うんたま森のキジムナー

子猫

生き物を飼うと、家を空けることが出来なくなる
ので、生き物は飼わないことにしている。

その年、一番の冷え込んだ冬の朝、犬小屋の中に
ボロボロになった産まれたばかりの子猫がいた。
種の枠を超えて、犬が子猫を守っているようだった。
ギューの目が「なんとか、してやってくださいな。」と
訴えているようだった。

暖かい部屋でミルクをあげても息苦しそうで、
呼吸をするのもやっとの状態。病院に連れていくと心臓に
欠陥があり、そう長くは生きられないといわれた。

余命宣告をされた猫をそのまま寒い外に掘り出すわけにも
いかず、ズルズルと飼ってしまった。

元気を取り戻して、獣医の言葉を忘れかけた頃、
夜中突然、最後の鳴き声を発した後、動かなくなって
しまった。
もう生き物は飼わない。

玄関を根城にしている野良ネコが、6匹の産まれたばかりの
子猫をいつの間にか連れてきている。玄関を開けるたびに
「ご飯をくださいな。」から
「子猫にご飯をあげてくださいな。」
にかわってきた。

最近では「どの子か育ててみませんか?」
「かわいいでしょ。」と
言っているような気がする。

最初は、警戒して近づかなかった子猫も、日に日に距離を
縮めてきて、「ボクボク」
「私、私」とアピールしてきているようだ。

イヤイヤ  飼わない 飼わない・・・・


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