夕方に車を運転している時にカーラジオでかかっていた、NHKのラジオドラマ。
聞くとはなく聞いていたら、何だかとても切ない物語だったので、心に残ってしまい、きちんと作品全体を知りたくなったので、後で調べて探してみることにした。
その作品が吉野万理子の「青い羽ねむる」。
登場人物というより、登場鳥の名前が印象的だったので、見つけやすかった。
しかし、読んでみると、ラジオドラマとはお話の展開が違ったので、調べてみたら、ラジオドラマの方はこの『ロバのサイン会』に収録されている「青い羽ねむる」を脚色したものらしい。
小説の方が分量も少なく、話も短いが、それぞれの良さがある感じである。
大学院生の蓮くんが飼っていたセキセイインコのパピプーが、命を終える話。
それをインコの側からの語りで述べてゆく。
動物が喋るお話は数多くあると思うが、インコが語り手というのは、珍しいかもしれない。
インコの語りで、死を語ることによって、大切な存在との別れを描いているのだろう。
動物の側から描くことによって、人間の考え方を相対化しているようなところがある。
それにしても切ない話であるが、今の私には少し厳しい。
ただ、それでも「死」というものの受け止め方が優しいので、スッと心に入ってくる。
作品には明示されていないが、おそらく「母との別れ」をインコの死は象徴しているのではないだろうか?
パピプーはオスだけれども。
登場する朝ドラはおそらく架空のものだろう。
インコの名前がパピプーなのは、なぜなんだろう?
何か意味があるのか。
こうなったら、ラジオドラマの脚本の方も読みたくなってきた。
この短編集は連作短編らしいので、他の作品も読んでみることにする。
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