
シューマン:交響曲第4番 ニ短調
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1957年4月、モノラル・セッション録音(EMI)
カラヤンはシューマンの第4番を得意レパートリーとしており、数種類の録音が遺されています。
私は1972年のシュターツカペレ・ドレスデン盤(DG)と今回採り上げるEMI盤を長年愛聴しています。
完成されたカラヤン美学が光る1971年の全集盤も良いのですが、より若々しくエネルギーに満ちたEMI盤に大いに惹かれます。
冒頭から厚みのある黒光りするようなBPOサウンドが魅力いっぱいです。
ゴロゴロと轟き渡る重石のようなティンパニはテーリヒェンでしょうか?要所要所で演奏を見事に引き締める素晴らしい音色です。
速い楽章は当時の覇気に溢れたカラヤンを象徴するかのような凄まじいエネルギーと推進力に満ちており圧倒的。
第1楽章の序奏から主部にかけての雪崩込むような表現は、後年の録音からは聴けません。
一転、第2楽章や終楽章序奏におけるオケの美質を活かしたじっくりとした歌わせ方は、後年ほど耽美に過ぎず適度にカラッとしており好ましいです。
そして終楽章コーダ、エンジン全開の凄まじい追い込みで一気呵成に全曲を結びます。
久々に聴き返しましたが、やはりDGへの再録音を遥かに凌ぐ熱演で同曲屈指の名盤だと思います。
録音も、モノラル完成期の秀逸なもので下手なステレオよりも遥かに聴きやすく何の不満もありません。
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