2020年の年末、バタバタと年内に
安倍氏の謝罪会見と国会説明<実は言い訳>を済ませ、
早く幕引きを図ろうという菅義偉政権や自民党の思惑が見え見えだった。
年頭の「徒然」カテゴリで取り上げる問題は、
安倍晋三前首相の「桜を見る会」前日夕食会を巡る政治資金規正法違反問題である。
おとそを飲んで駅伝でも見ていれば、国民も「桜」なんか忘れるだろう-。
そうはいくか。
西日本新聞の特別論説委員・永田健氏の年頭コラム
「安倍氏は政界一のブーメランの名手」が秀逸である。
◇ ◇
「桜」問題で東京地検は、安倍氏の事務所が夕食会の費用を補填(ほてん)していたのに、政治資金収支報告書に記載しなかったのを違法として秘書を略式起訴したが、
安倍氏については「嫌疑不十分」で不起訴とした。安倍氏の不起訴が妥当かどうかは今後検察審査会で審査される可能性が高い。
ただ私が「桜」問題で一番ひどいと思うのは、安倍氏が国会審議で
118回も「虚偽答弁」を繰り返しておきながら、議員辞職をせず、通り一遍の謝罪で済ませようとしていることだ。
これが許されるのなら、今後国会で時の首相がどんないいかげんなことを言っても
「謝れば済む」という前例ができてしまう。
それでは国権の最高機関たる国会の議論が無意味になる。
安倍氏の言い分は、秘書の虚偽の説明を真実と信じていたので
「結果として事実に反する答弁になった」ということだ。
しかし誰が考えても不自然な秘書の説明を「おかしい」と疑う能力が本当になかったのなら、
むしろ安倍氏は自分で「政治家不適格」と認めているようなものではないか。
◇ ◇
ここで改めて安倍氏の国会発言を振り返る。
「事務所側が補填をしたという事実は全くない」
「私がここで総理大臣として答弁するということについては、全ての発言が責任を伴う」
「私がここで話しているのがまさに真実」
「私がうそをついているということを説明するのはそちら側ではないか(立証責任はそちら、の意)」
「(自分を追及する野党議員に対し)
根拠のないことをおっしゃるのはうそをつくのと同じことですよ」
答弁の虚偽がばれないうちは、安倍氏はこんな態度だった。居丈高でさえある。
特に最後の発言がすごい。相手への批判が回り回って自分に突き刺さることを政治報道で「ブーメラン」などと言うが、
「安倍氏は政界一のブーメランの名手」と認定してよさそうだ。
◇ ◇
今月始まる見通しの通常国会で、野党は安倍氏の証人喚問などを要求し、疑惑追及を続ける構えだ。自民党は「説明責任を果たした」として幕引きを図るだろう。国会での勢力構図を見れば、自民党の企ては成功するかもしれない。
幕引きに待った をかけるものがあるとすれば、それは世論だ。
国民がこの問題にどれだけ怒り、
その怒りをどれだけ持続させるかにかかっている。
安倍氏が国民が注視する国会であんな答弁をしたのは
「野党をなめていたから」ではなく
「国民をなめていたからだ」と怒るかどうかである。
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