大文字屋の憲ちゃん (当面は 石巻 地震) 

RIP 親父 けんちゃん 石巻 地震

20220811-12 水の郷への旅ー郡上八幡ー(続)

2022-11-13 20:29:20 | 日記

翌朝のホテル前。

*   *   *   *

4時半起床。水の町を早朝の人気のない状態で歩きたいと思い早起きした。玄関に出て外を見る。雨。本降り。愕然(がくぜん)。

前日好天でありこれまで天気に恵まれていたからこんなふうに雨に降られるとは思ってもみずかなりの衝撃。まあ前夜天気予報を見ていなかったためにショックが大きかっただけかもしれない。それにしても水の町で地上だけでなく天上からも水の洗礼とは。ふだんの行いの賜物であろう。

宿の玄関に大きめの貸し傘があったので拝借し散策に出かける。

撮影と同時にカメラの調子が悪いことに気づく。レンズ内が結露して靄(もや)がかかった状態に。岩出山で動画を撮影していたあたりから異音が発生したりかなり怪しい状態であったがピントが合わなくなるなど状態が悪化。以後写りが悪くなった。よってiphone併用で撮影した。

武家屋敷町であった桜町。

吉田川沿い。

学校橋。

吉田川親水遊歩道。ここから「いがわの小径」は町の見どころである。水車もある。

八幡橋。

「いがわ小径」。立て看板に次のような説明がある。

 ●   ●   ●
 「いがわのこみち」は、民家に囲まれた用水沿いに続く長さ119.0m、幅1.0mの小さな生活道路です。(当地では古くから、生活に利用する小河川、用水路などのことを「いがわ」よ呼んでいます。)
 この用水(島谷用水)は市街地の南町地域を東から西へと流れており、地域の防火用水として重要なものとなっています。
 水路には、周辺の有志の人達(いがわと親しむ会)によって、自主的に管理されている鯉や、岩魚、あまご、鮎などが泳いでおり、目を楽しませてくれます。
 地元の人達は、洗い場組合を作り、今でも洗濯物の濯[すす]ぎなど、生活の一部としてこの水路を利用しています。
 水路と歩道によるこの小さな空間は、今でもこうした人々の協力と、先人たちからの知恵や昔ながらのルールに守られながら、愛され、親しまれています。(以下省略)
               郡上市
  ●   ●   ●

魚の餌やり場はあるが観光客の目もあるのでさすがに今は住民がこのあたりで水仕事をする姿は見られないないらしいが鯉や岩魚の游ぐ姿には昔から変わらぬ水の清らかさが感じられる。

新橋。

新橋はこの地が子どもたちが飛び降りるイニシエーションの場であり数年前まで飛び降りコンテストのようなイベントも開催されていたようである。現在は事故があった影響で行われていないようだがまだ子供たちはこの橋から飛び降りるのを止めていない。一般人がこの橋を飛び降りることについても危険である旨の「注意喚起」の看板があるが禁止されてはいない。当地の伝統に関する見識がうかがわれる。

野口雨情歌碑。昭和初期に郡上八幡を訪れ郡上節の歌詞を作詞したという。

前夜も訪れた「やなか水のこみち」。新町通りから曲がったところにある路地でかつての生活用水路を社(やしろ)や柳の並木ととともに整え保存した通り。奥には美術館が続き古(いにしえ)の町の文化的雰囲気を醸(かも)し出している。

さんぷる工房。郡上八幡は食品サンプルの町としても有名でこのような工房が町内に数か所ある。

川辺に張り付くように立ち並ぶ家々。雨戸を閉めたままの家は「離れ家」「川座敷」と呼ばれ昔の「大店(おおだな)」の別邸として建てられた。涼しい川風や川の眺めを楽しめた。昔の人々の風流を求める心が伝わってくる。

