大文字屋の憲ちゃん (当面は 石巻 地震) 

RIP 親父 けんちゃん 石巻 地震

20180802-04 川開き帰省 03―作並温泉に行ってきた―

2018-08-16 08:16:05 | 日記

11時52分石巻発仙石東北ライン仙台行きは、定刻通り12:55に到着。

今回は珍しく温泉宿を事前に予約した。といっても数週間前だが。場所は作並温泉。時間的なもの、費用的なもの、その他諸々の条件を勘案したところ、「湯ノ原ホテル」という宿になった。あまり移動に時間と費用がかからないこと、夕食がバイキングではないこと、露天風呂があること、等々見ていくと、ここくらいしかなかった。

今回調べてみたわかったのだが、仙台から近場の温泉というのは鳴子などと比べてかなり料金が高い。これは都市に近いというのが大きいようだ。仙台から仙山線で作並駅まで40分前後、費用にして500円。秋田あたりの温泉まで行くと交通費だけで片道1万円(仙台からで)を見る必要があるから、作並あたりだったら交通費がかからず来られるのだからこれぐらい出して当然というところなのか。宿の住所自体は仙台市内なので物価もそれなりに高いのだろうか。また、秘湯を目指すマニアや湯治客ではなく、家族や会社などのグループ客がターゲットになっていることもあるのかもしれない。

大きかったの夕食がバイキングではないこと。夕食ぐらいはきちんとお膳で落ち着いて食べたい。それでないと温泉に来た気分になれない。夕食の内容は質素でかまわないし、部屋食である必要はないが、夕食がバイキングはNGである。(朝食バイキングはOKだけど。)そういう意味で夕食はバイキングという宿が多いのは意外だった(ブッフェという言い方をしているところが多いが、ブッフェの元の意味は立食である。耐えられません!(涙…)。人件費節約のためなのだろう。温泉宿もなかなかたいへんだ。

などと思いながら、宿を選んだのだが、チェックインの時間が15:00以降、仙山線の15:00の列車に乗るつもりだったので、2時間程時間がある。まずは駅地下「ケヤキ」さんで日本酒4合瓶を一本買い、次に駅とつながっているAER(アエル)というビル内にある高島屋で本を一冊購入、このビルのアトリウムで時間を過ごす。昨年はこの時間に泊まる宿をネットで探していて、なかなか見つからずヒヤヒヤしていたので、今年は落ち着けていいなあと思ったのである。

さて、仙山線15:00発仙台発山形行きに乗車。仙山線に乗るのは小学生時代、大文字屋の慰安旅行で山寺に行った時以来だ。あの時どこに泊まったかもう覚えていないが、山寺の風景は強く印象に残っている。何か浮き世離れした山上の聖地のような雰囲気を子供ながらに感じた。今回はその手前の作並駅で下車。事前に予約していた宿の送迎の車が待ち構えていたので、駅の周りを撮影する間もなく宿に向かう。運転手さんは宿のことを説明してくれたりして人の心をそらさない接客。5分程で到着すると、宿帳に記帳、部屋に到着。宿の人が部屋まで荷物を運んでくれたり、宿の説明をしてくれたりするのも、さりげない感じでいい。

さあ、まずはお風呂である。ここは1階に大理石風呂、4階に展望大浴場と露天風呂。4階は10時までしか利用できないとの由なので、まずは4階へ。大浴場は清潔感があり、ゆったりできる。露天風呂は山の緑と空の青を眺められてリラックスできる。どちらもお湯の温度がほどよく、いくらでも入っていられる。泉質は単純泉で美人の湯といわれる肌によいお湯なので、3日間強い陽に当たり続けて赤くなった肌にはなかなかうれしい。たまたま客は私一人だったのでどちらも貸切状態で楽しめた。 

夕食。通常私は温泉宿を予約する時には「食事は一番安いのでいいです」というのだが、というのも、私が温泉に泊まる理由は疲れを癒しに行くためであって、食べるためではないからだ。料理が重いと胃腸に負担がかかって癒し効果が減殺される。宿側からすればありがたくない客なわけだが、今回は事前予約をする際に残っているプランが少なかったこともあって、普段に比べれば高めの1泊17000円のプランで予約したのである。ただし、あまり食事には期待はしていなかった。こういう宿で気合いを入れて出す料理というと、ゴテゴテした宴会料理だったり、別にここでなくとも食べられる料理であることが多いからだ。そんな先入観で迎えた夕食であった。

