はぁ………
こっちが泣きてぇ~よ
女相手にする余裕すら無いなんて。
……
俺があんな事言ったらアイツは泣くって分かってた。
でも覚悟して言ったんだよ、俺は…
昼過ぎ。
帰って来てそのまま寝てしまった俺は、シャワー浴びようと下に降りたらリビングに緒美がいた。
「おはようこんにちわ……啓兄。」
「おはようこんにちわさようなら。」
「ま . . . 本文を読む
はぁ……酷い目。
瞼が腫れちゃって………駄目だこりゃ。
こんなんじゃ仕事に行けない…
私は口実を作り、仕事を数日休む事にした。
とはいえやる事無し。
「完全にフラれちゃった……何か気が抜けちゃったな…………?」
携帯がメールを知らせて光ってる。
「延彦…」
何も知らない延彦が、週末の予定を知らせる為にメールを送ってきたみたい…
. . . 本文を読む
「…ん……ぁ…」
啓介さんにキスされちゃった…
たくさん…
キス…してくれた。
恥ずかしくて顔見れない…
啓介さんは、私の左手の手の甲にキスをしてこっちをじっと見ている。
「なあ…」
「な…何?」
「頼みあんだけど。」
「私に出来る事なら…」
私がそう言うと、啓介さんはニッコリしながら
「今夜泊めてくんね?明日 . . . 本文を読む
玄関の扉を開けると、啓介が猫を懐に入れて立っていた。
「よう!連れてきたぜ。」
ドアを開ける前までは、緊張し過ぎてどうして良いか判らないぐらいに混乱していた恭子だったが、その姿にそんな気持ちが一瞬で何処かへ行ってしまった。
「やだ啓介さん、箱とかに入れて来たんじゃないんですか?」
「え、あ~…家に調度良いのが無くてよ。どっかにもらいに行くのかったり~とか思ってたら、お前が肌 . . . 本文を読む
どんな顔して会えば良いかな…
夕べあんな事言っちゃったし…
夕べのは私が悪いのに…
訳も分からずあんな事言われて、向こうも気分悪かったよね…
今度こそ、もう二度と逢えないんだろーな…
これが最後なんだろうな…
この指輪……
返した方が良いかな?
でも、一回でも他人が触った指輪なんて、返してもらってもヤダよね…
あっ……ロータリーサウンド…
. . . 本文を読む
チリリリ
ザリザリ…
チリリリ
「……んぁ………」
「ゴロゴロ…」
「…ん~………はぁーっ……眠い……今ぁ……昼か…飯なんだな。スマン………っつかお前の舌イタイ…」
啓介の顔を舐めて、"早く起きろ"の挨拶をする恭子の愛猫。
カーテンを開けると空は抜けるような青空で、空気の透き通る冬場独特の天気だ。
夕べは史浩がこちらに着くまで起きて . . . 本文を読む
「何処行っちゃったんだろう…飛び出して来ちゃったから気付かなかったけど、もしかして置いて来ちゃった…(汗)?」
探しものの事でボー然と立っている恭子の所に、一台の車が近付いてきた。
運転手の顔を見て恭子は…
「あ…」
「やあ、数時間ぶりだね。」
車から降りてきた史浩に恭子は『何でここに居るの?』の顔をして、キョトンとしている。
(泣いた後の瞼…全く、啓介のやつ何したんだ . . . 本文を読む
(何で延彦の電話に出たんだろう…)
(私、最悪・・・最低だし。)
(いま啓介さんの顔見たら泣く……早くこの場を去らないと………啓介さんの前で泣いたら駄目なん………)
「待てよ!恭子!」
「っつ……ぅっっ………くぅっ」
(も・・駄目…限界……)
「恭…子?」
「ばかぁーっ!名前なんか呼ぶなぁーっ!!」
. . . 本文を読む
PM9:45 定峰峠
天気 雨
雨は嫌だ…
寒いし…
(あれ?延彦…電話中かぁ……何か良からぬ電話のよーな気がすんだけど。)
考え過ぎ?
まだ霧雨が残る峠。
今夜は天気が悪いし気温が低いせいか、俺達以外は居なかった。
最近、ここ数年の中で一番元気が無い延彦の事が何となく気になって、仕事中にメールをしたら『いつもの所で』って返事が来た。
…延 . . . 本文を読む
(お風呂上がりって、何で人前に出るの恥ずかしいんだろう…)
ドアを閉める音がしたのに、中々入って来ない彼女を気になって見てみると、
恭子はリビングと廊下を繋ぐドアの前に立っているのがガラス越しに見えた。
(…?)
啓介は何かあったのかと、ソファーから起き上がって見に行ってみた。
「何だ?どうし…」
「あわわっ!!わーっ!」
「ななな何だ!?どうしたんだよ?(汗 . . . 本文を読む
「んじゃ二人でごゆっくり。」
「うるせーよ、早く行け。」
史浩は含み笑いをしながら車から出てった。
バックミラー越しにアイツと話ししてんのが見える。
(はは…アイツ史浩の名前忘れましたって顔してら。あいかわらず分かりやすい表情するなぁ。)
「さてと…」
おそらく次は"靴どうしよう"か"猫どうしようか"で悩むだろうから、出迎えてやりますか…
案の定、車のドア越しから . . . 本文を読む
「あっ、曲がった。ここ入るの??立派なマンション・・・」
私は何処だか分からないマンションの地下の駐車場に来た。
少し進むと啓介さんの車に一緒に乗っていた男の人が降りて私の方に近ずいて来る。
(えっと・・・・・・誰だっけなあの人・・・名前忘れちゃったよ(汗。)
彼が少しかがんだから窓を開けた。
「今、俺の車どかすから君はここに入れると良いよ。」
「あっはい。あ . . . 本文を読む
「?…啓介?お前何ボーっとしてー…」
言いかけて啓介の視線の先に目をやると、もう潰れてしまった店の駐車場の隅に黒いFDが一台だけポツンっと止まっていた。
少し奥まった位置に頭から入れていて、自分達からは見づらい位置に止まっている。
(変な所に止めてるな・・・)
史浩はそう思いながらナンバープレートを見ると、"熊谷"の文字が目に入った。
(まさかね…汗)
. . . 本文を読む
雨の音は何となく落ち込む気分になる…
周りは冷やかしを通りすぎて"暗黙の了解"ってやつで通ってた所があった。
だから自分だけは特別に想われてたんじゃないかって…
伝え無くても十分伝わってたんじゃないかって…
そんな風に思ってたから、きっと罰が当たったんだ…
そんな自分に後悔し過ぎて諦められない。
一年前彼女が、
「携帯探しに行ったら、すっごい . . . 本文を読む
冬の匂いが混じりはじめた11月。
特にやる事が無い…っとゆーより何も手に着かない。
愛猫の首にぶら下がった指輪を指先で撫でながら溜め息ばかりついている恭子。
指輪に秘められた想いも知らずに…
一方、ソファーに横になって携帯を眺めながら電話をしようかメールをしようか……
でも特に話すネタも無く、今はただ繋がっていたいだけ…とか悩む男 . . . 本文を読む