3色が印象に残りました。これが広重にとっての江戸の三原色だったんでしょうかね。
構図のすばらしさは、ゴッホをはじめとする有名画家が模写したことで知られていますが、広重の作品は版画の四角い画面をとても意識した構図になっているような気がします。見る人に障子戸をあけて景色をのぞかせているような。あえてその四角にあわせて遠近の素材を並べたような。配置自体があまり自然でなく、ドラマチックな表現を優先させているように感じるのです。その様子は、限られたスペースに自然を配置して美を完成させた日本庭園のようだと思いました。もちろん、西洋絵画にも特に宗教画にはドラマチックな構図を優先させたものがたくさんありますが、それはあくまで宗教的ストーリーの必要性にせまられてのこと。街の風景を写す絵に、こんなドラマを求める美意識って他にもあることなんでしょうか?
今回気づいたもうひとつの点は、かなり版木の木目がくっきりと作品に表れているものが多く、空や海の平面に微妙なニュアンスの演出に役立っていたということ。絵の具の乗せ方や馬連の力具合など、摺師の技の冴えるところです。着物や掛け軸、それにきっと襖・屏風に至るまで、現代に残る日本の芸術品は名を残した有名絵師以外にもその作品を支えたたくさんの無名の職人の高い技術と職人魂によって完成しているのですよね。もちろんその保存や修復に力を尽くしている現代の職人さんたちの力も無視できません。
100点以上の作品群は本当に見ごたえがあります。週末の昼間にいったところこんぴら展への入場制限で入り口に列ができていましたが、広重展を見たいことを告げるとすぐに入れてもらえました。のこり1週間ほどで会期は終わってしまいますが、世界に誇れるお江戸の粋を、ぜひ多くの人に見ていただきたいと思います。
広重代表作である木版浮世絵「名所江戸百景」藝大所蔵本を一挙に展示しています。一言で印象を言うならば「音が聞こえてきそうな絵の数々」です。人々のにぎわう喧騒とか、風の吹く音とか、夕闇の虫の声とか、そこにある生活音がきこえてきそうなのです。
色については藍色~水色のグラデーション、深い緑、やわらかい桃色~紅色のグラデーションの3色が印象に残りました。これが広重にとっての江戸の三原色だったんでしょうかね。
構図のすばらしさは、ゴッホをはじめとする有名画家が模写したことで知られていますが、広重の作品は版画の四角い画面をとても意識した構図になっているような気がします。見る人に障子戸をあけて景色をのぞかせているような。あえてその四角にあわせて遠近の素材を並べたような。配置自体があまり自然でなく、ドラマチックな表現を優先させているように感じるのです。その様子は、限られたスペースに自然を配置して美を完成させた日本庭園のようだと思いました。もちろん、西洋絵画にも特に宗教画にはドラマチックな構図を優先させたものがたくさんありますが、それはあくまで宗教的ストーリーの必要性にせまられてのこと。街の風景を写す絵に、こんなドラマを求める美意識って他にもあることなんでしょうか?
今回気づいたもうひとつの点は、かなり版木の木目がくっきりと作品に表れているものが多く、空や海の平面に微妙なニュアンスの演出に役立っていたということ。絵の具の乗せ方や馬連の力具合など、摺師の技の冴えるところです。着物や掛け軸、それにきっと襖・屏風に至るまで、現代に残る日本の芸術品は名を残した有名絵師以外にもその作品を支えたたくさんの無名の職人の高い技術と職人魂によって完成しているのですよね。もちろんその保存や修復に力を尽くしている現代の職人さんたちの力も無視できません。
100点以上の作品群は本当に見ごたえがあります。週末の昼間にいったところこんぴら展への入場制限で入り口に列ができていましたが、広重展を見たいことを告げるとすぐに入れてもらえました。のこり1週間ほどで会期は終わってしまいますが、世界に誇れるお江戸の粋を、ぜひ多くの人に見ていただきたいと思います。