ある雨の日。
涼介の頼まれ事を受けて、出掛けていた史浩を迎えに啓介は駅まで来ていた。
駅のロータリーに車を止め、ステアリングに頭を預けて雨音を聞く…
雨の音は"あの時"の事を思い出す音で、啓介にとって癒しの音となっている。
「ふあぁー…眠い………疲れ溜まってんなぁ……」
ガチャッ!
ぼーっとしていると、ナビシート側のドアが開いて史浩が入ってきた。
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最近の習慣は、帰って来ると携帯を開いて受信Boxの、彼女から返信されてきたメールの文章を眺める事。
返信ボタンを押して、文章を書く画面と暫く睨めっこ…
特に書く事も無くて携帯を閉じる。
暫くしてからまた携帯の画面と睨めっこ。
こんな事を2、3日続けて、やっと短い文章を一通送る…
送る時間はたいてい夜。
彼女から直ぐ返事が来ると嬉しい…
数時 . . . 本文を読む
「えっ!?ホントに!?じゃー再度アタックしなきゃね!」
「んーん……それはもう無いの……私からあの人にアクション起こす事なんて…」
「じゃーもう終わりって事?こんなドラマみたいな再会したのに?」
「ん……だって…」
「だって?」
「あの人の邪魔したくないってゆーのもあるし、それに少し臆病になったのかも………あんな思い、もうしたくないって自分がいるの。まだ大好きだから . . . 本文を読む
PM10:00 赤城峠。
恭子と一年半ぶりの再会をした次の日、啓介は一週間ぶりに走りに来ていて、彼の復活に何となく周りも活気づいていてた。
「啓介さん、表情柔らかくなった感じしねぇ?ここ最近の顔付きとは違うよーな…」
「だよな…ナンかあったんかね?」
「何で調子悪かったか分かんないけど、休み入れて少し落ち着いたんじゃないの?」
さて、当の本人は…
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『再会2』と『自宅居酒屋準備中』の啓介視点です。
ファミレスに入ってからかれこれ1時間以上はたったけど、"ホントにこれが俺か??"ってぐらい、全く落ち着かない……ナンかヤバすぎ…
一応、平静装ってっけど…"触りたい"っつー衝動が…………ヤバイ……
確か明日って何も予定無かったよな…
こーゆー時はやっぱ酒だよな…酒の力を借りたい(汗。
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渉から教えてもらった住所をパソコンで検索すると、大体の位置が分かった。
「ふーん、なるほど…」
ソファーに横になってため息。
「夕べ偶然渉に会えて聞けたは良いけど、アイツの事聞いた時の渉の顔、やっぱ驚いてたなぁ(汗。
でもま、携帯の番号とか教えてくれなくて良かったぜ…」
彼女と決別する為に誘ったラストドライブ。
「あれの前に、一応電話番号とアドレス交換し . . . 本文を読む
啓介は暫くアテも無く走り続ける。
「こーゆーのもたまには良いもんだな…」
啓介は少なかったが、でも一年以上たった今も色濃く自分の記憶に焼き付いている彼女との想い出を一つ一つ、ぼーっと思い出していた。
突き放したあの日……泣いているアイツを抱きしめてやろうともしなかった俺。
だってしょうがねーじゃん?あン時はそのつもり無かったしよ。
抱きしめたらきっと、後には引け無 . . . 本文を読む
「あっ!涼兄、史浩さんお帰りなさぁ~い。史浩さんの分も夕飯あるよぉ~。食べて行く?」
「あっ、ああそーだな…ってゆーか緒美ちゃん、啓介来てるのか?」
「いないよぉ~。一時間前ぐらいに帰ったぁ。」
「帰った??」
「緒美、啓介の車があるけど、アイツどーやって帰った?」
「おばさんのライオン。」
「アレでか?啓介が?」
「……」
史浩と涼介は顔を合わせて首を傾げた。
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「暫く誰も使ってねーみたいだけど動くよな?………おっし!大丈夫大丈夫、問題無し。誰も使ってなくて可哀相だから、俺が動かしてやっからな。取り合えずお前汚いから洗車だなぁ~………って、誰かさんじゃねーんだから車に話しかけるなよ、俺(汗。」
そう言ってる啓介の顔は、かなりニヤけていた。
洗車を始めてはや数時間。
基礎からの洗車は、かなり手間がかかる。
まだ終わりそうにないが、日が落ち . . . 本文を読む
カーテンの隙間から太陽の光が差し込み、目に染みるような青空も見える。
しかしその光景をぼーっと眺めている人物は、ベッドから起きる気配がない。
(今日は特に用事も無ぇーし……かったりーし…たまには何もしないでこのままいたい気分だな…)
そんな事を思いながらフッと、ベッドの上に投げ出された自分の腕を見つめていたら、妙な妄想を繰り広げている自分に気付た。
「………はっ!?…ぬあああ . . . 本文を読む
秋も深まった深夜3時を回った赤城峠。
「じゃ啓介さん、俺ら先に帰りますね。お疲れ様でした!」
「ああ、お疲れ。またな。」
一人…また一人と散って行ったなか、ケンタだけが最後まで残っていた。
「啓介さんまだ帰らないんですか?なら俺、まだ付き合いますよ?」
「いや、今夜はもう走らねー…お前も、もう帰れ。」
そう言われてケンタは渋々車に乗り込んだ。
「じゃー啓介さん、ま . . . 本文を読む