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読書(20080120)

2008年01月21日 02時47分37秒 | Weblog
入不二基義『哲学の誤読』(ちくま新書)

本書は自身が駿台予備校で教壇に立っていた著者が,大学入学試験の現代文問題から数題を選択し,それに哲学的な読解を加えていくプロセスを記したものである。

哲学的な読解というと何か特別な響きがあるが,そして,もちろん,筆者自身も述べているように,大学入試というゲームの規則とは異なっていることはたしかではあるが,しかし,にもかかわらず,本書で示されている読解の作法は,読むという行為に真摯に取り組むとすれば,ごく自然に取ることになるものであり,それゆえに,そのプロセスで明らかにされる,大学入試で常識とされている読解法が生み出す誤読の発掘がいっそうスリリングなものとなっている。