人気の「健全」携帯サイト、実際は「不健全」で大量削除
4月2日17時4分配信 読売新聞
未成年にも人気の携帯交流サイト「ミクシィ」や「モバゲータウン」に、警視庁が異例の削除要請に踏み切った。
削除要請を受けた6社のうち4社のサイトは、携帯サイト業界などで作る審査機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」から「健全サイト」として認定され、フィルタリング(閲覧制限)対象から除外されている。認定サイトが児童買春の温床になりかねないと判断された形で、今後、審査のあり方も問われそうだ。
今年1月、ミクシィの書き込みをチェックしていた警視庁少年育成課の担当者は、驚いた。「出会い」というキーワードでサイト内を検索すると、約600件ものコミュニティ(サイト内のグループ)が見つかったのだ。「出会いが欲しい」「出会いという奇跡」「一期一会の出会い」など、いずれも異性との出会いを目的とするもの。コミュニティ内には、「16~24歳の間の交際相手を希望します」「中学生。彼氏募集中です」といった書き込みがあふれ、中には4万件ものアクセスが集中するコミュニティもあった。
同課が削除要請に踏み切ったのは2月。ミクシィの画面には、削除されたページの一部が残り、削除理由も明示されていないため、インターネット上では「なぜ急に削除されたのか」などと不審がる声が上がっていた。
こうした大手の交流サイトはこれまでも、しばしば犯罪の舞台となってきた。警察庁によると、昨年、出会い系以外で買春などの被害にあった18歳未満の子供は792人と、出会い系の724人を上回っている。
一昨年11月には、モバゲータウンで知り合った無職の男に女子高生が殺された事件が起きたほか、昨年5月には千葉県の女子中学生がグリーで知り合った男から腹などを刺される殺人未遂事件も発生。こうした傾向は、昨年12月に出会い系サイト規制法が強化され、会員の身分確認をしないと運営できないようになって以降さらに強まってきている。
有害サイト規制法の改正により、今月から、携帯電話会社には18歳未満の契約者に有害サイトを見られなくするフィルタリング(閲覧制限)機能を提供することが義務づけられた。
ところが、今回、警視庁から削除要請を受けた大手交流サイトのうち4サイトはフィルタリングがかかっている携帯電話でも見ることが可能だ。
フィルタリング化の動きに反対した携帯サイト業界などは昨年、EMAを設立、独自に「健全サイト」の認定を進め、認定サイトについては携帯電話会社にフィルタリング対象から外させている。すでに大手25サイトが、フィルタリング対象外となっている。
インターネット・ホットラインセンターの吉川誠司・副センター長は「子供の利用するサイトとして交流サイトがEMAの認定を受けるのには疑問を感じる。このまま次々と認定サイトが増えればフィルタリングが実質的に機能しなくなるかもしれない」と懸念を示した。
EMAは「認定の仕組みが現在のもので十分とは思わないし、今後も改善はしていく。だが、ネット上に限った交際相手を募集していても『出会い系』とみなされてしまうのは問題だ」としている。
最終更新:4月2日17時4分