絵画との出会いから

絵を始めた動機、作品の思い出、絵の仲間との出会い、支えてくれた家族との思いなどを、絵画作品とともに記録するブログです。

3D映画「ウフィツイ美術館」を見て。

2016-08-14 10:42:09 | 日記

たまたま銀座に出かけたのでシネスイッチ銀座でロードショウ中の3D映画で“フィレンツエ・メデイチ家の至宝”「ウフィツイ美術館」というドキュメンタリー系の映画を見ました。入場券と一緒に3D映画用のメガメを購入して見ることになったが、4Kの威力もあり、色彩が非常にはっきりとしていて絵画や画面が立体的に見えてその場にいるような感覚であった。

少々「ウフィツイ美術館」について説明すると、それは1200年代のイタリアのフィレンツエ共和国の歴史となる。当時の共和国を実質的に支配していたのはフィレンツエ銀行家の創設者ジョヴァンニ・デ・ビット・メデイチの孫にあたるロレンツオ・メデイチで、彼は政治外交にたけていたとともに哲学や芸術にも造詣が深く、多くの芸術家や建築家や職人を集めて庇護した。その中にヴェロッキオ、ボッテイチェリ、レオナルド・ダビンチ、ミケランジェロ等が活躍した。ロレンツオの時代の後半にメデイチ家に対する反乱が起こり、メデイチ家没落の寸前に至りましたが、ナポリ王国と協定してフィレンツエ共和国をつくり、フィレンツエの支配者の地位を固め1532年ロレンツオの孫が初代フィレンツエ君主となり1737年までメデイチ家が続きました。

映画の中ではこのメデイチ家中興の祖であるロレンツオが物語るかたちで進められるが、ウフイツイ美術館はこのロレンツオの傍系の孫にあたるコモジ一世によって建設された行政庁舎を美術館にしたもので、メデイチ家最後の末裔となるアント・マリア・ルイザの遺言によって300年に亘り蒐集されてきた絵画、彫刻、宝石などの美術品がトスカーナ政府に寄付され、1769年一般公開が始まった。

3D4K映画 パンフレット        フィレンツの風景

   

 

要約するとこのメデイチ家のコレクションは初期ルセッサンスを代表する絵画や彫刻や建築であると思うが、この映画ではサンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂(ブルネルスキ設計)、ヴィーナスの誕生(ボッテイッチェリー)、ダビデ像(ミケランジェロ)、受胎告知(レオナルド・ダ・ビンチ)が物語形式で解説されているが、絵画に関してはレオナルド・ダ・ビンチの「受胎告知」の絵の背景の山を三角形の頂点とした遠近法を3Dで解説していたのが、普通の鑑賞では発見できない構図と作家の意図を知ることができて感激しました。私は絵画のルネッサンスは絵画の新しい時代を開いた時代と思っていますが、その中でも遠近法をどのような構図と表現で描くかということの追求の時代とも思っているので大変勉強になりました。映画での解説はテレビ東京の「美の巨人」という番組と同じ小林薫さんである。

「受胎告知」 (レオナルド・ダ・ビンチ)    三角形の構図の遠近法

    

 なお、イタリア在住の漫画家ヤマザキマリさんの「偏愛のルネサンス美術論」(集英社新書)をAmazon Kindleで読んでいるが、この映画と併せて大変参考になり、面白く読んでいます。