金融危機情報のメモ

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Europe2020 GEAB第28号(2008年10月16日)広報版

2008-10-16 14:26:18 | Europe2020
2ch経済板の有志が日本語に翻訳してくれたものをコピペ。
翻訳は大意は間違っていないかと思いますが、細かな誤訳がある可能性があります。また、Europe2020では英語で有料版も配信しています。お金がある方はそちらをご利用ください。

英語版 Global systemic crisis Alert - Summer 2009: The US government defaults on its debt
http://www.europe2020.org/spip.php?article565〈=en

グローバルシステム危機警報米国がデフォルト
 -GEAB第28号概要の広報(2008年10月16日)

GEAB第28号では、E2020は新たなグローバルシステム危機警報を発令することとした。2009年夏までに米国政府はデフォルトし、債権者(財務省証券、ファニーメイ株式、フレディーマック株式他)に対しての払い戻しを停止するであろう。

かかる破産は、米ドル建て資産所有者の全員に大きなマイナスを与えることになる。それが引き金となって、「新ドル」の設立し、デフォルトおよび、米国からの大量の資金流出に対処することになろう。

このプロセスは以下の5つの要因から起因する。詳細は、GEAB本紙を参照のこと。

・先日のドル高は、株式市場崩壊の直接的かつ一時的な結果である。
・先日の「政治的洗礼」により、ユーロは信頼にたる「避難場所」となり、米ドルの危機に代替手段を提供する。
・米国政府の負債は、コントロールが効かない程に急上昇している。
・米国実態経済の崩壊が今後継続し、国家デフォルトに対処する処方箋がなくなる。
 ・2009年は米国が、高インフレとなるのか、それともハイパーインフレなのか、それが唯一の残された疑問

今回の危機の今後を見るにあたり、アイスランドのケースを検証してみることとする。

2006年初頭から、E2020はこの件を研究してきた。アイスランドは、米国およびイギリスの進展を計るのに格好な前例である。アイスランドの財政システム崩壊は、国家の経済規模に不釣り合いなことをやった結果であると考えられている。

また、アイスランド人の大半も現在ではそのように認識している。

2003年―2008年のアイスランドのインフレ率(出典 アイスランド中央銀行)

財政的観点で見ると、アイスランドは自国がイギリスであるかのように勘違いしていた(1)、またイギリスも自国が米国であるかのように勘違いしていた、そして米国も自国が世界全体であるかのように勘違いしていた。

それからすると、アイスランドのケーススターディは(2)、今後12か月間の米国およびイギリスを理解する(3)のにきわめて有益である。

 現在の状況は、2つの歴史的現象である。 一つは、2008年9月以来(2008年2月GEAB第22号に記載済み)、全世界はグローバルなシステム危機が進展することを認識していたこと。米国金融システム崩壊と世界への波及についてである。

一方で、米国はこの世界金融システムの中心ではあるが米国が提唱し実施する対策に実効性が無いことを鑑み、世界の市場参加者は自身で独自に行動する方向に動きだしていることである。

まずユーロ圏の出来事(もしくは2008年10月12日(日)の首脳会議では、1.7兆ユーロに近い規模の決定をした。

この規模と性格(4)により、全世界の金融市場からのコンフィデンスを回復した。これが(ポスト2008年9月の世界)の典型例である。


 EUにおける預金保険(出典 AFP 2008年10月9日)

(ポスト2008年9月の世界)は、現実に存在する。2006年6月のLEAP/E2020((5)にて記述した通り、今回の危機の第4段階であり最終フェーズであるデキャンティング段階に既に入ったわけであるが、グローバルなシステム危機の開始月としては、歴史の教科書は先月を起点として掲載することになろう。

大勢の人間が関与する場合には、一般大衆の変化の認識は、かなり遅れた段階でやってくるものである。

 たしかに、2008年9月は、グローバルなシステム危機の「金融の起爆装置」が爆発した月である。2008年の第2四半期は「グローバルなシステム危機のインパクト段階の真っただ中に世界が突入した」時である。

そして、その四半期末には、当危機の「デキャンティング段階」に以降し、ショックの結果は落ち着きを見せる。この段階は、国によって異なるが3年から10年の最長期にわたる。そして多くの人および国に影響を及ぼすことになる。

新たなグローバル均衡の要素が芽生える段階でもある。本件については、以下の図(7)で示したようにGEAB第28号にて、2点のみ紹介している。 2006年以来、繰り返し説明して来たが、今回の危機は1929の危機よりもインパクトおよび結果の面ではるかに重要なものである。

