キミとなら、いつまでも一緒にいられると思った。
最初は不服そうだった旅行も、出発してみればキミの方がはしゃいでいた。
電車を乗り継いで行くなんて信じられないって言っていたけど。乗り合わせた遠足の子供達に眼を奪われていたっけか。わいわいガヤガヤ、先生も大変だねって言ったのに、キミ、聞いてなかっただろ?
「あんなには欲しくない」って…質問、違うから。それもそれで、意味深だけどね。
残念ながらお天気が悪く、景色はあんまり見れなかったけれど。
初めて見る物ばかりで、キミはとても楽しそうだった。
山の中の湖。旧型の車。浮かぶボートと釣り人達。深い深い森。
コウモリが棲むという洞窟に入る時は、ちょっとした探検隊気分で。低い天井にヘルメットぶつけて、冷たい空気に息を呑んだ。
それからロープウェイにも乗って、山の展望台にも行った。遠くに軍の練習場が見えて、「何か飛ばないかな」って凝視してたけど…今日ぐらいは忘れてもらいたかったな、そういうの。
…無理な話? そうか、なら仕方無いや。
夕食はフルコース。シェフの逸品、今回のメインの1つ。
このホテルを選んだ理由でもあるディナーに、キミが眼を輝かせないはずが無い。牛肉のタタキ、ホタテとカニのオードブル、二層のスープ。ちょっと夏野菜には苦い顔してたけど、バルサミコソース、美味しかったじゃないか。
ラストのデザートと、忘れちゃいけない食後のコーヒー。これが決まらないとね。今夜はキミも挑戦。
…やっぱり苦くてミルクと砂糖だばだば入れてたけど、それじゃあコーヒー牛乳じゃない?
一晩明けて、バターが香るサクサクのクロワッサンとケチャップなんて要らないフワフワのオムレツを食べたら、出掛けよう。
最初はラベンダー畑…時期はちょっと過ぎちゃってるけどね。湖の方にも下りてみよう。名前も知らない花が咲いてる。ススキももう開き始めてるね。夏だと思ってたのに、秋の足音。
水面に吹く風の中、遠くで犬が吠えてる。あれ? でもこの声は何? コケコッコーって、どっかで聞いたことあるような………
「なぁ、見ろっ! お前が沢山いるぞ!」
違うっ、違うからそれ! ニワトリみたいだけどね、それはウコッケイって言うんだよ!!
…こんなやりとり、鳥小屋の隣りで絵を描いてたおじさんは、どんな眼で見ていたんだろう。
微笑ましいな、って思ってくれていると、嬉しい…
それから、それから。
オルゴール館にも行った。自動楽器と弦楽四重奏。やっぱり生っていいよね。お昼のサンドウィッチも美味しかった。
ハーブ館にも行った。やっぱり時期がズレてて、庭は荒れてたけど。ラベンダーソフトクリームが美味しかった。
写真も撮って、お土産も買って。夕飯には“ほうとう”も食べて。ああもう、食べ物ばっかりだ。でもそれも、旅の楽しみ方。
また電車に乗って、街に帰る。あっと言う間の、2日間。
「うん、まぁ楽しかった…な」
感想を聞いたら、やっぱりそんな答えが返って来た。
でもそれでいい。それがキミだから。顔を見れば分かる。声を聞けば分かる。
お土産のブルーベリーマフィンの袋を覗き込むキミのその笑顔が、証拠だ。
「また来よう?」―――そう言ったオレに、表情を作るのも忘れて、キミは答えた。
「うん!」
その笑顔を、ずっとずっと見ていたいと、思った。
夜の街を、電車が流れて行く。
まるでそこだけ時間が止まったかのように。月並みだが、よく当てはまる表現。
静かな車内に、線路の奏でる音だけが流れ、車窓は時折民家の明かりが見える程度の闇。
これが本当の夜。怖くはないが、こういうものだということを少し忘れていた。
だから私は、そっと手を握る。
隣りで眠っている、貴方の。
バスでの移動中、遠くを見る貴方の横顔は、優しかった。
沈黙が心地いい。旅の間でもそうだった。
いきなり誘われた時には驚いたけれど、それでも、あの感想は嘘じゃない。
貴方が、輝いていた。いつもより、ほんの少し。
貴方と、ずっと一緒にいられた。
貴方と、同じ物を見て、同じ物を食べて、同じ経験をした。
それがこんなにも幸せだと思えるのは、旅の所為?
