喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

千代田区の一部公園禁煙化に喜びの声

2018-05-15 23:55:09 | タバコ問題への取り組み

千代田区は4月1日から区内の一部公園を禁煙化しました。
4月1日に禁煙化の該当公園となった錦華公園の、その後の変化をご報告したいと思います。


4月1日に公園が禁煙化した後、2日の朝に錦華公園脇の坂を下り表門まで来ると
5mくらい公園に入ったところで、一人の方が立ってタバコを吸っていました。
これまで、私はタバコの煙に曝されると頭痛や吐き気が生じ
咳喘息の時には咳を誘発し、症状が悪化してしまうので
特別な場合を除いては、喫煙している方に声をかけたことはありませんでした。
しかし、このところかなり環境タバコ煙を浴びる機会も少なくなり
体調が良かったことも手伝って、タバコを吸っている方に声をかけてみました。

「おはようございます。お兄さん、ちょっといいですか」

(私?という感じで、タバコを吸いながら、片方の指で自分を指す)

「はい」(手招き)

(タバコを手に近づいてくる)

「昨日から、千代田区の一部の公園は禁煙になって、この錦華公園も禁煙になったんですよ」
 (門の所に貼ってあるポスターを見せる)

(ポスターをにらみながら、まだタバコを手に持っている)

「今月は周知期間ということで、まだ過料は取られませんが
  来月から喫煙すると2000円の過料が課せられることになっています」

「過料?」

「はい。行政が課すことができる罰金のようなものです。2000円です」

(ビクッとして目をむいてポスターをにらみ、頷きながら立ち去る)

上記のような声かけをすること3日間。
興味深く感じたことは
・喫煙している人に声をかけた段階では、タバコを消さずにどんどん近づいてくる
・「4月1日から公園が禁煙になった」と説明しても、タバコは消さない
・過料がなにかを知らない
・「5月から過料(行政が課す罰金のようなもの)を徴収される」というと
 ビクッとなって慌ててタバコを消す
・複数の方に、「教えてくれてありがとうございます」と言われた

ところが、2日目の声かけを終えてから咳が出始め
3日目にはタバコを吸っている人に至近距離で一定時間説明をすることが
かなり苦痛を伴うようになってきました。
咳も止みません。
これはまずい…、ということで
昨年12月にパブリックコメントを募集した際の素案に基づき、5日、千代田区に
・掲示を増やす(条例施行時点で、ポスターが2箇所にあるのみ)
・看板に明記する、看板を設置する(条例施行時点で看板への記載なし、看板なし)
・案内員(誘導員・監視員)を配備する
・青色パトロールカーで広報する
等、ありとあらゆる方法での周知を要望しました。
公園の禁煙化は、既に昨年12月にパブリックコメントを行っており
禁煙化に伴う予算の確保はできているはずです。
千代田区からは、4月13日に道路公園課長と健康推進課長の連名で回答がありました。

(回答の概略) 
現在、区内17公園における禁煙化に伴い、公園管理者が設置してきた喫煙所の灰皿等の撤去作業を進めております。
しかしながら、ご指摘いただいたとおり、看板設置などの周知活動に遅れが出てしまっているところです。
このため、錦華公園周辺につきましては、青色パトロールカーによる朝方の巡回を強化するとともに、喫煙者を近隣喫煙所へ誘導する案内員を配置し、周知活動を行っております。
また、看板などの掲示類につきまして、5月の連休後の設置予定となりますが、準備を進めているところです。
作業の遅れにより、ご迷惑、ご心配をおかけしてしまい大変申し訳ございませんが、公園の状況を注視しつつ、関係各課で連携しながら、効果的な方法による周知を進めてまいりますので、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

回答があった翌週から、錦華公園では、案内員の方が2名1組で巡回するようになりました。
喫煙している方・しようとしている方への声かけと、ごみ拾いをしながらの巡回です。
驚いたことに、案内員の声かけは目に見える効果を発揮しました。
声かけからほどなく、公園で喫煙する人を見かけなくなりました。
案内員がいるときだけでなく、いない時でもタバコを吸っている人はいません。
私は朝しか通らないのでほかの時間帯は存じませんが
少なくとも朝の時間帯、お茶の水幼稚園の園児たちが公園でのびのびと遊ぶ姿を見て
立法(条例)による規制と行政の適正な運用によって
タバコの煙から市民を保護することができるお手本を見た思いでいます。

山の上ホテル側に面した高台では、たまにタバコを吸う方を見かけましたが
この看板が設置された後は、ここでタバコを吸う方を見かけていません。


なによりうれしかったのは、お茶の水幼稚園の方に、公園禁煙化の喜びの声を伺えたことでした。
これまで、公園内には
「子供が利用しているときは喫煙をご遠慮ください。 千代田区」
と書かれた看板が設置されていました(現在は撤去済み)。

