金融危機情報のメモ

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Europe2020 GEAB第30号(2008年12月16日)広報版

2008-12-16 13:58:22 | Europe2020
2ch経済板の有志が日本語に翻訳してくれたものをコピペ。

翻訳は大意は間違っていないかと思いますが、細かな誤訳がある可能性があります。 また、Europe2020では英語で有料版も配信しています。お金がある方はそちらをご利用ください。

英語版
Global systemic crisis – New tipping-point in March 2009: ’When the world becomes aware that this crisis is worse than the 1930s crisis’
http://www.europe2020.org/spip.php?article576〈=en


グローバルシステム危機次の転換点は2009年3月
「1930年の危機よりも事態は深刻であることを世界が気付く時」

-GEAB第30号広報(2008年12月16日)

進行中のグローバルシステム危機の今後だが、2008年9月と同規模の新たな転換点が2009年3月に訪れるものとE2020は予測する。一般大衆はその時期に、世界経済において3つの不安定要素が拡大していることに気付く。

・今回の危機の期間
・失業が世界中で爆発的に拡大
・企業年金制度が突然破綻の危機に

心理的要素全体がこの転換点の原因となる。この危機は国内外の政府や公的機関の手に負えないことが、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで一般的に認識される。影響度に地域差はあるものの、世界全体が深刻なダメージを受けることになる(GEAB第28号参照)。

「先進国」の数億人の人口に直接の被害をもたらす。実態経済の状況が明らかになるにつれ、状況は更に悪化する。政府および国際機関は、社会的混乱 を巻き起こす深刻なリスクのある次の打撃が訪れるまで3ケ月の猶予しかない。失業増加と年金崩壊リスクに対する適切な対処が出来ていない国は、一般大衆が 遭遇するそのダメージで深刻に不安定化するであろう。

今回のGEAB第30号では、3つの不安定化過程を説明した(その内の2点は本広報にも掲載)。そして、台頭するリスクへの対処法を提言した。ま た本号では、E2020の予測の信頼性を客観的に評価する材料を提供している。使用している分析過程の方法論を詳述した。2008年におけるE2020の 予測的中率は80%であった。社会経済的側面の予測に限ると86%の的中率に達する。大激変の時にあって、この結果を出せたことに満足している。


今回の危機は、少なくとも2010年末まで継続する

米国のマネーベースと米国の経済危機の相関(1910年ー2008年)
出典 セントルイスFRB/ミッシュの世界経済分析

GEAB第28号にて説明した通り、今回の危機は世界の地域毎に異なる影響をもたらす。しかしポイントは、現在の大方の予測(つまり、今回の危機 発生を3年前に否定した専門家、今回の危機が全世界的規模になることを2年前に否定した専門家、今回の危機がシステム危機であることを6か月前に否定した 専門家のことをさす)とは異なり、この危機のデキャンティング段階は最低3年間継続するものと当方は明確に予測する。(1)2009年春に終了することも なければ、2009年夏でもなければ、2010初めでもない。

2010年初めの頃にになって、地域によっては安定し始めて、多少の改善を見るところもある。すなわち、アジア、ユーロ圏、産油国、鉱物資源国、 食糧生産国、コモディディー原産国(2)である。その他地域の危機は継続する。とりわけ、米国、英国、両者に経済的に依存する国は、約10年間の危機が継 続することになる。これらの国は、2018年以前には真の経済成長は望めない。

また、先に述べた2010年末時点の改善についても、高成長の復活ということでは決してない。今回の回復には時間がかかる。例えば、株式市場が 2007年レベルに復活するには10年が必要。復活できるかどうかも定かでは無いが。ウォールストリートが1920年レベルに回復するのに20年間もの歳 月を必要としたことを念頭に置くこと。

しかも、今回の経済危機は1930年よりも深刻で長い。これから3ケ月の間に、一般大衆は今回の経済危機が長期にわたるものであることを徐々に認 識することになる。そして、かかる状況は、社会経済的不安定をもたらす2つの性向を即座に引き起こす。将来不安とリーダーに対する批判増大である。