柳町。江戸時代は中級藩士から下級武士が住む侍の町だったという。格子、板塀、白い土壁、低い建物。城下町らしい町並み。

袖壁(そでかべ)は長屋風に隣接した家々の「仕切り」で屋根の軒(のき)を支えるとともに防犯と火災の際の延焼防止の役割を果たす。密集した町ならではの工夫。

いたるところ古い家並みと水路。流れる水は清く水音が絶えない。

美濃和紙の工房。

軒先の下駄は踊りで履くのだろう。

橋の上にも水路。一つの橋の二つの名が。その経緯は明らかではない。

殿町。職人町。軒先には防火用のバケツがさげられている。江戸時代からの風習だという。昔は桶(おけ)だったのだろう。

吉田川の支流となる小駄良川(おだらがわ)。そこに架かる洞泉寺橋。

清水橋。小駄良川に架かる橋。宗祇水の近くで吉田川の合流するあたり。

平野本店と上田酒店。町内にある老舗の酒屋さん。前夜お酒を購入したのは上田酒店さんの方で「郡上踊」という純米生酒は1800円也(720ml,税抜)。

大手町。かつての城下町のメイン・ストリート。

一旦ホテルに戻り朝食をとる。朝食会場は1階の鰻屋。質素だが料理屋の矜持を感じさせるべくおかず一つひとつが丁寧な造り。美味しくいただけた。ご飯は御櫃(おひつ)で出され茶碗4杯分ほどあったが完食した。

一息ついた後10時前にチェックアウト。吉田屋さん。観光地の中心部にあり便利でリーズナブル。シンプルにしてセンスある内装。そして郡上鮎が食べられる。良宿であった。

*   *   *   *

荷物を土産物店のコインロッカーに預け美術館へ。

最初に向かったのは斉藤美術館。旧家に伝わる茶道具や書画を展示しているという。しかしは残念ながら休館。次にネット検索で見つけたこの付近にあるロートレック美術館を探すが見つからない。地図上から推測するとおそらくこちらの「越前屋」に以前それに当たる展示が行われていたものと思われる。郡上八幡の歴史的風物とともに現代の町の産業・名物や文化的試みを積極的に紹介しておりなかなか楽しめた。

なぜメダカを売っているのか。私には分かりません。

次に郡上八幡博覧館へ。

かつてある人に郡上八幡の名を切り出すと「ああ、郡上踊りの…」と返されたことがある。郡上八幡といえば「水」のイメージがあったので「踊り」という捉え方に虚を突かれた。勿論それは私の無知によるものだがそれ以来この町の魅力の一つに「郡上踊り」があることは知っていた。調べると日本三大盆踊りの一つで夏に30夜以上お盆の4日間には徹夜踊りが行われるという。地元の人も観光客も一緒になって踊るので「見る踊り」ではなく「踊る踊り」とも言われる。もっともこの2年間は多分に漏れず疫病禍により中止を余儀なくされようやく今年2022年は日数限定で行われることに。この旅における私の専(もっぱ)らの関心は「水」にあり「踊り」に関して或いは「城下町」に関してはさほど興味がなく今年復活する郡上踊りの日程を見て私が訪れる日に行われないことはわかっていたがいざ現地に着くと見られないのは残念で悔しい気がした。そういうわけで郡上踊りの実演をしている郡上八幡博覧館を訪れ無念を多少とも晴らしたいと思ったのである。

博覧館では郡上踊りの紹介・実演を昼間の一定時間帯に行っている。郡上踊りガールのような女性演者2名が踊りの歴史と実際を紹介し参加者へのアドバイスをしていた。興味深かったのは踊る際に履(は)く下駄の話。板状の木に歯を組み合わせるのではなく塊(かたまり)状の材料木をくりぬく形で作るとのこと。また踊り続ける間に歯は磨り減るので一夏に二足用意する。その他に踊りの曲は10種類ほどあり動きの激しいものからゆっくりしたテンポのものまであり特に後者は休憩できるための曲になっているという。いずれも郡上踊りがいかに長時間踊り続けるものかを物語っている。

20220811 12 水の郷 郡上八幡 03 郡上おどり実演 at 博覧館

博覧館は郡上踊りをはじめとして町の歴史と産業・風物を一覧できる展示を行っており郡上八幡入門みたいない施設である。ビジュアルが豊富なのでサッと見ることもできるし資料をじっくり読み時間をかけてこの町を知ることもできる。釣り師たち、郡上の魚たち、郡上紬(つむぎ)、郡上本染(藍染め)、食品サンプル、白山信仰、懸仏(かけぼとけ)、一向一揆など町のさまざまな側面を見ることができた。(展示の詳細は当ブログの写真を拡大して読むことができる。)