我々は、地球全体に影響する危機の史上初の目撃者であり被害者である。20年間におよぶグローバライゼーションのおかげで、国家間で未曾有の相互依存性が生じている。

また、都市化の進行で生活必需品である水、食品、エネルギーの依存性も過去にない状況である。一方で、1929年の大恐慌とその悲惨な結末は、人々の集団的記憶のなかに鮮明に残っているので、慎重な市民の行動と、先見の明を持つリーダーの存在があれば、大惨事を招くような「再建」を防ぐことができるであろう。

 もちろん、ヨーロッパ、ロシア、中国、日本等が団結して、現在の世界の超大国である米国の進行する内部崩壊が全世界を破滅に導かないようにすることが必要である。

ソ連のゴルバチョフは例外だが、通常の帝国は、自分の権力を行使すれば歴史の流れに逆行できると思って無暗にあがくものである。本来は、その他の主要国が、このプロセスを平和裏に進行させること。そしてその関連国の市民およびリーダーが、明確な視点を持って、これからまさに起きようとする困難に立ち向かうことが必要なのである。


米国預託機関のFRBからの借入(1986年8月1日から2008年10月9日) (出典 セントルイスFRB)

 2008年10月初めのユーロ圏による国際金融チャンネルの「緊急修復」(8)は、3つの根本的問題がある。

・ この「修繕」は、全世界の金融システムをたった数週間で崩壊させてしまう危機に瀕したパニックを納めるために必要であったが、単に症状を一時的に抑えるだけの作用しかない。

せいぜい最長で2-3ケ月程度の若干の時間稼ぎとはなった。グローバルなりセッションと米国経済の崩壊(上記の図は、米銀によるFEDからの膨大な借入増を示している)は加速化し、経済・社会・政治の各分野で新たな緊張を作ることになる。

本件は早急に認識され、来月早々にも対処が必要となる(「金融対策」が実行された後即座に)

 ・膨大な金融手段が「緊急対策」のために世界中に投入された。

しかし、グローバルなリセッションに直面して実態経済の要因で信用システムが失墜するために、これらの投入した金融手段は回収せざるをえなくなる。

・この「緊急修復」は、更なる周辺化現象をもたらす。従って、米国の弱体化につながる。これは、ポールソンとバーナンキが提案した7000億ドル投入を承認するために米国政府が提唱した内容とは反対の方向に向かうプロセスが設定されていることになる。

その投入内容とは、政府による銀行の資本増強(ポールソンの意思決定が実行に移される)および銀行間融資保証(実際には、ユーロ圏の政府は、ここ数十年間で世界金融の中心であった米国の産業となっていたクレジット保険会社の代わりをつとめている。)などである。

米国がますます依存度を高める政府負債(9)および民間負債は爆発的に増大しているので(むろん年金は雲散霧消している(10))、かかるトレンドはますます米国離れを加速し、意思決定と金融の流れが米国以外に移る流れが出来あがる。

 上記の最後の件があるために、今回の危機およびその結果(金融、経済、社会、清司)に対する対応策が、ますます多岐にわたることになる。つまり、米国以外の世界にとって都合が良いことは、米国にとっては都合が悪い(11)ということである。まずユーロ圏が先行して自分の考えで独自に意思決定するべく決意いるようであり、それ以外の各国も同様である。

2009年夏の米国の突然のデフォルトがショックを引き起こすのは、世界主要国が米国と意思決定をデカップリングしたことに一部起因する。グローバルプレーヤーが本件をきちっと予見することにより、ショックを予測し緩和することができる。実は、それが今回のGEAB第28号の目的の一つでもある。先の9月ショックは世界中の政治家、経済界、金融、政策決定者に対して教訓を与えたものと我々は期待している。パニックに陥らずに、予測に基づいて行動することが肝要であるとご理解していただきたい。

もしユーロ圏、アジア各国、産油国、もちろん米国民も、2009年の夏の週末もしくは祝日の翌日の朝目覚めたら、米国財務省証券やドルが「新ドル」導入によって10%の価値しかないと知ったら哀れなので。

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注記 (1)アイスランドは、米国およびイギリスが提唱して実行した、経済規制緩和および金融化の原則を10年前に採用した。こうして英米映画のオースティン・パワーズのキャラクターのように、レイキャビクは英国政府および米国政府のミニミーとなった。この3カ国は、「牛のように大きくなりたがったカエル」が不幸な結末を迎えるイソップ物語の金融版を演じている。

