シカゴ通信

つれづれなるままに、シカゴでの生活を記録します

日本産業史(2)-復興期・高度成長期

2006-01-17 02:59:32 | Weblog
http://www.nikkei-bookdirect.com/bookdirect/item.php?did=10498

これも積読(つんどく)状態になっていた本。私の父親の同時代史、でもあるかな。

いろいろ気になるので、引っかかりながら読んだけど、復興期の話、本当に面白いですよ。

朝鮮戦争って日本経済にとってはホンマに天佑だったんやなぁ。。

日立は、空襲によって工場の能力8割を失っていた、とか、為替レートが360円に設定されたけれども、当時の採算ラインでは、自動車が510円、板ガラスが600円、ラジオセットが550円で、全然話しにならなかったとか、そういう興味深い話が満載です。

「国産乗用車不要論」というのが、昭和29年ごろ、国会議員や日銀総裁によって言われていた、というのも、凄い話だな、と思った。

戦後、日立造船が、梵鐘作りをやっていたという話とか、ところどころエピソードがあって面白い。何故梵鐘か、というと、
1.戦中に、兵器製造のために、お寺の梵鐘がすべて没収され、当時お寺には鐘がなかった。(供出された鐘の数、4万5千個)
2.戦後、とにかく従業員に飯を食わせるために、会社としてできることを探していた。

で、「音色は非常にクラシカルで奈良時代のものと全く同じ澄んだ長い余韻があり、しかも近代科学の新方式による逸品」と激賞を受けたとか。


高度成長期のところは端折り読み。総論と展望と、各論の興味のある部分だけ読んだ。

しかし、記述からもわかったけど、そのころってほんま「未来は、とにかく明るい」という世代だったんだろうな。

小津安二郎の映画とかみても伝わってくるのだけれど、活気があって、それでいて、時間の流れは、今と比べてもはるかにゆったりとしていたんだろうな。

政府は強く、産業政策は基本的に正しく、そして、保護された中を、日本の各企業は、明日に向けて明るく突っ走った。 そんなイメージであってますでしょうか?

監修は、有沢広巳。バカなマルクス経済学者の書いたしょーもない産業史とは違って、安心して読める書物。

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