秋の平日の昼下がり。
連休明けで暇な店の外で、恭子は掃除をする手も止まりボーっと立っていた。
その様子を見た同僚が何やら話しをしている。
「何かあの日以来、岩瀬さん変だよね。あの彼と何かあったのかなぁ?」
「さぁ~?でもあの様子だと恋が終わったっつー感じでもないしね。」
「そーだよね。っつか彼氏じゃなかったのかな?仲よさ気だったじゃん?何か複雑な事情だったのかねぇ…」
同 . . . 本文を読む
久しぶりに拓海の顔でも見ようと、渉は群馬に来ていた。
あれ以来、二人は良く連絡を取り合っている。
渉から見れば拓海は凄いヤツだと認めていたり・・・
かと思えば、めんどくさい質問を色々してくる彼を『うっとーしいけどほっとけないヤツ』っとかゆー存在だったり・・・
お互い86乗りとゆー事もあり、良き友人となっていた。
そして渉は拓海の他にもう一人群馬県内に知り合いがいる。
高橋 . . . 本文を読む
夜の夕飯時を少し過ぎた時間、延彦はファミレスの窓際の席で誰かを待っていた。
店員の"いらっしゃいませ"の言葉に反応して入口を見ると、待っていた人物がキョロキョロしている。
その人物に手を上げて自分の方へ誘う。
「おっす!お疲れさん。」
「お疲れ。仕事上がりで疲れてるとこ呼び出して悪かったな、渉。」
渉は、最近やけに呼び出しの回数が多いなと思っているものの、理由が理 . . . 本文を読む
啓介が帰って暫くすると、恭子は腕の中にいる愛猫の首の辺りに何か硬い物があるのに気付く。
「何これ?」
恭子は首輪に何かぶら下がっている物に”?”。
10月も半ば過ぎ、冬毛になっていた首に埋もれていて一晩気づいてなかった。
「シルバーの指輪。夕べ結構酔っ払ってたからふざけて付けたんだ、きっと。
うはっ!コレはあの有名な・・・・・高そう・・・いや絶対高い(汗。
何で . . . 本文を読む
結局二人は外に出る事なく、昼食は恭子の作った料理を食べる事になった。
「まさか啓介さんに料理を作る事になるとは…
しかも有り合わせしかないなんてトホホ(汗。
自炊をしているとはいえ、よりによって啓介さんに食べさせる事になるなんて・・・」
そして啓介はとゆーと恭子に、
「さすがに啓介さんに貸せる服は無いけど、シャワーぐらい浴びると良いよ。」
そう言われてシャワーを . . . 本文を読む
恭子はベッドに横になったまま携帯のメールを読んでいた。
表情は少々慌てている様子。
メールの送り主は延彦だ。
夕べ仕事の終わり間際に延彦から来たメールの用件に返事をしてなかった。
っとゆーより、突然起きた出来事に正直すっかり忘れていたとゆーのが本音。
恭子の少し慌てた様子はメールの返事を忘れた事じゃなく、内容である。
『お前の返事を待ってるといつ . . . 本文を読む
啓介はグラスを空にするペースはかなり早い。
恭子は圧倒されながら自分のペースを保つ。
しかし時間が経つにつれ気付けばいつもより多く飲んでいしまっていた。
楽しく飲んでいたせいか不思議と具合も悪くなってない。
(私って結構飲めたんだ・・・)
一方、啓介は一瞬気を緩ませて横になったが最後、そのまま爆睡してしまった。
恭子は起こさないよう静かに毛布をかけてやりながら . . . 本文を読む
恭子が台所で準備を進めている間、啓介は部屋で一人と一匹で座っていた。
啓介は膝の上で丸くなってる猫を撫でながら部屋を見渡す。
恭子の部屋は思ったより女の子の部屋だが、一カ所だけ車関連の雑誌やDVD・・・
そして走り仲間と撮った写真と愛車の写真並んでいた。
当然、走り屋の世界は男ばかり。
その中に恭子の姿が写ってる。
自分の知らない男達に囲まれて写る写真を見て、啓介はちょっと . . . 本文を読む
啓介さんの突然の言葉に私は悩んだ。
二人とも車だから居酒屋に行くのは無理だし…
そして私の出した答えは…
私の家で飲む事(汗。
今日の朝はバタバタで出て来ちゃったけど、たまたま掃除した後だし。
あとは朝脱ぎっぱなしにしてきた寝巻とか片せば何とかなるかな…
家の近くのコンビニで買い物をして自宅へ着いた。
私の使っている駐車場は縦長で二台分の駐車 . . . 本文を読む
今、私と啓介さんはファミレスにいる。
何を話せば良いんだろう。
それにしても何だろ…
アタシ、みょ~に落ち着いてる。
あっそうだ…
「ところで啓介さん、今日はどうしたの?」
私の問いに啓介さんは、
「ん?ああ俺ね。今プロのドライバーのテスト受ける準備しててさ。
今日もそれ関係で東京に行ってたんだ。明日は久しぶりに時間があるから……まぁ~なんつーか…」
. . . 本文を読む
閉店近くなり、店内の掃除などをしていると恭子の携帯がメールの着信を知らせた。
お客もいないし少し手が空いていた恭子は、チラっと着信の相手だけを見た。
「延彦…(汗」
何だか気になって思い切って携帯を開いてメールを見た。
「今週どっか空いてる?」
(うーむ・・・・・・・・・・)
恭子は迷った。
(私まだ返事してないのに、何だか話しが進 . . . 本文を読む
日が暮れはじめた頃恭子は・・・・
「すみませ~ん、遅くなりましたぁ~。」
仕事場で使う事務用品やら何やら沢山入ったビニール袋を重そうに持ちながら事務所に入ってきた。
「おっ、ありがとう。お疲れさん!」
事務所で作業をしていた店長が、手を休めて手を上げる。
「すみません、遅くなっちゃって。夕方の渋滞にハマっちゃって…」
ビニール袋から買った物を出しながら . . . 本文を読む
昼休みが終わり仕事に戻ると、恭子は店長から事務用品などの雑貨の買い物を頼まれて店を離れた。
そんな時、店の外を掃除していた店員に一人の男が声をかけてきた。
「あの、すみませんが…」
店員が掃除をする手を止めフっと顔上げると、スラッとした長身に目鼻立ちのやたらと整った顔が目に飛び込んできた。
一瞬圧倒されて言葉を失ったが、はっと気付いて…
「あっ、いらっし . . . 本文を読む
「わーっ!うそっ!?寝坊!最低!」
足元に絡まる愛猫を上手に避けながら出勤の準備と…
「はいは~い、アンタのご飯ね…あっお水代えなきゃね。」
愛猫の食事の準備を終えて恭子は慌ただしく部屋を出て行った。
「もー、夕べは久しぶりに色々考えたり思い出したりしてたら、寝るの遅くなっちゃった(汗)。」
バックミラーを鏡替わりにメイクや髪型が変じゃないか確認しながらブツブツ . . . 本文を読む
金木犀が香る10月。
あの人にフラれてから二回目の秋が来た。
去年は"あれから"峠にも殆ど行けず、一人ショッピングに出掛けたり家でぼーっとしたり…
そんな生活を半年ぐらいしてたもんだから、女友達に心配された。
たまに延彦から電話やメールが来たり食事なんかの誘いがあったけど、
その時の私はうっとーしいだけで、殆ど断ってた。
でもあの人との出会いをくれたFDは、相変 . . . 本文を読む