 (2)アイスランドの株式は、パニック「回避」を目的に数日間の取引停止の後、76%も暴落した。 出典 MarketWatch 2008年10月14日号

(3)英国政府が発表した金融対策の金額は、銀行への資本注入の640憶ユール込みで6400憶ユーロで、さらに当該銀行の負債返済に3200ユーロ投入(出典 2008年10月9日付ファイナンシャルタイムズ)。不動産価格の急落、インフレ昂進、キャピタルベースの年金は雲散霧消、ポンド安、政府債務の増加などの経済状況下で、この金融対策でイギリスの銀行を「救済」出来るとは考えにくい。ユーロ圏の銀行と異なり、イギリスの金融システムは米国とものと全く同じであり、今回の危機の張本人であり、巻き添えを食ったわけではない。ゴードン・ブラウンは、自身をチャーチルとルーズベルトと肩を並べる人物と思っている。(出典 2008年10月14日 テレグラフ) 歴史を知らないのであろうか。チャーチルもルーズベルトも大恐慌への対処を迫られた時には、すでに10年間も政府に在職していたことをブラウンは忘れているのではないか。ポールソンもバーナンキも問題の張本人であり、問題を解決しているわけではない。チャーチルやルーズベルトは、ヤルタ会談やテヘランサミットを主催し、そこではフランスもドイツも部屋の外で待機させた。現時点でユーロ圏サミットをやる時にはブラウンが部屋の外で待機させられるであろう。

(4) 出典L'Express 2008年10月13日
(5)出典 GEAB N°5 2006年5月15日
(6)出典 GEAB N°26 2008年6月15日

(7) E2020は各国を6つのグループに大別して、今回の危機のインパクトを世界地図を用いてデキャンティング段階の予測を行った。2008年から2013年にかけての金融、経済、社会、政治の4分野で予期されるスケジュールを論述した。

(8)世界的パニックのスパイラルを鎮めたのはユーロ圏である。数週間にわたる英米の各種対策は、なんの効果も示していない。新たな集合体である「ユーロ圏サミット」の台頭および同サミットが行った広範囲の意思決定が、事態を新たに沈静化させた。それだからこそ、6年前のユーロ発足以来、英米政府は組織的に、かかるサミットを阻止してきたのである。イギリス首相が排除されているという印象を本人に与えないために、(事前会合と会議後のグループ写真他で)単なるジェスチャーをしただけのこと。実際は、イギリス首相がユーロ圏サミットに出席する理由は無いが。E2020の本版の正式版には、第一回ユーロサミットの減少および長期的影響について記述した。

(9)今回の米国の金融救済計画により、米国民の借金は一人当たりUS$17,000増加した。 出典 CommodityOnline 2008年10月6日

(10) 2兆億ドルの米国の私的年金が、この2週間で喪失した。 出典USAToday 2008年10月8日

(11) 短期的には少なくともその通りである。ワシントンとNYが支配している現在のシステムが根本的に再評価されるのであれば、中長期的に考えると米国国民にとって本件は悪い話ではない。このシステムは、米国を劇的な問題へと誘った。2008年10月11日付のニューヨークタイムズの記事にある通り、数千万人の米国市民が現在苦しんでいる。

(12)米国の破産と比較すると小規模の話ではあるが、金融市場で投資を再開しようと検討されている方々は、ニューヨーク証券取引所は、格付けの崩壊による全てのサーキットブレーカーの閾値を変更したことを知っておくべきであろう。
出典  NYSE/Euronext 2008年9月30日  Jeudi 16 Octobre 2008 In the same category: Global systemic crisis – End of 2008: Pension funds go off the rails -06/10/2008 The decisive six months to avoid a global recession: Five strategic advices for central banks, governments and other regulatory authorities -30/09/2008 LEAP/2020: Global systemic crisis September 2008 - Special announcement -24/09/2008 SEQUENCE 6 - 'Very Great Depression' in the US, social unrest and army's growing influence on public affairs (2nd quarter 2007 – 4th quarter 2009) -24/08/2008 Traffic Info LEAP/E2020 - May 2008 -12/05/2008 Special offer! Each new subscriber gets Special Edition 'GEAB/SUBPRIME CRISIS: Causes, development, consequences and strategic advice'... because an in-depth understanding is required to secure oneself -12/08/2007 GEAB Archives Offer (1) - Six archive issues of your choice for 50 euros -22/01/2007 French prospectivist, Pierre Gonod, analyses LEAP's work of anticipation -30/08/2006