夕食は夕食会場でとるのだが、テーブル間に距離があり、簡単な仕切りがなされて、ジャズィにアレンジしたオールディ-ズポップスのインストゥルメンタル音楽が流れ、落ち着いた雰囲気。出される料理は和食の先付から始まり、前菜、お造り、スープ、鍋料理、魚料理、口直しのフルーツ菓子、肉料理、ご飯と香の物とお吸い物、デザート。

何気なく食べ始めたのだが、なかなか美味しい。刺身などは珍しくないので何となく食べていたのだが、南瓜のスープあたりからこの美味しさがただならぬものであると感じ始める。米沢豚も珍しいなと思う。米沢といえば「米沢牛」のイメージがあるからだが、食べてみると野性味ある肉の味と仙台味噌の勝気な味が喧嘩し合ってなかなか面白い。次に「やまめのサラマンドル」。メニューには書いていないが、バターソースを後掛けする。軽く焼いたやまめの身は思いの外味に厚みがあり、バターソースがそれをふくらませている。川魚をこんなに美味しく食べたのは生まれて初めてかもしれない。そして「山形牛とフォアグラ」である。山形牛ステーキ3枚の間にフォアグラのソテー1枚を挟み、イチジクのコンポートを使ったソースがかけてある。これは美味い!! フォアグラはそれほど美味しいと思わないが、料理全体が肉の旨味とジューシーさを引き出している。この後栗原産のご飯、デザートにパウンドケーキと季節の果物。間然とするところなき料理コースにちょっと感動すら覚えたのだった。一つ一つの料理の量は多くないが、それぞれが美味しいので満足感が高い。また、考えてみれば、このようなメニュー構成は、ふつうのフレンチレストランでは組めず、ホテルや旅館だからこそ可能といえる。そこも面白いなと思った。ジャンルにとらわれない料理の楽しみ。聞けば、ここのホテルの料理長は元フランチレストランのシェフ。フレンチ以外の料理経験も重ねてこちらのホテルに入ったとのこと。地場の食材を生かしつつ、創意工夫で客の舌を楽しませる。創る側のそんな喜びも感じられる料理だった。

この晩のメニューの詳細は次の通りである。

 先付け…帆立のラビオリ仕立て
 前菜…ウザク、蓴菜の真丈、糸掛け抹茶餡、稚鮎山椒煮、青菜きぬた巻
 お造里…鮪中トロ、平目、勘八、海老、ホッキ
 スープ…南瓜の冷製スープ
 鍋料理…米澤一番豚 仙台味噌仕立て
 お魚料理…岩手県遠野産やまめのサラマンドル
 お口直し…フレッシュオレンジとグランンマニエルのグラニテ
 お肉料理…山形牛ロースのステーキ エスカロップフォアグラのソテー

 お食事…宮城県栗原産ご飯、香の物、お吸い物
 デザート…パウンドケーキとフリュイセゾン    

  ※ウザク…うなぎの蒲焼きを細かく切り、薄く刻んで塩もみしたきゅうりとともに三杯酢や甘酢で和えた料理。
  ※真丈…魚肉、鶏肉、海老の肉などをすり潰し、山芋や卵白などのつなぎを加えて成型した練り物のこと。蒸す、茹でる、揚げるなどの加熱調理を経て、吸い物の実やおでんの具などとして供される。
  ※サラマンドル…上火だけの開放型オーブン。焼き色をつけるために使われる。
  ※グランマニエル…フランスのオレンジ・リキュール(オレンジ・キュラソー)の一銘柄。
  ※グラニテ…シャーベット状の氷菓。コース料理で口直しに出される。
  ※エスカロップ…肉などを1cm前後の厚さに切り分けた状態。フランス料理では厚さにより呼び方が異なる。
  ※フリュイセゾン…季節の果物。

さて、夕食の話はこれで終わりではない。このホテル、私の好きな日本酒をかなり取り揃えているらしい。予約した後に知って、楽しみにしていたのだが、その日のおすすめメニューに加え、飲み物メニューがあって、宮城、東北を中心に全国の銘酒が20種類ほどあった。とりあえず1杯めは「十四代」(90ml,1000円)。瓶を見せてもらったら生詰吟醸だったと思うが(記憶が不確か)、それほど美味しくはなかった。一升瓶に残り少なかったので、開栓後時間がたって香りが抜けていたようだ。外飲みではよくあることである。2杯目は「ほでなす」というお酒(グラス,800円)。栗原市の門傳(もんでん)酒造という蔵が造っていて、後で調べると市外にあまり出回らない稀少酒らしい。その夏酒である。飲んでみた。ジューシーで軽い発泡感があり、それでいて米の豊かな旨味を感じさせ、それでいて後口が引き締まって爽やか。これは美味しい。この晩はもうひとつ、飲んだことないものを一つ飲んだが、何か思い出せない。思い出したら追記しようと思う。