しかし、当ブログ2月3日の記事にもあるとおり、園児がいてもタバコを吸う方は後を絶たず
ある日、園児たちが公園で整列しているのにタバコを吸い続けている方々がいるのを見かねて
通りかかった千代田区のパトロール員に、喫煙をやめさせてほしいと伝えたところ
「公園は禁煙ではないのでやめさせることはできない」
と言われ、少なからず衝撃を受けたこともありました。
お茶の水幼稚園の方も、園児が公園に出るときは
タバコを吸っている方に声をかけるとやめてくれることもあるが
園児が教室に入ると途端にタバコを吸われて、本当に困っていた、とおっしゃっていました。
お茶の水幼稚園の方によると、公園禁煙化をなにより喜んだのは
幼稚園に通っている子供の保護者の皆さんだそうです。
自宅に環境タバコ煙がほぼない家庭では、なぜ子供が通う幼稚園で受動喫煙に遭うのか
しかも、園庭として利用している公園が受動喫煙環境下に置かれているということは
理不尽でしかなかったでしょう。
お茶の水幼稚園の方も、公園が禁煙になったこと
そして、千代田区が案内員を配して毎日見回りを実行していくれていることを
心から喜んでおられました。
錦華公園に隣接しているお茶の水小学校にも、タバコの臭いが流れていくこともなくなりました。


私が公園禁煙化の経過を観察し続けているのは錦華公園のみですが
2014年千代田区生活安全条例改正→2018年東京都子どもを守る条例施行→
千代田区公園禁煙化は、成功していると言えるでしょう。
それもひとえに、千代田区が厳格に条例を運用し、案内員を配しているためと考えます。
お茶の水幼稚園の方が感謝していらしたのと同じように
雨の日であってもレインウェアを着て公園を巡回している案内員を見かけるたびに
頭が下がる思いで、先日は直接お礼の言葉をお伝えすることができました。
案内員による声かけが始まって以来、タバコを吸う方を見ないので
声かけを無視して過料を徴収される場面に遭遇したことはありませんが
過料を徴収すると明確に打ち出したことも、案内員の活動を補強しています。
よく、灰皿がなくなると歩きタバコやポイ捨てが増えるかのように言われますが
少なくとも千代田区では、錦華公園で喫煙できなくなったことで歩きタバコが増えたり
路上にタバコの吸い殻が散乱することが増えたということはありません。
条例はあるものの、一向にタバコ対策が進まない自治体は
「仏造って魂入れず」であって、運用の不備であり、行政の怠慢にほかなりません。
厳格な条例の運用によって、公園が、誰もが利用できる本来の姿に戻ったことは
大変喜ばしいことです。


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2 コメント

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公園は全て禁煙にすべきです。 (喫煙ゼロ)
2018-06-17 14:59:13
公園は全て禁煙にすべきですね。
公園が安全に利用出来る事、当たり前と思います。
喫煙可の為に、公園が喫煙スペースになっている事、深刻です。
それが禁煙地区になって安全になる、とても素晴らしいです。

自分の住んでいる所にも大きな公園がありますが、喫煙者が頻繁にタバコを吸っています。
自分は受動喫煙症になっているので、近づいて注意を本人に出来ません。
公園は地元の自治体が管理しているので、何度も要望を伝えています。
しかしまだ禁煙になっていません。
この公園は幼稚園、小学校、中学校等、学校の行事に使用されて生徒たちがたくさんお昼ご飯を食べたりしている時があります。
時々、イベントにも利用されています。
子どもたちがご飯を食べているそばのベンチで喫煙者が喫煙しています。
教師や親が喫煙者に注意すべきと思いますが注意しません。
残念な事と思います。
喫煙者に喫煙を注意するとキレる者が多く、傷害事件も全国で起きています。
傷害事件に巻き込まれない様に気を付けなくてはいけません。
喫煙者はニコチンやシンナー等の薬物依存症患者なので、精神的に問題を抱えている者が多く、それで傷害事件を起こしやすい。
注意も出来ず、改善もされず残念です。
近くにいるだけで具合が悪くなる為に最近は公園も中々、入れず利用出来ません。
綺麗な空気を吸いたくて公園に来たら喫煙者がいる。
緑があって空気が綺麗な所に汚染をばらまいている。
おかしな状況が日本の公園で起きていると思います。
早く公園は全て全面禁煙に指定すべきと思います。
公園利用の障壁となる行為を取り除く (荻野寿美子)
2018-06-18 00:39:20
喫煙ゼロさん、おっしゃるとおり、誰もが利用する場所は、誰もが利用できる環境を整えることでこそ、その利用目的に叶うことになります。
公園は皆が憩ったり、遊びを楽しんだりするために公開された場所ですので、ある行為によって利用が妨げられることがあるのであれば、その行為が禁止されるのは当然だと思います。
喫煙が皆の利用の障壁になっているのですから、その障壁を取り除くことこそが、障害者差別解消法にも謳われている合理的配慮に当たると考えています。

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