民・自・公の3党が新制度で正式合意
政府民主党の看板政策のひとつ、「子ども手当」が財源破綻、来年度から廃止し、自公政権時代の「児童手当」をベースに拡充することで、主・自民・公明の3党が正式合意しました。
政府民主党は事業仕分けにより浮いた財源で、子ども手当「26,000円を全額国費で出す」と言って政権交代しました。
しかし現実は、支給金額を半額の13,000円にして、かつ国費どころか児童手当の財源(国・地方・企業が負担)をそっくりそのまま拝借するも、やっぱり頓挫してしまいました。
これに対し新制度は、公明党が2009年度衆院選のマニフェストで掲げた、「児童手当の支給額の倍増」の公約を実質的に満たす、しっかりした財源の裏付けある制度です。
◆支給額が変わります |
旧児童手当 ⇒ 新児童手当 |
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3歳未満(一律) |
1万円 ⇒ 15,000円 |
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3~12歳 |
第1子と第2子 |
5000円 ⇒ 10,000円 |
第3子以降~ |
1万円 ⇒ 15,000円 |
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中学生(一律) |
0 円 ⇒ 10,000円 |
◆支給額の変更は今年の10月から。
◆実際の支給は、来年の2月支給分から適用されます。
◆来年度以降は、「児童手当法」基本の恒久的制度とする。
◆額面年収960万円程度からの所得制限をもうける。
所得制限対象世帯への配慮と
それを財源とした、被災地の復興支援
所得制限の該当世帯は、手当を受けられない上に年少扶養控除も廃止で負担大となるため、来年度から税・財政措置を講ずることになっています。
これにより生み出された財源は、震災復興にも活用されます。全世帯の1割に当たる所得の高い世帯には、震災復興のためにも何とか協力いただきたいとの趣旨です。
政府民主党が当初主張していた、全額国費負担で所得制限なしで26,000円支給するには5.5兆円かかるのですが、現実はその半額の13,000円でもなお汲々としていた訳です。
さらに今年度の政府の子ども手当の財源は、2.9兆円でしたが今回の見直しにより、約7000億円が圧縮され、2.2兆円に改められました。
従来の児童手当の所要額は、年間1兆円。公明党は今回の見直しで、従来の児童手当の財源1兆円と年少扶養控除の廃止による国と地方で1.1兆円、合計2.1兆円程度を、新制度の財源と考えました。
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今回の3党合意では、子どもが小学生以下の場合、以前の児童手当に比べて月5000円しか増えません。
その一方で、年少扶養控除廃止によって、年収500~800万円程度の層では、月6000~9000円の増税になります。
差し引きでは、1000~4000円のマイナスです。
4000円のマイナスといったら、以前の児童手当(5000円)もほとんど吹き飛んでしまいます。
世帯によっては、「子ども手当廃止」どころか「児童手当廃止」に等しいのです。
「児童手当廃止法案」に公明党は賛成するのでしょうか?
貴重なご意見大変にありがとうございます。子を持つ親御さんにとって重大な問題であることはいうまでもありません。私はそれらの政策の決定に携わる立場ではありませんが、この問題は第一に財源ということに集約され、二つに時系列を整理して見ないとわかりづらいと考えています。
①まず始めの前提として、政府は26000円を全額国が出すと言いながら財源を見つけられず、地方と企業も財源を負担する児童手当を一時的財源としてベースにしましたが、それでも半額の13000円しか出せませんでした。
②その後、年少扶養控除の廃止は、政府により22年度に決定されました。
③さらに現行の子ども手当は、単年度限りであった平成22年度の子ども手当法を6ヶ月間延長する暫定措置法で維持し、その間に当然政府はそれ以降の手当支給のための財源を示す責任がありました。
④この間、年少扶養控除の廃止による負担増や存続が危ぶまれる変則的暫定的子ども手当制度によって子育て世帯の不安が増大する中、当然今後の恒久的な制度への明確な道筋が求められました。
⑤しかし、平成22年度に続き子ども手当の恒久的な制度設計ができなかった政府が、23年度の手当支給について当初提出した法案は、3歳未満の支給額を2万円に引き上げ、それ以外は中学校修了前まで1万3000円を所得制限なしで支給するというものであり、規模は2兆9000億円、しかも、昨年度同様、児童手当法の枠組みを残したままの単年度限りの中途半端なものでした。
⑥これに対し公明党は、現物給付とのバランスが確保されていないことや、恒久的な財源確保の見通しが立っておらず、子育て世代の安心につながらないことなどを指摘し、制度の見直しを求めました。しかし、政府が再提出した法案は、昨年度の内容を半年間延長するいわゆるつなぎ法案であり、到底賛成できるものではありませんでした。
⑦この時点で公明党は、政府に対し、子ども手当の実現はできないと認め、マニフェストの欠陥を国民に謝罪し、一から制度設計をやり直すよう求めました。折しも、東日本大震災が発生し、復旧復興に大きな財源を要するという事態の渦中です。速やかな具体的方策が必要でした。しかし政府からは改善案は出ず、時間だけが経過しました。
⑧事ここに至り公明党は、子ども手当の存続が難しくなった以上、原点に立ち返って、児童手当に戻り、その上で、年少扶養控除の廃止による負担増を緩和するため、これを還元して児童手当を拡充すべきであるという公明党案を提案したのです。具体的には従来どおり所得制限を設けつつ、手当額は一律1万円、支給対象は中学校修了前まで拡大するという内容でした。
⑨その後、実務者協議の中でさらに検討を加え、3歳未満と第3子以降の子供は手当額を1万5000円に増額し、所得制限も大幅に緩和するなど、建設的な提案を続けました。
⑩こうした公明党の考え方をベースにして協議が進み、8月4日の三党合意に至ったということです。政府に対し、「この三党合意の重みを今後も民主党は忘れないでいただきたい」と衆議院本会議の討論では述べられています。
公明党案が完璧であるとは決して主張するものではありません。もっと優れた法案があれば、言いだしっぺの政府民主党がまずは是非とも提案すべきです。しかし、26000円全額国費で、必ず子ども手当て制度を作ると宣言した民主党の公約は事実の上で破綻してしまいました。
仮に、公明党が全く何もしなければ、現在の子ども手当が暫定的時限立法である以上、結論は以前の児童手当法に基づく児童手当に戻るだけということになります。
ただ様々な党内事情を乗り越えての今回の3党合意については、民主党の決断を
評価すべきだと思いますし、ゆうくんパパのご指摘のようにまだまだ不備な点あるいは不平等な点があると思います。
今回、平成24年度以降、児童手当法の所要の改正を行うことを基本とすることが検討規定に明記され、新たな手当制度は、子ども手当ではなく児童手当の拡充によって行うことが明文化されました。
今後は恒久的な手当制度づくりに向け、党利党略ではなく、子育て世代の立場に立って考えていくことがとても重要であり、財源や所得制限世帯への対応など残された課題についても与野党が知恵を絞るべきであり、各種控除の扱いも単なる容認ではない、財源の観点からの議論とすべきだと思います。
ゆうくんパパの立場はわかりませんが、その問いである、「児童手当廃止法案」に公明党は賛成するのでしょうか?━というテーマは今後も国政に対する地方の声として重く受け止め伝えて行きたいと思います。長くなってごめんなさい。あぶかわ