つけてチャンネルをいじくっていると
クジラの番組がやっていた。チャンネルを
テーブルに置いたそのとき、懐かしい名前が
テレビから聞こえてきた。撮影されたクジラの
映像や写真は、すべて「ごっちゃん」が映した
もの、どうやら彼のドキュメンタリー番組で
あることがわかった。
彼とは20年前にケラマ諸島のアカ島でお互い
別の仕事だったが、夜になるとまるで待ち合わ
せしたように、誰もいない西浜ビーチでビール
を飲んで、時には朝まで眠りこんでしまった
こともある。当時は、水中カメラマンといって
も自腹で撮影の仕事をすることが多く、船を
出すのも金がかかるので、彼はよく西浜
ビーチから泳いで写真を撮っていた。
「ここはいつかダイビング客が訪れる有名
ポイントになるよ」とよく言っていた。
今じゃ、その通りアカ島を代表するような有名
ポイントになり、毎年、たくさんの人が
ダイビングを楽しんでいる。ビールを飲みながら
「俺さぁ、次はクジラをやろうと思っている。
クジラの水中写真は、これから売れるよ」
「恐ろしい。そんなところに、よう飛び込まんわ!」
そんな会話をしたのが、まるで昨日のことの
ように覚えている。
その後、彼とは会っていない。数年後、クジラの
撮影中に行方不明とニュースが飛び込んできた。
彼が撮りたかった映像が次から次へと映し
出される。迫力ある映像だ。よう、こんなところに
飛び込んで撮ったもんだ。命落としてしもたら、
なんにもならん!生きていたら今頃、
「先生」と呼ばれて、ビールでもおごって
くれていただろうに。
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