プロ野球日本シリーズを制し、38年ぶりの日本一に輝いた阪神。今季、最優秀防御率のタイトルを獲得するなど先発ローテーションの軸となった村上頌樹投手が手記を寄せた。

阪神が頂点に立ちました。仲間たちと最高の喜びを分かち合いながら、丈夫な体に育ててくれ、野球を続けさせてくれた両親にも感謝を伝えたいです。

出来過ぎかなと思うほどの激動の1年でした。昨季までの2年間は1軍で成績を残せず、気持ちは「もう3年目」。今季に結果を出せなければ、クビも覚悟でした。昨年の秋季キャンプで、岡田監督が「1軍経験は少ないらしいけど、球に力があるよな」と言ってくださったことを報道で知り、チャンスを生かさなければと強く感じました。

バッテリーを組むことが多い(坂本)誠志郎さんには、打者に対する考えなど多くを教えていただきました。心に深く突き刺さった言葉もあります。4月12日の巨人戦で、7回完全投球をした後、多くの人が「ナイスP(ピッチング)」と言ってくれた中、誠志郎さんは7回で降板したことについて「投手をやってる以上、悔しさだけは絶対にずっと持っておけ」と。今も心に強く響いています。

今季は野球人生で初めて、走者なしの場面でクイック投法を取り入れました。打者がフルスイングできなくなることで本塁打や安打の可能性を低くするためで、これが分岐点だったといえるかもしれません。

理想は30代後半になっても第一線で活躍できる投手であることです。ファンの皆さんに「虎の村神様」と呼ばれるのは光栄ですが、「村神様」はやはりヤクルトの村上宗隆選手です。村上頌樹という名前で覚えてもらえるよう、これからも頑張っていきたいと思います。(阪神投手)

むらかみ・しょうき 1998年6月25日生まれ、兵庫県出身。奈良・智弁学園高から東洋大を経て、2020年秋のドラフト会議で阪神から5位で指名され入団。プロ3年目の今季に初勝利を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得した。右投げ左打ち。背番号41。