縁側で日向ぼっこ

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「大人は泣かないと思っていた」寺地はるな

2024年03月17日 | 本 レビュー

「大人は泣かないと思っていた」2021/4/20

寺地はるな

時田翼32歳、農協勤務。

九州の田舎町で、大酒吞みの父と二人で暮らしている。

趣味は休日の菓子作りだが、父は「男のくせに」といつも不機嫌だ。

そんな翼の日常が、真夜中の庭に現れた"ゆず泥棒"との出会いで動き出し……

(「大人は泣かないと思っていた」)。

恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、

もう一度、自分の足で歩き出す—

色とりどりの涙が織りなす連作短編集。

(文庫本裏表紙より)

 

☆感想☆

恋愛ものや、家族の物語は、苦手なジャンルなんですが

主人公の翼の性格が、なんとなく私と似ているところがあって(翼は男性ですけど..)

物語に引き込まれていきました。

 

舞台が九州というのも興味深かったです。

私の両親も九州の出身です。

 

翼の父と同様、私の父もお酒に強く、毎日晩酌していました。

なんとなく、九州はお酒に強い男性が多いのかな?というイメージがずっとありました。

 

農協の忘年会や、歓送迎会の席で

女性が男性にお酌をしないと、あとから「あいつは気が利かない」と陰口を叩くやつがいるとのこと。

翼はそれを「お酌警察」と呼んでいて、

将来出世したら「お酌警察」を壊滅して、以後この部署の宴会ではお酌を廃止にするから

農協の仕事はやめないのだそうだ。

 

お酌!本当に嫌いでした!!

そもそもお酒が飲めない人間にとって、会社の飲み会は拷問のようなものなんです!

お酒が飲めないから、料理ばかりを食べていると、お酌をしろと怒られる(#^ω^)

私はほぼ下戸で、お酒を飲んで気持ちよくなる感覚がわかりません💦

 

そして、この物語の最後の章

「君のために生まれてきたわけじゃない」が秀逸でした。

(本文より)

遠くを見過ぎて、目の前にあることをないがしろにしないように。

「来年」や「将来」が、あらかじめ設定されていて、

ただそこに向かって駒を進めるようにして生きていければ、楽だろう。

でも違う。予想外のことがかならずおこる。

俺たちはたぶん目の前に現れるものにひとつずつ対処しながら、

一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。

いちいち悩んだり、まごついたりしながら。

(本文終わり)

☆感想☆

人生は予想外のことがよく起こる。

どうしていいかわからなくなるときがあるけれど

それでも目の前にあることをひとつずつクリアしていけば

いつの間にかゴールにたどり着くかもしれない。

悩んでも、まごついてもいい、一歩踏み出すことが大切ですね..

先のことを考えるより、今目の前にあるものが大切なんではないでしょうか..

 

 

ラストは思わず二人を応援したくなるような終わり方で、泣きました😿

ハッピーエンドですね(*´艸`*)