秘密の花園

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テニスコートの事 その3

2009-09-04 23:55:00 | 補導マン
ドキュメント テニスコートの男たち

 9月に入りもう4日もたった。今週の初め、知らぬ間に例のテニスコート復旧作業が終わっていた。寮の黒板の片隅に小さく、「テニスコート完成しました」という文字があったのだ。それを見て僕は、何だか謙虚だなあ、と思った。
 
 5月。春の光を存分に吸収した雑草共はこれでもかというほどに、己の生命力を開花させていた。コーヒーさんが「自然の猛威」と言っていたが、的を射た表現だと思う。それほどテニスコートの状態はひどかったのだ。
 
 テニスコート復旧作業を行ったのは、k8さん、k31さん、k47さんの三人の諸先輩方だった。
 
 あれは、6月だろうか。噂でk31さんの友人のk37さんが、生えている木をのこぎりで何本か倒したと聞いた。テニスコート復旧のためには、雑草だけでなく、木も強敵だったようで。しかし、木まで倒すなんて。このとき、寮に入って1月しかたっていなかった僕は、これが「寮生クオリティ」なのかと感じたのだ。
 
 その後、業者も入り、電動草刈り機で草を刈っていった。それもあってか、一時、草の勢いが止まったかのように思えたが、7月初めごろにはぶり返し、また大量の雑草が生えたという。「予想はしていたけど、目の前にしてみると、なんか今までの事が無駄に思えてくるよ」とk31さんから聞いた覚えがある。伸びるのが早いか、刈るのが早いか、テニスコート再生の戦いは持久戦であった。
 
 8月初め。草を土ごと掘り起こす、k31さんの姿があった。今年は冷夏だったけれど、その日は、蝉が喜ぶような暑さだった。k27さんと共に少しだけ掘り起こし作業のお手伝いをさせてもらったが、雑草の根の張りが強く、しかも道具も古いので、掘り起こすのになかなか力がいる。それでも1時間くらいかけると4分の1くらいが土の色に変わった。それから8月31日まで3人の諸先輩方は土を起こし続けた。
 
 そして、9月1日。ついにテニスコートは完成した。あれだけ緑色だった地面が淡い茶色に変わっている。当初予定したほど、広くはならなかったがこれは残り半分が木に浸食されているため。それでも、半分の面積を手仕事でならすのは、大変な労力だろう。途中、ポテトチップスの未開封の袋や、火炎瓶のようなもの、宴会に使っていたとおぼしきブルーシートとつまみの包装紙など、わけのわからぬものも掘り起こされ、力がなえる日もあったかもしれない。しかし、この無謀と思える作業もついにピリオドが打たれたのだ。
 
 いつかk31さんが
「コツコツやれば、いずれは出来るんだよ。」
 と言っていた。ありふれた言葉だけれど、めちゃくちゃ説得力があって、少し感動した。
 
 正直、寮生でテニスをやる人もいない。だから開始当初、テニスコート復旧作業は無駄で無意味に思える行為だとささやかれていた。しかし、現在テニスコートは、寮祭で使おうとか、畑にしようかとか、色々提案がなされている。復旧作業がなければおそらく出なかったであろう考えだ。これで、放棄されていた土地の活用の可能性が拡がった。
 
 

 3人の諸先輩方本当に長い間お疲れさまでした。作業している時の後姿がすごくかっこよかったです。ありがとうございました。
 

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