オジィ、オバァのゲートボール場。
しかし、月に数日、オジィが締め出され
てオバァ達の仕事場となる。
糸をつむぐ前の段階の作業で、フキ(植物)
から繊維を取り出し糸の原料を作っている。
このフキは植えてから約40日で収穫が出来る
らしく、40日に一度ゲートボールをやめて
作業するわけだ。糸つむぎの話は又の機会に
して、今日も夕方、公園の前を通りかかると
熟練のオバァ達が貝を片手に見事な技を
見せていた。どんな仕事でも熟練の匠が
作業しているそばには近寄りがたいものがある。
勇気を出して「コンニチワ!」と声をかけ
その作業を見せていただいた。色々な質問にも
やさしく答えてくれるが、やはりオバァも
数人集まると本音を話す人もいる。
「オバァたちがいなくなれば、この技も消えて
しまうね」という突っ込んだ質問に、今は後継者を
育成するために一年間、織物組合で講習期間を
もうけている。と言う話の横から別のオバァが
「一年で何が出来るものか!」
「これからは若い人を育てていく」という
オバァがいれば、「出来るわけがない」と
言い張るオバァもいる。こまかく繊維を裂く技は
数年間の修行をしても、これほど見事な
技は出来るものではないだろう。
あまりたくさんの質問をすれば、オバァ同士の
ケンカに発展しかねない勢いであったので、
まだまだ聞きたいことはたくさんあった
けれど、その場をあとにした。しかしまぁ、
話しているときも手は機会のように淡々と
動いていて糸の原料となる繊維が次から次へと
出来ていく、見事なもんだ。
