うんたま森のキジムナー

美咲ちゃん

大潮になると、潮の干満の差が大きくなり、
生き物にも大きな変化が現れる。
新聞には葬儀の案内が増えるし、海では
産卵や甲殻類などの脱皮など、生物にとって
月の引力はさまざまな誘引を引き起こす。

高齢化社会の南の島では、天寿をまっとうする
人があの世へむかうのもやはり大潮の日が多く、
「次の大潮には、あのオバァが行くだろう」と
言う話も日常の会話の中にもよくある。それほど、
海に囲まれた島では大潮はひとつの区切りで生活の
サイクルから切り離して考えることは出来ない。

ロウソクの炎が最後の煙を上げて消えていく命も
あれば、この世に生まれてくる未来に輝く命も
ある。いつも手伝ってくれているマコト君の奥さんも
産み月を迎えて、出産予定日が3月27日、予定日の
前の検診で3000gを超えているとの診断。27日は小潮
なので、「こりゃ、その前の大潮には出て来るん
じゃないか」と数日前からみんなで勝手に決め付け
て、毎日が臨戦態勢!大潮が終わり、27日が過ぎても
兆候がない。数日間がアッと言う間に過ぎて、月も
丸くなり大潮となった。胎児というのは、一日に
数百グラム大きくなるそうで、予定日もとっくに
過ぎている。

奥さんも身体が小さいので、小さい身体から大きく
なった赤ちゃんが出てくる。月夜にエビが脱皮する
ようなもんだ。そんな事を思いながら月を眺めて
いるとカラカラ先生の電話に「陣痛を知らせる
メールが届いた」出産や産婦人科、陣痛と普段、聞く
ことのない単語がポンポン出てくる。ノンビリ月など
眺めている場合ではない。
「陣痛ってなんや?わかりやすく説明せぇ!」
男というのこんなときに何の役にもたたない。
「リーチよリーチ」なるほど、わかりやすい・・・
そんなこんなで、無事出産!五体満足、健康な女の子、
ガラス越しに置かれたベッドの上で時折笑顔を
見せる。こんな温かい気持ちにさせる笑顔を見たのは
初めてだ。

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