一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

石川・福井の物産&観光展

2024年02月04日 | 最近のできごと
 先日、新宿の京王百貨店の大催場へ出かけた。時々、興味のあるイベントが開催される大催場フロアへ行くのは久しぶりだった。
 その日は『北陸を応援しよう! 石川・福井の物産&観光展』。デパートで予告の広告を見た時、興味を持った。
 連日、テレビの報道番組で北陸大地震の被害者の様子を見ると、本当に気の毒で可哀想でたまらない。涙声で語る被害者の言葉を聞くと、思わず涙があふれそうになる時もある。
 そのイベントで売り上げの一部を被災地へ直接届けるということで、ホームページも何度か見てから出かけた。
 開催は3日間で、最終日の午後である。
 大半が女性客で、予想以上に混雑していた。大混雑と言ってもいいくらい。
 工芸品や食器の店舗より、数々の食品の店舗に、客が大勢いた。
 被災地を少しでも応援する意味があるということで多くの客が集まったのだと、うれしくなった。
 ただし、最終日の昼下がりだったためか、完売品の札が多く立てかけてあって、とても残念だった。仕入れの数が売りきれたのは喜ばしいことだけれど。もっと多く仕入れたら売り上げが多くなったのに。私と同じように完売の札を見て残念そうにしていた客が結構いた。
 商品を入れたカゴを持ってレジで精算するのではなく、それぞれ店舗ごとの精算だった。カード払いは店舗の人ではなく、あちらこちらで精算中の京王デパートの店員を呼び、手にした小さな端末での精算だから時間がかかった。お待たせしてと店員さんに謝られたが、近くの他の商品を見ているから、そう不満ではなかった。
 フロアを2時間半ぐらい見て回り、買ったのは最中と佃煮と梅干し。ホームページを見て買うつもりだった佃煮も和菓子も完売で、最中は人気がないのか残っていた。次に海苔の佃煮。可愛らしい小瓶で、箸休めにちょうどいいかもと思った。梅干しコーナーでは、客は1人もいなかったが、陳列の大粒の梅干しは、見るからに品質の良さが感じられた。塩分18%の文字を、ついカットの数字と勘違いしながら、塩分カットと甘く加工してある梅干しは嫌いだけれど、見るからに梅干しの匂いがしそうな梅干しを眼にして、つい独り言のように、
「美味しそうだけれど塩分カットじゃ……」
 と未練がましく呟いたら、
「いえ、カットされてません、塩分が18%なんです」
「あらっ、そうなの」
 勘違いに気づき、思わず、チラッと男性店員を見たら、わりとイケメンふう中年男性。
「かなりしょっぱいですよ」
「私、塩分20%以上だと、もっと好きなの」
「これは美味しい梅干しですよ。どうぞ」
 と、試食の梅干しを差し出され、食べてみる。
「本当、美味しい、大粒だから果肉の食感もいいし、しょっぱさもちゃんとあるし。買います」
 ということで梅干し30コ入りを1パック買って来た。他の食品もそうだがデパ地下などで試食品を差し出されると、買う気がない時は断り、買ってもいいかナと思う時は試食する。試食の梅干しを食べたからとか店員がイケメンふうだったから買ったわけではない。少しはその気分もあったけれど。
 食品の他に、九谷焼の中皿2枚を買った。引っ越し前に、ダンボールを減らすためもあって、鍋・フライパン・食器、その他の調理器具の大半を処分した。不要な物だけでなく、必要な物も長年使用しているので、転居後に少しずつ新しいのを買っていくことに決めた。
 買い物後、ホームページで見ていた〈イートインコーナー〉へ行くと、食べたかった豚カツは終了。午後4時近くで、昼食を早めに食べて来たのにと、とても残念だった。他にカレーも終了。お蕎麦とラーメンとソフトクリームの店舗は営業していたが、午後4時に終了予定ということだった。
(どうしようかなどうしようかな、御飯物が食べたい、麺類は食べたくない、でも、たまには食べてみようかな)
 迷った。いつもは買い物の後の夕方、そのデパートのレストラン街で、御飯物かパスタを食べて帰る。
 けれど、せっかくの北陸応援のイベントに来たのだからと、お蕎麦よりは美味しそうなラーメン店の前に若い女性店員が立っていて、店に入って欲しそうな顔つきなので、歩み寄って入口のメニューを見てみた。
「えっ、2種類だけ?」
 と聞くと、
「はい、こちらはあっさりしてます、こちらはこってりしたスープです」
「こってりのほうが好き」
 入口で代金を支払い、券をくれて、カウンター席に案内された。どの席でもいいと言われたが、客は1人もいなかった。
 けれど、座ったとたん、女性客が、1人ずつ、入って来た。
(ラーメンて何年ぶりかしら)
 母が入院中、姉と一緒に面会に行き、初めて行った駅近くで五目タンメンを食べた。野菜がたっぷり入っていて、お肉も少しあってスープもわりと美味しかったと思い出す。姉と外食すると、いつもピザかスパゲティなどのパスタが多かったし、2人ともラーメンは久しぶりだった。母が軽い脳梗塞後のリハビリを始めた時で、理学療法士女性の指導で両サイドの手すりにつかまって歩く練習をしているのを、しばらく見て来た。私も姉も医師の説明に希望が持てて気分が明るい時だったと思い出す。もう10年余り前になる。 
 運ばれたラーメンを食べてみたら、豚骨ラーメンに似ていた。ずっと以前、博多の名物の豚骨ラーメンを連れの人たちと一緒に、すすめられて初めて食べた。その時は平仮名の〈とんこつ〉だったが、〈イートインコーナー〉の入口のメニューには〈豚骨麺〉とか書かれていたから、北陸のとんこつラーメンということなのかもしれない。
 チャーシューが入っていて、麺よりスープより、鶏肉と豚肉2種類の数きれずつのチャーシューが、とても美味しかった。北陸産の肉がこんなに美味しいならと、豚カツを食べ損ねたことが、また残念な気がした。北陸は旅行に行ったことがあるし、料理が美味しかったと思い出す。ホテルや旅館での食事はもちろん、列車の中で食べた鱒寿司が予想外に美味しかった記憶がある。また北陸へ旅行したいなと思った。
 その日はイケアにも行く予定だったが、買い物の時に店舗の人が商品を入れてくれた手提げ紙袋とビニール袋が、かさばる荷物になったため、中止した。京王デパートの衣料品店の多くが冬期バーゲン中だったので、2階から4階まで見て回ったけれど、気に入った服は見つからなかった。デザインや素材は良くても日本製でなくては買う気がしないのだが、デパートのどのブティックでも中国製の服が多いのは何故なのか、いつも不思議で不満に思う。
 帰りの電車に乗ると、いつも感傷的な気分に近い感情に襲われる。夜になったばかりという時刻のせいか、寂しいとか暗い気持ちとは違う独特の気分。以前はなかった、転居後の心理である。乗車時間は12分。転居前は3分。その違いのせいとわかっている。長時間、電車に乗るのが嫌というわけでは、ないのである。都心の近くに住みたいとは思わない。以前の住所より、現在の住所のほうが、今では魅力を感じている。それなのに――。電車の走る音を聞くことが、こんな気分に誘われるなんてと、いつも思ってしまう。
 ほとんどの乗客は老若男女、スマホに夢中。私はいつものようにパソコンのメール・チェックと、ニュース速報をざっと読むと、あとは窓外を見ていた。
 最寄り駅に到着したとたん、ホッとするような心あたたまるような安堵感が私を包み込んでくる。

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