MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

RFコイル(12)

2006-02-12 12:04:32 | Weblog

さて,これから,RFコイルを用いて,どのように回路を構成して,NMR信号を検出するかに関して説明する前に,RFコイルの基礎的なことをおさらいしておきましょう.

RFコイルは,上に示すように,タンク回路と呼ばれる,同調回路を形成することによって使用されます.

この回路を形成するRFコイルは,インダクタンス(自己誘導係数)という回路定数で特徴づけられます.

インダクタンスLは,

V=-L・dΦ/dt

という式で定義されます.ここに,Φ(ファイ)はコイルを貫く磁束,tは時間,Vは,コイルの両端に誘起される誘導起電力です.

「コイルを貫く磁束」という言葉は,一見,簡単な言葉のように思えますが,ループコイル(円形コイル)のように,始点と終点が接近している場合は,解釈しやすいのですが,ソレノイドコイルの場合には,始点と終点が離れており,どこからどこまでの磁束が含まれるのか,解釈が難しい場合もあります.

また,リード線のインダクタンス,銅板のインダクタンスなど,閉回路を形成していない場合のインダクタンスも,しばしば出てきます.

ですから,より一般的には,コイルが周囲の空間に発生する磁場HのエネルギーをUとするとき,

U=L・I^2/2

と定義されます.

すなわち,コイル(あるいは回路素子一般)のインダクタンスは,その素子に電流を単位電流を流したときに,どれだけのエネルギーが磁場のエネルギーとして空間に蓄えられるか,ということを表しています.

つまり,インダクタンスが大きいということは,一定の電流で,磁場のエネルギーをたくさん蓄えることができるということです.Houltの理論と,どこかに接点がありそうですね.

以上が,インダクタンスの物理的な定義であり解釈です.

ただ,これも分かりにくいですね.次回では,さらに,これに解説を加えていきましょう.


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« RFコイル(11) | トップ | RFコイル(13) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事