先日の速報記事で紹介ましたが、10月20日発売の書籍「鉄道ジャーナル2018年12月号」に私、八草きよぴの執筆記事「香港返還から20年・香港島路面電車の現況と車両」(記事では「赤井清水」名義)が掲載されました。
私の紙媒体での記事執筆は初めて。記念すべきものといえます。
是非お買い求めください
2018年12月号の特集記事は「車両譲渡の実際」
主に大手私鉄・JRから地方鉄道に譲渡された中古車の譲渡先での現状や今後の課題が紹介されています。
私の記事は126~129ページに掲載されています。
紙数の関係もあり他の記事に較べて写真が少な目で字ばかりになってしまいましたが、それだけ色々書いてあるということで考えていただけるとありがたいです。
詳細と全ての見出しはこちら(鉄道ジャーナル社サイト)
さて今回の記事で紹介した香港島トラム。鉄道が好きでもそうでもなくても香港を訪れたことがある人なら乗ったことがない人もそうはいないと言っても過言ではないほど、香港観光の名所としても有名ではないかと思います。
返還前後の香港ブームの頃に香港を訪問された方からすれば、2階建てやポール集電・2軸車など今となっては珍しいが、停名表示すら満足に行われておらず、全電停掲載の路線図すらない、日本の感覚からはまるで保存鉄道かのような旧態依然な印象を感じた方も多いかもしれません。
一方で返還から20年経過した2010年代も終わりの現代、ポール集電・2軸車・2階建てという相変わらずなスタイルは旧態依然のようにも見えますが、VVVF化・LED表示やWebでのリアルタイム運行情報提供、冷房車導入など着実に時代にあわせて進化している姿を感じていただければと思います。
今回の記事では、香港島トラム研究では有名で日本のテレビ番組にも出演されたことがある、 香港電車文化保育学会・会長のJoseph Tse氏及び中国鉄道研究の大家である岡田健太郎氏(近著は「撫順電鉄 撫順砿業集団運輸部 ―満鉄ジテとその一族―」)という南北の両巨匠から写真の提供を受けることが出来たのも幸運です。
記事で「LRTではない旧来のトラムスタイルの香港島路面電車が現在でも存続出来ている背景の一つとして、東京をはるかに凌ぐ香港の過密都市ぶりがある」としましたが、その過密都市ぶりが表現され私のイメージによく合致した画像を岡田氏から提供していただきました。
Joseph氏からは香港返還が迫る90年代半ばに新時代のトラムとして模索していた、貴重なモックアップの写真を提供していただけました。やはり文章だけで説明するのに較べて写真だと百聞は一見に如かずで分かりやすいものです。
日本の鉄道趣味界ではとかく海外の鉄道への関心が薄く、過去の鉄道ジャーナル誌の読者投書欄などで「海外の記事を載せないで欲しい」といった投書が紹介されたり、海外記事が多いと売上が落ちるといった内実が紹介されたことがあります。
海外鉄道への関心が薄い理由としては諸説語られますが、やはり実態がよくわからず掴みどころがないという部分が大きいのではないでしょうか??
また一方で数少ないとされる海外鉄道に関心のあるファンの間でも「香港の鉄道は都市鉄道のみで趣味的にあまり面白くない」「香港自体が中国大陸・東南アジア圏への出入口」としての認識で香港の鉄道自体が今一つ注目されてこなかった部分もあるように思います。
一方で香港そのものは、返還前後の香港ブームをはじめ、特に近年ではLCC航空の台頭により実勢航空運賃が下がっていることなども相まって日本からの気軽な海外旅行先、職場や家族旅行先などとして、日本人の訪問が多い海外の都市でもあります。また近年ではIT関連で注目を集めている深圳電脳街への出入り口として香港を訪れる方もいるのではないでしょうか??
今回紹介した香港島トラムは香港の観光名物の一つにもなっていることもあって、香港を訪問すれば鉄道目当てでなくても乗車することも多いでしょう。
今回の記事では香港に不慣れな方がこれから訪れる際に役立つ情報も含めてみました。私の記事を掴みどころや叩き台の一つとして、香港そして海外鉄道に関する興味・関心が広がり今後の調査・研究が進むことを期待します。
家で平積みをやるのもなかなか壮観なものです
是非書店などで買ってくださいお願いします
定価は税込1000円です
2018/10/29 19:40(JST)