氣まぐれ剣士の言いたい放題

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222 史記

2005-10-02 06:41:06 | Weblog
気まぐれ剣士の言いたい放題

222 史記

『史記』の中の「世家」の中にこういう話があるそうです。
 
 戦国時代に名君といわれた魏の文侯は、ある時、総理大臣を決めなければならないことになりましたが、その候補者が二人あり、決めかねていました。
 一人は文侯の弟である成子、一人は家来のテキコウ(ワープロ文字なし)。
 
 文侯は、最も信頼する家来の李克を呼んで、どちらを任命すべきかを問います。
 ところが、実は李克はテキコウの世話で文侯に随身していました。
 
 李克は遠慮して、
 「私ごとき者がさような国家の大事にあえて発言するわけにはまいりませんから、それは御免こうむります」と礼儀正しくあいさつしました。文侯は「そんなに遠慮に及ばん。これも国家のためである。一つ忌憚(きたん)なくいってもらいたい」ということで、
 李克は、
 「それでは申し上げますが、さようなことがご決定になれないというのは、はなはだもって公のお考えが足りない」といって人を見る観察法を述べました。
 
 1、「居ればすなわちその親しむ所を観る」
     平生どういう人物と親しいか、だれと友達になっているかを観る。
    <類は類を呼ぶといいますからね>
 
 2、「富めばすなわちその養う所を観る」
     金があるならばどう使うかを観る。
    <たいていは金ができれば女を囲ったり、家を建てたり、高価な服をたくさん 買ったり、旨いものを食べたりするが、人の感心するような金の使い方をする人はめったにいない>

3、「達すればすなわちその挙ぐる所を観る」
出世して地位が上がれば、どういう人物を使うか。
<人格者は人格者を使うし、度量の狭い人は人徳の少ない人を使う>
  
4、「窮すればすなわちその為さざる所を観る」
  人間は窮すると何でもしてしまうが、何をしないかを観る。
  <貧窮したことがある人は分かると思いますが、本当に何でもしてしまいそうになる>
 
5、「貧すればすればその取らざる所を観る」
   貧乏しても節度をもっているかどうかを観る。
   <ついつい魔がさして、なんてことになりかねない>
 
 「この5つのことをお考えになられたなら、
  おのずから明瞭、決して私にご相談になる必要はありません」と申し上げました。
 さすが名君である文侯はこれを聴くと、わかった下がって休みたまえということで李克は下がってきた。
 
 李克は帰り道に自分を推薦してくれたテキコウのところに寄り、一部始終を説明し、「たぶん成子が任命されるでしょう」と言った。
 それを聞いて憤然としてテキコウは怒ります。
 「私のどこが成子に劣っているというのだ。多くの人材を推挙して文侯に仕えてきたし功績も挙げてきた。そういうあなたを推薦したのも、私じゃないか」
 
 そうすると李克は平然として、
 「ちょっとお待ちなさい。よく考えてご覧なさい。あなたの推挙した人物はみな文侯の家来になっている。成子は収入のほとんど九割まで投げ出して、天下の人物を引いてこれを君公に推挙しておられる。
 その中でも3人に対しては臣としないで師としておられる。あなたの推挙した人物はみな家来になっている。これだけでもあなたはとても及ばない」と直言しました。
 テキコウも偉いもので、その態度を改めて、これは実に悪かった。誠に卑しいことを申し上げて恐れ入った、と自分を恥じました。そして今日より謹んであなたの弟子にしてもらって教えを受けようと言いました。
 

 良いお話ですね。この五つの人間観察法は今でも十分に役立ちそうです。人間普段は変わらないようでも、急にお金が入ったり、地位が上がったりするとコロっと態度が変わる人がいます。そういう人はこの話を知らないでしょうね。知っていても俺のことではないと思っているのでしょう。
 「言いたい放題」の読者にはこんな人は多分?いませんね。急にお金が入ってきて心配な人は安心してください。気まぐれ剣士がいただきに参ります。
 
 いかがでしたが。
 次回もお楽しみに
                               以上