全ての企業年金制度の突然破綻リスク

特に、米国、カナダ、英国、日本、オランダ、デンマークではこの経済危機の様々な影響を受けて、2008年末以降、年金運用の大損失のニュースがあちこちで報道されることになる。

OECDは、2008年の1年間の年金基金の損失は4兆ドルと推定している。(4)オランダ(5)および英国(6)では、監視組織が年金基金の緊 急の資産再評価と国家介入を要請した。米国では、年金支払の増額と受給の減額の発表が増えている。(7) あと数週間で、これらの年金基金の大多数が損失額計算に着手することを念頭に置いてのことである。

いまだに彼らは、マーケットが改善すれば基金を増やすことが出来ると勘違いしている。年金基金の運営担当、受給者、政府は一同に2009年3月に なって気付くのは、この経済危機は継続すること、そしてベビーブーマー世代の定年退職の時期と附合すること、マーケットは2007年レベルには何年も戻ら ないこと(9)、年金関連セクターが大混乱となること、企業年金の国有化をせざるを得ないことである。

アルゼンチンは、第1号として数か月前に同様の決定を行った。上記の状況は、すでに進行中である。かかる状況の複合要因、および一般大衆が状況を認識することになるので、2009年春に大きな集団心理的トラウマが発生する。

1930年代の経済危機よりも深刻な危機にあり、短期脱出は不可能であることを誰もが認識するのである。世界中の一般市民および政府関係者の集団 心理が、決定的な影響を及ぼして、次の段階の危機の道筋を大きく修正することになる。幻滅の大きさと信頼感の喪失によって、社会的政治的不安定が世界的に 落ち着きをみせることになる。

最後に、GEAB第30号本編では、預金者や投資家や意思決定者が、世界システム危機の次の段階を理解し予測できるように13項目のQ&Aを設けた。

1. 資本主義に影響を及ぼして前回の危機と今回の危機との違いは
2. 1930年代の危機との違いは
3. 欧州およびアジアの危機は米国並みに深刻か
4. 各国政府が実行している現在のアクションは、この危機を克服するのに十分か。
5. 世界の金融システムに現在でものしかかるリスクは何か。この危機の中にあって、すべての預金は同等か。
6. ユーロ圏では、この危機の最悪の局面に対する真のプロテクションは何か。ユーロ圏が、現在のプロテクションを改善する方策は何か。
7. ブレトンウッズ体制(1970年代の最新のバージョン)は現在崩壊しているのか。ユーロはドルに取って代わるべきか。
8. 次回のG20ロンドン会合に期待できるものは何か。
9. デフレは、世界経済に対する現在の最大の脅威か。
10. オバマ政権は、いわゆる「米国大恐慌」を回避できるか。
11. ここ数か月でドルが再び崩壊に向かうという予測だが、ポンドおよびスイスフランは、まだ国際的なステータスを持っているのか。
12. CDS市場は、ここ数か月で崩壊するのか。かかる事象によってどんな影響があるのか。
13. 「米国財務省証券バブル」ははじけるのか。

---------注釈
(1) この危機については、2008年下半期にRobert GuttmannがMaison des Sciences de l'Homme Paris-Nord助成によりWEBで公開した研究を参照されたし。Revues.org
(2) コモディディーが、国際船舶市況上昇の要因となりはじめている。
出典Financial Times,12/14/2008
(3) 企業年金制度が最も発達している国(GEAB第23号参照)。アイルランドも当てはまる。
出典Independent,11/30/2008
(4) 出典OECD,11/12/2008
(5) 出典NU.NL,12/15/2008
(6) 出典BBC,12/09/2008
(7) 出典WallStreetJournal,11/17/2008;Phillyburbs,11/25/2008;RockyMountainNews,11/19/2008
(8) 出典CNBC,12/05/2008
(9) 年金基金で購入された米国財務省証券崩落の影響は重大。 GEAB第30号Q&A参照