さあ時間だ。郡上八幡でしたいことは概(おおむ)ねできた。八幡城を訪れることができなかったが当地のお酒を飲むこともできた。あとは帰路に就くのみである。

土産物屋でお土産を買う。「鮎せんべい」と「焼き鮎の姿煮」。(帰宅後お酒のアテにしたがやはり郡上鮎は味が澄んで旨かった。)

路線バスに乗ろうとするが経路や乗り場がわかりにくく結局タクシーを呼んで郡上八幡駅へ。運転手さんと話すとやはりこのあたりの観光施設や土産物屋はもともと夕方5―6時には閉まるそうで一時的なものではないとのこと。それでも新型コロナ禍で観光客が減ったダメージは当然大きいだろう。なにしろ郡上踊りが中止になるのだから。

郡上八幡の駅に着く。長良川鉄道12時50分発下り北濃行きに乗り北へ。

この鉄道は国鉄時代に福井県と岐阜県を結ぶ越美線として着工されたが全通果たせず福井県側は越美北線(福井-九頭竜湖)として岐阜県側は越美南線(美濃太田-北濃)として運行。国鉄民営化後に前者はJR西日本の通称九頭竜湖線として継承され後者は岐阜県や郡上市の出資による第三セクター鉄道長良川鉄道越美南線として運営され現在にいたる。福井県側の終着駅である九頭竜湖駅と岐阜県側の終着駅である北濃との間では年に一回おそらくは鉄道マニア向けであろうバスツアーが催されるという。

北濃の駅にはその姿をカメラに収める人がちらほら見られた。私もその一人である。構内には車両を方向転換させる珍しい「転車台」がありそれを見るのも長良川鉄道北端への旅の目的の一つだった。

駅舎に隣接する公園の休憩所には大きなクロアゲハが自分の家のように飛びまわり訪れる人に愛嬌をふりまいていた。

のどかである。

のどかであるがゆえにこの地がのどかなままではいられないであろうことも感じられた。

北濃からの上りの便は14時07分北濃発16時37分美濃太田着の「ゆらーり眺めて清流列車」という特別列車。普通約2時間かかるところを2時間半かけて走る。良い眺めを楽しめるよう景観の良い区間で減速するのである。往路とは反対側の車窓を眺める。このあたりの田圃(たんぼ)は土壌の流出を防ぐ工夫のためか畔(あぜ)を石垣で囲っているところが多い。土地の人々の営み。

この日も長良川の水面は濁流だった。しかし川と線路の交錯する車窓をいやというほど楽しめた。美濃太田駅では乗り換え時間に余裕があったので駅周辺を少し歩いてみる。

17時18分発JR高山本線特急ひだ16号名古屋行に乗車。往路と異なる種類の車両だがこちらも快適だった。岐阜駅で再びスイッチバックし後ろ向き進行で名古屋に到着。乗り換え時間に余裕がなく絶対に食べようと思っていた「きしめん」を食べることを断念。いつか必ず食べようと決意。

18時14分発東海道新幹線のぞみ40号に乗り継ぐ。19時頃に静岡付近でアナウンス。「小田原駅で線路に人の立ち入りがあったため緊急停止します」。この時点で東海道新幹線は全線がストップ。その後「現在警察が捜索中」→「警察が立ち入った人を確保」→「安全を確認中」のアナウンスが続き運転再開。およそ1時間ほどの立ち往生。その間かなりの空腹を感じる。予定していたきしめんを食べられなかった影響であろう。郡上八幡駅でお土産に買った栃餅(とちもち)を食べ始めるが満たされず車内販売でサンドウィッチとコーヒーを購入。東北新幹線では車内販売はほぼ絶滅であるが東海道新幹線で何年十年ぶりかで利用。