18:00からの夕食は食べ終わるまで1時間半以上かかり、もう一つの露天風呂(1F)に入りたかったので、何とか食事を切り上げてお風呂に駆け付けた。

こちらの露天風呂、記事冒頭の写真がその湯舟であるが、屋根があるので正確には半露天ということになる。広くはないが落ち着いて入れる。湯の温度が適度で、いつまでも入っていたくなる。いいお風呂だった。

この夜は早起きしたこともあるうえ、美味しい料理と美味しいお酒と良いお風呂を堪能し、すっかりお眠りモードになっていた。ケヤキで買った日本酒を開けることなく床に就いたのであった。

二日目、前夜の夕食に驚かされたので、食事会場にカメラを持ち込む。(前夜の夕食でカメラを忘れたのを後悔。)朝食はメニュー自体は目新しくないものの、豆腐が出来立てのものであるとか、客が着席してから固形燃料に火を入れてサケのキノコバター焼きやみそ汁を温かい状態で食せるようにしてあるとか、メニューの活字には表れない気くばりがしてあり、一味も二味も違うものになっていた。(強いていえば納豆はいらないかな。納豆は好きだが、非日常の旅先で食べたくはない。)

この日は昼間は、読書をしたり睡眠したり風呂に入ったりとゴロゴロしていた。できるだけ寝たいのだが、貧乏性なので、せっかく泊まった宿なのだから、いろいろ味わわなくては損だと思い、どうしても起きて何かをしてしまうのだった。もっとも、さすがに3日間歩きまくったので、今日一日はダググダしようと思ったのだった。(因みに宿の周りは散策するようなところもないらしい。だから、宿でゆっくりしたい向きにはお薦めなのだ。)

この日は夕方まで1Fの露天風呂、大理石風呂に入った。そしてまた夕食である。この日のメニューは次の通り。

 先付け…ノルウェーサーモンのマリネ アネット風味
 前菜…ガゼうにのロワイヤル
 お造里…鮪中トロ、イカ、勘八、海老、帆立
 スープ…ワタリガニのビスク
 鍋料理…カニ鍋
 お魚料理…鯛のポワレ 小松菜のブールブランソース
 お口直し…季節のシャーベット
 お肉料理…仔羊のTボーンステーキ
 お食事…宮城県栗原産ご飯、香の物、お吸い物
 デザート…フルーツサバイヨン焼き  

  ※アネット…ハーブ(香草)の一種。ディルとも呼ばれる。  
  ※ガゼうに…ウニのワタを取り、殻付のまま売るもの。身だけを木箱に詰めたものを箱ウニという。
  ※ロワイヤル…卵とブイヨンを合わせて蒸し、卵豆腐のように固めたもの。 
  ※ビスク…クリームベースの滑らかで濃厚な味わいのフランスのスープ。
  ※ブールブランソース…白ワインとたっぷりのバターを使って白く仕上げたコクのあるソース。直訳すると「白いバターのソース」。

この日は先付、前菜からかなり迫力があった。ノルウェーサーモン、ガゼうに。カニ鍋はすっきりとした上品な味。ワタリガニのス-プは蟹の匂いを臭みととるか野趣ととるか。美味しいというには何か一つ足りない気がした。

そして鯛のポワレ。小松菜のソースの色あいと味わいが絶妙。ソースは色鮮やかだが味は出しゃばらず、ほのかで爽やかな甘旨苦味で鯛の身の味を引き立てている。料理としてとても面白い。

仔羊のステーキは骨から肉をはがすのがたいへんで、味も今一つ出ていなかったかな。それでもデザートまでこの夜もとても楽しめました。この夜飲んだ日本酒は、而今(じこん、三重)、有加藤(あり・かとう、純米大吟醸,山形)、太閤(たいこう、純米、宮城)。太閤は昨晩の「ほでなす」と同じ蔵の酒で、旨味があり、まずまず美味しかった。而今と有加藤についてはあまり記憶にありません。而今の硬質な味わいは少し感じたかな。日本酒は温度管理がよくできており、一杯ごとに器を替え、その選択の仕方にもお酒の味を活かす工夫が感じられた。私はいちいち瓶をテーブルまで持ってこさせたので、仲居さんにはずいぶんお手間をおかけましたが、おかげで十分楽しめました。ありがとう。

