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「増えるものたちの進化生物学」市橋伯一

2024年08月29日 | 本 レビュー

「増えるものたちの進化生物学」2023/4/7

市橋伯一

ーあらすじー

生命と非生命をわけるもの、それは「増える」ことである。

増えて遺伝する能力は生物を進化させ、繁栄をもたらし

やがて私たち人間に自由と生きる喜びを与えるとともに

尽きることのない不安や迷いを植え付けることとなった。

生の悩みから生命の起源と未来を見つめる知的問答の書。

(本書裏表紙より)

☆感想☆

「ちくまプリマー新書」って初めて読みました。

プリマーが「初歩読本、入門書」を意味する通り、ヤングアダルトを対象とした新書だそうです。

進化生物学って難しそうって思いましたが、本書は大変わかりやすく読むことができました。

目次を見るだけでも、面白いです。

第1章 なぜ生きているのか

…そもそもの始まりと進化の原理

第2章 なぜ死にたくないのか

…命がとにかく大事な私たち

第3章 なぜ他人が気になるのか

…やさしくなければ生きていけない

第4章 なぜ性があるのか

…子孫を残したいという「時代遅れ」の本能

第5章 何のために生まれてきたのか

…人間として生きることの価値とは

 

上記の疑問を生物学を通して答えていくところに、

ああなるほど、そういうことか!というひとつの答えを見出すことができたように思います。

かといって現実問題として、正直なかなか割り切れないものもありましたが

学生時代、苦手だった生物学も、こうして読んでみるとなかなか興味深いものなのだなと感じました。

 

P156

私たちには、「○○のために生きている」といったわかりやすい使命や目的はありません。

私たち人間を含むすべての生命は物理現象です。

増えて遺伝するものが出現すると自動的に起こる現象です。

物質が重力によって下に落ちることに目的や使命がないのと同じように、

私たち増えて遺伝するものの存在にも目的や使命はありません。

☆感想☆

これはすごい!と思わず感動しました!!

ここまではっきり言ってもらえると、何か救われた気分になります。

だって子供の頃から、目的や使命は必要だと思い込まされていた気がするのです。

でも、自分は物理現象なんだと思えば、なんだか気が楽になります(私だけかもしれませんが)。

 

そのうえで、このあと続くリチャード・ドーキンス氏の

「われわれがここにこうして存在しているのは、驚くほどの幸運であり、特権でもあるので

けっしてこの特権をムダにしてはならないのです」。という言葉から、

私たち人類はこの宇宙で極めて珍しく、それゆえ価値のある存在であると続きます。

 

うーん..宇宙まで広げてしまうと、

あまりにも壮大でちょっとついていけないかな?と思ってしまいましたが、とてもロマンチックですね。

 

本書の最後に出てくる「ミーム」(人間の脳に広がる考え方やアイデアのこと)についても

個人的には肩透かしを食らった感じでした。

でも、生きがいとか、それは自分で見つけていくしかないだろうし

答えなんてないか、人それぞれというところでしょうか...

 

ここからは備忘録です。

本書を読んでいて面白いなあと感じたことがあります。

私は昔SFやホラーが好きだったんですが

もしかしたらSFの世界が現実のものとなったり、さらに進むと滅びの道へ行くかもしれない?なんてこともあるのかなあ…なんて思いました。

本書を読んでいて思い出した本やドラマを下記に書いてみました。

 

「チグリスとユーフラテス」新井素子作→四半世紀も前の作品ですが、人工子宮が登場します。

「ザ・スタンド」スティーブン・キング作→致死的ウイルスにさらされても、必ず生き残る者たちはいる。

「スターゲイトSG-1」海外ドラマ→アスガード(友好的なエイリアン)性別がない?最後は滅びることに..

「新スタートレック」海外ドラマ→レプリケーター(フードディスペンサー)

ピカード艦長が「アールグレイ」と言うと

何もないところから、紅茶が現れてくるシーンは、もはや夢ではない???

いづれも手元に本がなく、テレビドラマの記憶もあいまいなので

間違っていたらごめんなさい💦

 

 

 



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