【北京冬季五輪】 2022年と2008年 2つの五輪、2つの大きく異なる中国
北京はまもなく、夏と冬のオリンピックの両方を開催した最初の都市となる。だが、夏季大会が開かれた2008年から冬季大会が開かれる2022年にかけて、大きな変化があった。
今回はムード、政府の姿勢、国際社会の期待のすべてが、かなり違っている。
私は2008年の夏季北京大会を取材し、今も北京で暮らしている。今年の雰囲気は、まったく異なる。
当然ながら、五輪では常に夏季大会のほうが冬季大会より盛り上がるものだ。単純に、夏の方が参加国が多いからだ。
そしてもちろん今回は、新型コロナウイルスがある。
新型ウイルスの感染が北京周辺で大流行している状況で、「普通の」大会を開催するのは不可能だ。中国は現在も、「ゼロCOVID」戦略を公式に取っている。
そのため、一般観客向けのチケット販売は中止になった。
代わって、国営企業や共産党の関連団体がチケットを配ることになった。隔離や複数回にわたる検査など、会場入りの前後に求められるかもしれない厳しい感染拡大抑止策を順守すると期待される人々に配布される。
だが、仮にCOVID-19の流行がなかったとしても、今の中国は2008年の中国ではない。
2008年の中国は、南部一帯が冬の嵐に見舞われ、ひどい始まり方をした。その後、チベットで僧侶たちの抗議デモが発生。さらに、推定7万人が死亡した四川大地震が起きた。
この地震と、大規模な生存者捜索活動が、中国に対する国際社会の同情を生み出した。
夏季五輪が始まるころには、当時の共産党指導者らはこの善意を利用して、中国の良さを強くアピールした。急速な経済成長、印象的な建造物、活気と娯楽にあふれた都市を見せつけた。以前よりずっとオープンで、エッジのきいた芸術や地下で活動するバンドが活躍し、外国の考え方にも一段と触れやすくなった社会を強調した。