この夜は食後に館内撮影。

レトロな調度の中には昭和なジュークボックスも。その時は写真を撮って通り過ぎたが、後で見ると聴いてみればよかった。ちゃんと動くのだろうか。

因みにこのあたりの曲がいい。

Mr. サマータイム   サーカス

※「この動画はYoutubeでご覧ください」という表示がでたら表示の(下線が引かれた)部分もしくは画面右下の「Youtube」をクリックするとYoutubeサイトに移動します。

 

ヘドバとダビデHEDVA & DAVID/ナオミの夢Ani Holem Al Naomi — 日本語盤(1971年)

 

プリーズ・ミスター・ポストマン カーペンターズ 1974

 

この後露天風呂に入る。月は見えなかったが星を見ながら作並の湯を楽しむ。

部屋に戻り、ケヤキで買った日本酒「真鶴 純米吟醸無濾過生原酒 隠し酒(夏の生原酒)」(加美郡加美町,精米:55%,alc:19-17度,製造年月:30.07 製造者:田中酒造)を開けて飲む。無濾過生原酒ならではのフレッシュ・ジューシーさを味わえて満足。でも、今回の帰省で一番はなんといっても「ほでなす」です。「ほでなす」になりながら、旅の最後の夜は更けていったのであった。

8月4日朝。この日も美味しい朝食を食し、大理石風呂に入ってから腰のブルブルマッサージャーで凝りをほぐし、使わなかった500円券とコーヒー券をフロントに返却し、美味しい食事と心地よいお風呂を味わったことを伝えてチェックアウト。玄関先で建物を撮ろうとしたら、SDカードがメモリー切れ。送迎の車を待たせていたので、撮影を諦めて作並駅へ。駅に着いてからSDカードを交換。駅の周辺を撮影。この日もよく晴れて、旅日和。

 

それでも私にとっては旅の終わりの日。10時22分作並発仙台行きに乗り、13時30分仙台発こまち18号(往路を反省してはやぶさを回避)に乗って家路についたのだった。なお、仙台駅の乗り換え時間にランチをした「みのりカフェ」は、ゆったり座ることができ、料理も美味しい、なかなか使えるお店であった。さまざまな美味しいものに出会えた、お腹いっぱいの旅であった。たぶん3kgぐらい太った(笑。

 

2018 石巻 川開き 帰省 06 ―作並温泉に行ってきた―

 

付記1

湯ノ原ホテルは、建物は古いがしっかりしており、掃除は行き届いていて清潔感がある。部屋の風呂は風呂トイレ別(私が泊まったのは比較的新しい西館で、旧館は条件が異なるかもしれない)。適度に距離をとったサービスが心地よい。サービス満点とはまではいかないが、その心がけを感じる点はとても気持ちがいい。かけ流しでない点は温泉フリークには不満だが、料理の素晴しさはそれを補って余りある。食事以外で評価4レベル(五段階で)以上の安心感を持たせ、そのうえで食事に特化した宿といえるかもしれない。夕食は早めの時間設定にしてゆっくりとった方がよい。私は日本酒を追加オーダーしたので、2時間くらいかけてちょうどよいように感じた。

付記2

「ヤマメ」は最初見た時は「イワナ」だと思った。後でメニューを見て「ヤマメ」と知ったのだが、イワナとヤマメは姿は似ているが味の特徴はけっこう異なっていて、ヤマメはほんのり甘味があり、イワナはやや癖のある味だそうだ。いずれにしてもこのヤマメは美味かった。

付記3

フラッシュモブはあまりプロっぽくない方が好感がもてる。

※フラッシュモブ(英: flash mob)とは、インターネット上や口コミで呼びかけた不特定多数の人々が申し合わせ、雑踏の中の歩行者を装って通りすがり、公共の場に集まり前触れなく突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行って、周囲の関心を引いたのち解散する行為。…wikipediaによる。

フラッシュモブ by 宮城教育大学交響楽団

 

付記4

夏の終わりに。

山下 達郎 さよなら夏の日

 

追記(20180817)

フォトチャンネルとYoutube視聴方法についての注意書きを追記しました。

 

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