いつもと違うことを、日常を飛び出した所為?
ああ、やっぱり、貴方の所為?
だとしたらそれも、嬉しいこと。
とてもとても、嬉しいこと。
貴方と、いつでも一緒にいること。
それがまるごと、楽しいこと。
「………おかえり…」
その寝言は、ちょっと早いぞ。
そう言ってあげてもいいけれど、起こしてしまうだろうから。
まだまだ駅は遠い。だから。
「…ありがとう」
それだけを伝えて、帰ろう。
* * * * *
…そして結局2人で寝過ごしそうです。我々は平気でした(何)。
騒ぎまくっていたブリーチは結局東京でも放送されておらず(何だよロンハー! ちょっと見たかったけど結局夕食被ったよ!)、あまつさえ夢で柊センパイが現れ(しかも左手負傷でバイオリン弾けないなどという「うわ自分イってるなぁ」と夢の中で思うストーリー…しかもラストで倒れてたぞ?! そのままその回の放送終わったぞ?!)、すったもんだの旅でした。
でも恋人達ならこんな感じ。移動時間長かったね、結構。妄想炸裂さぁ。
ホテルで時間が余ったので原稿も書いてみたり。気分は小説家!
…ルームサービスは駄目でも、担当さんが頼んでおいたアロエヨーグルトを近所のコンビニで買って持って来てくれるようなカンヅメ作家になってみたいものです。(微妙)
ともあれ夏も終わり! 1ヶ月間毎日ブログ更新成功!
今夜も井上さんの出てる映画があったんですが、シナリオよく分からん上に台詞少なめだったのでちょい見で終わらせてしまいました!
遊んで色ヴォケて勉強した夏。さぁ、いよいよ本番…秋が来るぜぇっ!!
次回からは、受験日までカウントダウンします。久々だねー。
最初は不服そうだった旅行も、出発してみればキミの方がはしゃいでいた。
電車を乗り継いで行くなんて信じられないって言っていたけど。乗り合わせた遠足の子供達に眼を奪われていたっけか。わいわいガヤガヤ、先生も大変だねって言ったのに、キミ、聞いてなかっただろ?
「あんなには欲しくない」って…質問、違うから。それもそれで、意味深だけどね。
残念ながらお天気が悪く、景色はあんまり見れなかったけれど。
初めて見る物ばかりで、キミはとても楽しそうだった。
山の中の湖。旧型の車。浮かぶボートと釣り人達。深い深い森。
コウモリが棲むという洞窟に入る時は、ちょっとした探検隊気分で。低い天井にヘルメットぶつけて、冷たい空気に息を呑んだ。
それからロープウェイにも乗って、山の展望台にも行った。遠くに軍の練習場が見えて、「何か飛ばないかな」って凝視してたけど…今日ぐらいは忘れてもらいたかったな、そういうの。
…無理な話? そうか、なら仕方無いや。
夕食はフルコース。シェフの逸品、今回のメインの1つ。
このホテルを選んだ理由でもあるディナーに、キミが眼を輝かせないはずが無い。牛肉のタタキ、ホタテとカニのオードブル、二層のスープ。ちょっと夏野菜には苦い顔してたけど、バルサミコソース、美味しかったじゃないか。
ラストのデザートと、忘れちゃいけない食後のコーヒー。これが決まらないとね。今夜はキミも挑戦。
…やっぱり苦くてミルクと砂糖だばだば入れてたけど、それじゃあコーヒー牛乳じゃない?
一晩明けて、バターが香るサクサクのクロワッサンとケチャップなんて要らないフワフワのオムレツを食べたら、出掛けよう。
最初はラベンダー畑…時期はちょっと過ぎちゃってるけどね。湖の方にも下りてみよう。名前も知らない花が咲いてる。ススキももう開き始めてるね。夏だと思ってたのに、秋の足音。
水面に吹く風の中、遠くで犬が吠えてる。あれ? でもこの声は何? コケコッコーって、どっかで聞いたことあるような………
「なぁ、見ろっ! お前が沢山いるぞ!」
違うっ、違うからそれ! ニワトリみたいだけどね、それはウコッケイって言うんだよ!!
