第２２６号 ２０１３年３月

塔心の礎石の上の天に柿　　金澤ひろあき


立ち姿麒麟眠るや満月に　　青島巡紅


おぼつかぬ足取りで秋一夜かな　　内園日出杜


秋風や子規の凝視　記念館　　三村須美子


朝散歩小さき寺の読経映ゆ　　二神大輔


ご無沙汰を仕事にかまけ吾紅　　中野硯池


テレビにて「キス」したくなると？　　川村薫


幸道どこまで約束のシルエット　　野谷真治


冬空に雲が漂う寒いなぁ　　ほし


衣替えエコの続きよ半袖に　　岡畠さな子


朝霧をためたコスモス虹の橋　　坪谷智恵子


灯を消して虫の合唱宴かな　　植野政好


夕焼けのうるわし正月夢の夢　　葛城裸時



（葛城裸時選）

第２２５号 ２０１３年２月号

友のこと思う頭上に天の川　　金澤ひろあき


橋の上の月ふるさとの音色　　野谷真治


虫の音と水の落差の共演や　　青島巡紅


雷神は気迫がこもる名ドラマー　　内園日出杜


特急の通過音きく再開す　　二神大輔


新涼や顔を出した彼岸花　　坪谷智恵子


長月に残り朝顔ピンク色　　岡畠さな子


ひるねをば次のお客にゆずる私　　川村薫


雨音と協奏共演秋の虫　　三村須美子


愛なれば言わず語らずにこにこと　　植野政好


地球にも勲章下さい文化の日　　暉峻康瑞


夢は夢その又夢　　蔭山芳雄


おうい雲いちどでいいから乗っけてくれよ　　藤庵


爪を切る女の膝の秋日かな　　中野硯池


きれいな爪のままほんのすこしのママでごめんね　　佐藤駿司


隣家の主婦の温もり秋ダリア　　畑ヨシ枝


さかさまの小人あふれる黒い傘　　葛城裸時



（葛城裸時選）

「初句会」

初句会となりはちびっ子運動会　　金澤ひろあき

○子●○○　佐藤駿司

怪獣もモリモリ倒すぞ元気っ子　　葛城裸時

２割とってもまた２割出てくるルーズあり　　青島巡紅

二割り増し料金新春店びらき　　金澤ひろあき

六文銭を旅手形　　佐藤駿司

えんぴつをビールで飲む　　葛城裸時

サンマの命をいただきます　　青島巡紅

大漁旗カモメをつれて帰ろうよ　　金澤ひろあき

物言えぬ太宰をしんじてみませうか　　佐藤駿司

萌え声の声優正座しにきた　　葛城裸時

クローン猫、飼い主の期待裏切る　　青島巡紅

八匹の龍を背に飼うインド神　　金澤ひろあき

鱗をはいでいただけませぬか　　佐藤駿司

石工がドレミの踊り　　葛城裸時

半音をシャープであらわすかフラットであらわすか　　青島巡紅

調子外れを楽しんでいるピエロかな　　金澤ひろあき

しぐれて帰る背中に負うもの　　佐藤駿司

ポン菓子透明パラレルマシーン　　葛城裸時

空水陵車が配備されるアメリカ　　青島巡紅

「かく」が分身しています　　佐藤駿司

人生より長い書道　　葛城裸時

コインの裏表ではなくそのまん中　　青島巡紅

中吉がよいかもしれぬ初詣　　金澤ひろあき

角大師にも笑う門　　佐藤駿司

美味し氷日本　　葛城裸時

最初の一滴になりたいね　　青島巡紅