昨年末に北八ヶ岳の北横岳に登って以来、雪山の美しさに魅了されてしまいました。厳冬期の北アルプスなどはとても無理だけれども、少しずつ簡単な山から挑戦してみたいと、このところ冬山装備をちょっとずつ揃えています。自分は形から入るほうなので、いろいろ欲しいものはあるのだけれども、なんせ冬山の装備はどれもお金がかかるので必要なものから順番に・・・。そして、冬用(残雪期対応)の登山靴と12本爪アイゼンをつい先日購入。買ったからにはさっそく試してみたいということで入笠山に行ってきました。
入笠山は標高は1955mとかなりの高さですが、山麓には富士見パノラマスキー場があって、そのゴンドラを利用すれば一気に標高1780mまで行けるので、200m弱登るだけという超初心者向けの冬山というかトレッキングコースです。
スキー場のゴンドラの運行開始時間が8時30分ということなので、8時ちょっと過ぎに駐車場に着くと、すでにスキーヤーやボーダー達でかなり混雑しています。登山者と見受けられる格好の人も数名います。ゴンドラのチケットを購入して乗り場に向かおうとしますが、いまいちルートがわかりません。あっちへぐるぐる、こっちへぐるぐるしているうちに時間がたち、ようやく乗り場に着くと、すでに運行開始時間を過ぎていて、列もできていました。ちょっと待ってからスノーボーダーと一緒にゴンドラに乗り込みます。天気は最高!、高度が上がるにつれて正面には八ヶ岳がその姿を現します。
ゴンドラから八ヶ岳
10分ちょっとでゴンドラ山頂駅に到着。スキーヤー達の脇を抜けて、トレッキングコース入口の看板に向かいます。看板の前で準備運動をして、さっそく12本爪アイゼンを装着します。セミワンタッチ式で6本爪よりも簡単です。準備運動と道具の確認をして、まずは林道を登っていきます。前後にも数名の登山者がいて安心です。
15分ほど歩くと入笠湿原の入口の看板があって、トレースに従い湿原に入っていきます。基本的に夏のコース上を歩いているようですが、当然ロープなどは雪に隠れていますし、スノーシューの人はどこでも入っていっているので道はあってないようなものです。踏み抜きをしなよう一番はっきりしたトレース上を進み(たぶん最短コース)、湿原を渡り終わって一段上がったところが山彦荘。ここにはトイレもあって、冬山トレッキングには至れり尽くせりのコースです。
入笠湿原(山彦荘前から)
ここからまたしばらく林道を歩いてマナスル山荘に向かいます。山荘の前からは本格的な登山道が始まり、左側に元スキー場だった斜面を見ながら樹林帯をジグザグに高度を稼いでいきます。登るほどに展望も開けてきて八ヶ岳の山が再び姿を現します。山頂が近いと思われる最後の斜面はとにかく壁のような急勾配です。良い具合にアイゼンの練習にもなって登り甲斐があります。しっかり踏み込んで爪を効かせないとずり落ちてしまいます。
最後の急勾配
急勾配をゆっくり登ること約10分、ゴンドラから約1時間で入笠山山頂に到着。山頂は360度の大パノラマが拡がります。天気も最高で、富士山、八ヶ岳はもとより南アルプス、中央アルプス、そして北アルプスまで見渡すことができます。初めての山頂、こんな展望は予想していなかったのでこれには感激です。
山頂到着(バックは中央アルプス)
南アルプス(左・甲斐駒ケ岳、中央右奥・間ノ岳、右・仙丈ケ岳)
山頂で1時間ほど展望を楽しみ、下山は元来たルートを戻ります。急斜面ですが、アイゼンが締まった雪にしっかり食い込んで安心して下ることができます。ただ、アイゼンに慣れていないため、時々爪がズボンの裾に引っかかり、危ない場面も・・・。実は、アイゼンで一番危険なのがこの爪をズボンなどの裾に引っ掛けて転倒、滑落することだそうです。それを防ぐためにも両足の間を10センチくらいあけて歩くのが基本だそうです。
樹林帯の途中から、元スキー場だった斜面に出られたので、帰りはその斜面を下ります。何もない真っ白な斜面を青空のもと歩くのはなんと気持ちが良いのでしょう。天気が良ければ冬山の景色は最高だと思いました。
元スキー場の斜面を下る
帰りは40分ほどでゴンドラ山頂駅まで下山。スキー場の下りゴンドラは全く乗客がいません。そういえば自分がゲレンデスキーをやっていた時は、下りリフトに乗るのは滑れなかった人というイメージだったので、ちょっと下りに乗るのは恥ずかしい。なぜか下りのお客には「おしぼり」のサービスがありました。
さて、まだお昼前の時間、この良い天気このまま帰るのはもったいない。そういえば松本市四賀の福寿草が見頃を迎えているらしいという情報がありました。ちょっと遠いですが高速を使えば1時間かからないで行けそうなので、そちらに足を伸ばします。(もともとその予定で撮影機材持ってきています)
福寿草の群生地は、今年は雪が多かったためいつもより開花が1週間ほど遅れているとのこと。陽のあたる斜面ではほぼ見頃を迎えていますが、まだ雪の残る斜面もけっこうあって、そちらはこれから楽しめるとのことでした。ここの福寿草の群生地でも「福寿草まつり」みたいなことをやっていますが、簡易的な建物での売店や駐車場などは町内会と思われる人達が運営していて、とても暖かな雰囲気です。福寿草はカタクリなどと同じように日中太陽が高い時間は花を開かせますが、朝夕は花を閉じてしまうので時間を気にしながらの撮影になりました。
斜面を黄色に埋め尽くす福寿草 雪の中から花を開かせます
雪山と福寿草、ちょっと急ぎ足になってしまいましたが全く違った景色を一日で体験した充実の一日でした。