遠くの村まで働きに行き親孝行をしていた。ある年の大晦日の
夜遅く、家に帰る道中で棺を担いでくる老人と
出会ったので、「こんなに遅くから、どうしたのですか?」と
声をかけた。老人は力のない弱々しい声で、
「私には孫が一人いたが死んでしまった。今その葬式をしている
ところだ。貧乏だから手伝ってくれる人もいない。」
と言った。
若者は「それじゃぁ私が手伝いましょう」と言って、棺を担いで
歩いていると、いつのまにか老人の姿は消えていた。
どこを探してもいないので、仕方なく棺を担いで家に帰った。
家に帰り父と母にその事を話して棺を開けてみると、中には
黄金がたくさん入っていた。
「これは神様からの贈り物に違いない」と親戚や隣近所の人を
集めて大きなお祝いをした。沖縄の正月に赤、白、黄色の色紙を、
仏壇やかまどに飾るのはこの若者の話から始まったと伝えら
れている。
あっと言う間に12月、道でたくさんの人に声をかけるが、
こんな棚から牡丹餅のような事は一度もない。棺を担いで家に
持ち帰る勇気はないけれど、それを開けたって言うんだから、
半端な奴じゃないことだけは確かだな。
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