スマホ、カメラ、タブレット、ポケットwifiを充電するためにタップ(電源分配器)を持ち歩く。

新横浜駅に約1時間遅れの20時30分頃到着。新横浜駅はなぜか若い女性でごった返しており調べてみると横浜スタジアムでジャニーズ系のコンサートがあったらしく人混みに揉まれる。JR横浜線で町田駅へ。町田駅で小田急線快速急行に乗車。新百合ヶ丘駅で各駅停車に乗り換えてようやく混雑が緩和。生田駅に21時40分到着。生田駅源口バス停留所から川崎市営バス鷲ヶ峰営業所前行に乗り自宅に帰り着いたのが22時過ぎであった。

*   *   *   *

郡上八幡への旅は、数十年来私の中で醸成されたイメージを実際の町の姿と突き合わせる照合の旅であった。その結果はどうであったろう。

今の時代に昭和の時代の暮らしを期待するのは間違いであろうし私の記憶の中にあるあのシーンを再見することは叶(かな)わなかった。一方私が予想していた以上に郡上八幡はさまざまな顔を持っていた。郡上踊り、城下町、染め物、食品サンプル、古刹(こさつ…由緒ある古い寺)。そこは鄙びた山奥の里ではなく水と歴史を資源とした観光の町であった。そこに秘境や里山のイメージはない。それでもこの小さな町には凛とした佇まいを感じた。

町にあるものをたんに観光資源として以前に自分たちの住む町の財産として大切に受け継いでいこうという気持ちが感じられたからだ。謂わば町のアイデンティティの問題である。

振り返れば8月6日から12日にかけての水への旅。

石巻、岩出山、鳴子、郡上八幡。

いずれも歴史ある町である。それぞれに誇るべきものを持ち私はそれに心惹(ひ)かれる。しかしそれはたんに歴史や伝統が持つ重みゆえだけではない。それに対する町の人々の愛を感じるからである。

愛? 愛とは何か? 国語辞典に書いてあることをまとめるとこういうことになる。

「あるものをかわいいと思い大切にする気持ち。」

私にはこれで十分である。

それを感じることができた良い旅だった。

 

 

 

◆フォトチャンネル◆(左下角をクリックすると自動的に写真が移動します。右下角をクリックすると全画面表示になります。)

20220811-12 郡上八幡01 水の町

 

20220811-12 郡上八幡02 城下町の面影を残す町並み

 

20220811-12 郡上八幡03 郡上八幡博覧館

 

20220811-12 郡上八幡04 列車の旅

 

20220811-12 郡上八幡05 ホテル吉田屋と夜の郡上八幡

 

◆動画◆

20220811-12 水の郷-郡上八幡-01 水と鉄道の旅

20220811 12 水の郷 郡上八幡 02 朝雨の郡上八幡音楽入り

20220811 12 水の郷 郡上八幡 03 郡上おどり実演 at 博覧館

 

GJ8マン 第1話 『GJ8マンにオレはなる!!』 …漫画家さくらももこ氏が作った郡上八幡のユルキャラヒーロー「GJ8マン」のドラマ動画。全30話以上あるらしい。

 

 

 

付記1

長良川鉄道の越美線終着駅の北濃と越美北線(九頭竜湖線)の終着駅九頭竜湖駅との間の往来について

岐阜県側の北濃駅もしくは美濃白鳥駅と福井県側の九頭竜湖駅の間は白鳥交通バス石徹白線と大野市営バスを乗り継いで往来できる。ただし間に約8kmの徒歩区間がある。また白鳥交通バス石徹白線は平日と土曜日のみ運行で一日3往復で尚且つ日中の1往復が乗車1時間前までの予約が必要なデマンド運行である。


付記2
上田酒店で購入した日本酒「郡上踊」は店主が醸造元に原料を運び醸造を委託し販売しているがその醸造元を調べると渡辺酒造であった。岐阜の渡辺酒造と言えば蓬莱(ほうらい)やW(ダブリュー)のブランドで知られる銘醸蔵で私のお気に入りの一つである。道理で美味いわけだ。

上田酒店HP

渡辺酒造店HP

(※ 20221114加筆訂正 …私が購入した特別純米(原酒)は平和錦酒造による製造でした。上田酒店ONLINESHOPによると渡辺酒店製造はどぶろく、焼酎等は天領酒造、菊川による製造とのこと。)

 

付記3

最近つぶやいた曲

Em Beihold - Numb Little Bug (Official Music Video)


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