シュプールを描きながら、滑り降りてきて、
彼女の目の前でザッとエッジを立て止まり、
サングラスを取ったそうだ。
雪焼けした黒い顔に白い歯が印象的で、
「かっこいい！」彼女は運命的な出会いを
感じたそうだ。わずか数分で仲良くなり、その日
一日を一緒に滑って楽しんだ。
都会に帰ってからも出会う約束をして、待ち合わせの
場所にいくと、履き古したGパン姿のやぼったい男が
待っていた。「エッ？本当にあの時の人？」
ゲレデンデで出会った彼とはとても信じられない。
よくある話し。
ダイビングの若いスタッフはよくモテる。男のスタッフ
と会うために貯金をしてわざわざ来る女性客も多い。
青い空、白い雲、エメラルドグリーンの海、真っ黒に
日焼けしたスタッフが、かっこよく海に飛び込む。
少々ブサイクな男でも、かっこよく見えるもんだ。
ごく一部のダイビングスタッフは、何人もの女性と
付き合っている奴もいる。どこかのホストクラブじゃ
あるまいし、ほとんどのスタッフは金など持っていない。
安い給料でギリギリの生活をしている。潜る以外に
なんのとりえもなく、口がうまいだけの奴だっている。
色白のダイビングスタッフほど気持ち悪いものはない。
海の上だからかっこよく見える奴、そんな奴は
いっぱいいる。
こんなことを言うのも、なんだけど・・・・
昔はモテた時期もあったよ。こんなチンチクリンの
私が言うと信じられないと思うけど、嘘だと思ったら
カラカラ先生に聞いてよ。かっこよかったんだから！
ホントだって！