…こんなやりとり、鳥小屋の隣りで絵を描いてたおじさんは、どんな眼で見ていたんだろう。
微笑ましいな、って思ってくれていると、嬉しい…
それから、それから。
オルゴール館にも行った。自動楽器と弦楽四重奏。やっぱり生っていいよね。お昼のサンドウィッチも美味しかった。
ハーブ館にも行った。やっぱり時期がズレてて、庭は荒れてたけど。ラベンダーソフトクリームが美味しかった。
写真も撮って、お土産も買って。夕飯には“ほうとう”も食べて。ああもう、食べ物ばっかりだ。でもそれも、旅の楽しみ方。
また電車に乗って、街に帰る。あっと言う間の、2日間。
「うん、まぁ楽しかった…な」
感想を聞いたら、やっぱりそんな答えが返って来た。
でもそれでいい。それがキミだから。顔を見れば分かる。声を聞けば分かる。
お土産のブルーベリーマフィンの袋を覗き込むキミのその笑顔が、証拠だ。
「また来よう?」―――そう言ったオレに、表情を作るのも忘れて、キミは答えた。
「うん!」
その笑顔を、ずっとずっと見ていたいと、思った。
夜の街を、電車が流れて行く。
まるでそこだけ時間が止まったかのように。月並みだが、よく当てはまる表現。
静かな車内に、線路の奏でる音だけが流れ、車窓は時折民家の明かりが見える程度の闇。
これが本当の夜。怖くはないが、こういうものだということを少し忘れていた。
だから私は、そっと手を握る。
隣りで眠っている、貴方の。
バスでの移動中、遠くを見る貴方の横顔は、優しかった。
沈黙が心地いい。旅の間でもそうだった。
いきなり誘われた時には驚いたけれど、それでも、あの感想は嘘じゃない。
貴方が、輝いていた。いつもより、ほんの少し。
貴方と、ずっと一緒にいられた。
貴方と、同じ物を見て、同じ物を食べて、同じ経験をした。
それがこんなにも幸せだと思えるのは、旅の所為?
いつもと違うことを、日常を飛び出した所為?
ああ、やっぱり、貴方の所為?
だとしたらそれも、嬉しいこと。
とてもとても、嬉しいこと。
貴方と、いつでも一緒にいること。
それがまるごと、楽しいこと。
「………おかえり…」
その寝言は、ちょっと早いぞ。
そう言ってあげてもいいけれど、起こしてしまうだろうから。
まだまだ駅は遠い。だから。
「…ありがとう」
それだけを伝えて、帰ろう。
* * * * *
…そして結局2人で寝過ごしそうです。我々は平気でした(何)。
騒ぎまくっていたブリーチは結局東京でも放送されておらず(何だよロンハー! ちょっと見たかったけど結局夕食被ったよ!)、あまつさえ夢で柊センパイが現れ(しかも左手負傷でバイオリン弾けないなどという「うわ自分イってるなぁ」と夢の中で思うストーリー…しかもラストで倒れてたぞ?! そのままその回の放送終わったぞ?!)、すったもんだの旅でした。
でも恋人達ならこんな感じ。移動時間長かったね、結構。妄想炸裂さぁ。
ホテルで時間が余ったので原稿も書いてみたり。気分は小説家!
…ルームサービスは駄目でも、担当さんが頼んでおいたアロエヨーグルトを近所のコンビニで買って持って来てくれるようなカンヅメ作家になってみたいものです。(微妙)
ともあれ夏も終わり! 1ヶ月間毎日ブログ更新成功!
今夜も井上さんの出てる映画があったんですが、シナリオよく分からん上に台詞少なめだったのでちょい見で終わらせてしまいました!
遊んで色ヴォケて勉強した夏。さぁ、いよいよ本番…秋が来るぜぇっ!!
次回からは、受験日までカウントダウンします。久々だねー。