うんたま森のキジムナー

図鑑

ダイビングに来られる方の、そう、ほとんどが水中カメラを持って
こられる。デジタルカメラで、プロ写真家並みの上手な方もいる。
ダイビングされる方ならわかると思うが、普段、普通に沖縄の海で
見られるチョウチョウウオや熱帯性の魚、そう簡単に写真を撮れる
ものではない。本格的な魚図鑑を作るために、ガイドを頼まれた
事がある。今はもうおられないが、足の不自由な方で日本で初めて
本格的な魚図鑑を作られた。

ガイドと言っても海の中をガイドするわけではなく、回るのは
漁村と魚市場、当時、大阪の魚市場はガラが悪く、写真を撮られる
よう一緒について回ってくれと知り合いに頼まれた。図鑑の中の魚の
多くが海の中でなく、魚市場や漁村で撮られた写真だ。
それが縁で、海の中の魚の写真を撮るのにも付き合わされた。

1匹のハゼの写真を撮るのに1日140枚以上数日かけて撮った写真も
ある。今なら簡単に撮れる写真も、当時は大変な苦労をした。
「これから図鑑が必要な人が増えて来る。私は一生をかけてでも
図鑑をつくる」と言う熱意に押され、思い荷物を担がされ、
あちこち回った。
この島に来てから数年後、分厚い図鑑が送られてきた。

毎日、図鑑を開けるので擦り切れてしまって、今では三冊目に
なっている。今のようなデジタルカメラがあれば、あんな苦労を
せずに作れたろうに。たかが魚の写真のために、包丁を振り回された
事もあるのだから・・・


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