長い長い坂道を上っていくと
ひときわ高い四角い灰色の塔が見えました
お姫様の泣き声はもう聞こえません
ぜったい安全な塔のお姫様は
どうなってしまったのでしょう
みんな少しずつ気になったけれど
絶望の塔に近づく勇気が出ませんでした
「絶望の塔のお姫様、
僕たちは戻ってきたよ」
王子様は明るく呼びかけました
塔の中から泥だらけのお姫様が出てきました
「エレベーターが動かなくて
1階ずつ歩いて下りてくるたびに
もうだめなんだと思ったわ」
「でも、君は下りてきたんだね
ぜったい安全ではないかもしれないこの地面に」
「安全って何?
笑うこともなく、ただ生きていることなの?」
お姫様は初めて会った時のように、泣き始めました
「お城は遠いけど、僕たちと一緒に来ないか」
王子様はさっきよりもっと明るく、笑いました
「私は絶望の塔の姫
希望の王子様とは一緒に行けないわ」
お姫様の声は小さくて、
消えてしまいそうです
「それなら、名前を変えればいいよ
今日から君は希望の姫だ」
お姫様は王子様の顔を見ました
ずっとずっと目をそむけてきた
太陽のような笑顔です
「地下の駐車場にパパの車があったの
その車が動けば、お城まですぐなのに
歩くしかなさそうね」
お姫様は生まれて初めて笑いました
とてもとてもかわいい笑顔でした
ひときわ高い四角い灰色の塔が見えました
お姫様の泣き声はもう聞こえません
ぜったい安全な塔のお姫様は
どうなってしまったのでしょう
みんな少しずつ気になったけれど
絶望の塔に近づく勇気が出ませんでした
「絶望の塔のお姫様、
僕たちは戻ってきたよ」
王子様は明るく呼びかけました
塔の中から泥だらけのお姫様が出てきました
「エレベーターが動かなくて
1階ずつ歩いて下りてくるたびに
もうだめなんだと思ったわ」
「でも、君は下りてきたんだね
ぜったい安全ではないかもしれないこの地面に」
「安全って何?
笑うこともなく、ただ生きていることなの?」
お姫様は初めて会った時のように、泣き始めました
「お城は遠いけど、僕たちと一緒に来ないか」
王子様はさっきよりもっと明るく、笑いました
「私は絶望の塔の姫
希望の王子様とは一緒に行けないわ」
お姫様の声は小さくて、
消えてしまいそうです
「それなら、名前を変えればいいよ
今日から君は希望の姫だ」
お姫様は王子様の顔を見ました
ずっとずっと目をそむけてきた
太陽のような笑顔です
「地下の駐車場にパパの車があったの
その車が動けば、お城まですぐなのに
歩くしかなさそうね」
お姫様は生まれて初めて笑いました
とてもとてもかわいい笑顔でした