唐津市近代図書館のイベント情報

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Ⅲ 厚く重く…「没後10年 森通展」 (8/7まで)

2011年07月03日 | 展覧会
ハイペースですが、コーナー解説の3回目です。


Ⅲ 厚く重く

 当時の独立美術協会では、スペインの画家アントニ・タピエスに傾倒した画家たちが、「壁派」と呼ばれる厚塗りの絵を描いていた。森も、とにかく厚く重く、重量感のある絵を描きたいと制作に励む。
 絵具は厚く塗るとかたまりにくく、また絵具代もかかることから、ベニヤ板の上などに石膏とボンドを練り合わせたもので形をとり、絵を描いた。森はこれを、テンペラならぬ「テンプラ」と呼んだ。1962年(昭和37)の30周年記念展で≪青い化石≫が独立賞と30周年記念賞を受賞、翌年の独立展には≪化石二つ≫と≪黒い化石≫を出品し、独立美術協会会員となった。
 当時は、保存など考えず、夢中で絵を描いた。何十枚もテンプラを描き、十数年経って倉庫から出してみると……『もう見るも無残。ばらばらとはげちゃいまして。今ここにある3、4点ともう1点くらいしか、剥脱していない作品はないようなひどいことになりました。』(講演会「自作を語る」より、青梅市立美術館、1996年) 独立展の受賞作も、そのときに消滅してしまったという。
 『やっぱり保存ということは考えないと。30代40代でしか描けない仕事、あのムンムンするような、下手くそだけどムンムンするような熱気というものは、やっぱり30代40代にしかない。』(同講演会より)


ここにも書いてあるとおり、独立賞・30周年記念賞の作品は残念ながら壊れてしまったそうですが、当時の白黒写真が残っていたので、今回はその画像を紹介しています。
≪炎の人≫の横に「主な独立展出品作」を小さな画像で紹介しているので、そちらもご覧くださいね。
この時代の作品としては、≪ジュラ紀の化石≫を展示しています。200号の大作で、高さは2.6m。黒を背景に赤褐色の化石が浮かび上がってくるような、ごつごつとした絵肌の作品です。



【とき】

  7月1日(金)-8月7日(日) 入場無料
  午前10時-午後6時
  (入場は午後5時30分まで)

【休館日】

  月曜日、7月6日(水)、8月3日(水)

【ところ】

  唐津市近代図書館 美術ホール(1階)

【出展作品】

  油彩画・水彩画 35点
  写真、日記、書籍など関連資料

【主催】

  唐津市近代図書館



■唐津市近代図書館■
TEL (0955)72-3467
〒847-0816 佐賀県唐津市新興町(JR唐津駅南口すぐ)
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