熊大迷宮物語KB

かなり不定期でつまらない物語でも書こうかと思ってます。
画像はAIイラストつくろっ!アプリで作成しています。

2016年3月18日(金)

2023-07-31 00:35:00 | 日記

【熊大第7迷宮529階:黒髪てへトリオ部隊】

「今日のボスは大した事なかったですね」

「まあ俺たちが強くなりすぎたかな」

 中島 一州に回復を行ってもらいながら原田 公司が発した言葉に、前田 法重が返す。ここは熊大第7迷宮529階。本日も準備探索ボス戦を行い、案外簡単にボスを倒せたので、少し緊張感がほぐれた様子のボス戦後の状況となっている。大塚 仁がレア物質を回収した後、いつものようにカード差し込み口にカードを差し込み、数秒後にカードが吐き出される。これで次回は530階の探索になるはずである。

「原田くん。回復終わり。次中尾くん」

 そういって中島が中尾 智史の回復を行う。いつものことであるが、この時間戦士は回復を受けてもらったり、ボス戦の動きについての分析などを行い、罠解除士は物質の回収や、カードの管理、僧侶は回復と、それぞれやる事があり、それなりに忙しいが、暇そうな人が1名存在している。

「まだっすか。早く帰りましょう」

「もうちょっと待って。回復も終わってないし、大塚くんも戻ってないよ」

 退屈で退屈でたまらない本田 仁は毎回のように帰るのを催促する。だが結局やることが終わらないと帰れないので、いつも軽くあしらわれているのだ。

「何かする事ないですか。原田さん」

 仕方なく、する事を探すために原田に声をかけるが、原田は手首を外に向ける感じで両手を上にあげ、軽く左右に振る。おそらく無いということを表しているのであろう。

「やれやれだぜ」

 そのような捨て台詞を吐いて、本田は壁に体を預けて目を瞑った。


2016年3月17日(木)

2023-07-28 16:21:00 | 日記

【南地区レストラン:鈴木 裕司・木村 健・土屋 優子・坂井 誠・吉田 珠美・伊藤 園子】

「今日も手がかり無しやったな」

「手がかりも何も全くお手上げ状態ですな」

 少しため息をつきながら発した鈴木 裕司の言葉を聞いて、土屋 優子も同じような感想を述べた。ここは午後1時過ぎの『南地区レストラン』。本日もまずますの客で賑わっている。本日午前中に探索を行った食べラー大好き部隊であったが、第6迷宮の地下4階に降りるヒントすら見つけることが出来なかった。6人はすでに食事を終え、食後のドリンクやデザートを楽しんでいるところである。

「地下3階に降りてから結構経つよな」

「このままクリアできないってのは嫌だよね」

 コーヒを口に含んだ後、坂井 誠が発言し、それに伊藤 園子が感想を述べる。食べラー部隊が第6迷宮探索を始めて約1年が経つが、地下1階と地下2階は3ヶ月ずつ程度でクリアしているので、地下3階に降りてから約半年が過ぎようとしている。現在冒険者組織では1部隊だけ別格の黒髪てへトリオ部隊を除けば、自分達の部隊が1番古参となる。冒険者活動自体がかなりシステム化されていることもあり、近年では長くても56年程度で冒険者を引退するものが多い。自分たちの部隊は鈴木、木村 健、吉田 珠美の38期生がもうすぐ丸8年になるので、今年の2月に引退するかどうかは非常に悩んだのである。ただ、継続を決めた以上、迷宮の探索は進めたいと考えている。

「何とか存在が確認されている地下6階までは行きたいよな」

「あわよくば地下7階以下も・・・と言ってもあるかどうかわからないけどねー。そろそろ出ましょうか」

 大きく背伸びをしながら木村が感想を述べ、それに同意するように吉田も言葉を発し、全員が食事を終えているのを確認できたので、店を出るように提案した。


2016年3月16日(水)

2023-07-28 16:20:00 | 日記

【熊大第1迷宮:ザ・ワールド時よ止まれ部隊】

「君が川崎くんかねー、やだやだ私は戦いが嫌いでね」

「健介おめー」

 目の前に修験したブッチャーが戦うことなく消滅し、大きく息を吐いた川崎 健介の後方から中島 叶恵の大きな声が響いた。ここは熊大第1迷宮地下1階。本日もブッチャーチャレンジに訪れている。いつものように川崎から対戦を行うべくカエルの彫像を動かしたが、出現したブッチャーは戦闘を行うことなく消滅したのである。これで川崎はブッチャーをクリアしたということになる。

「じゃあ次は私が行ってくる」

 そう言って中島がカエルの彫像を動かす。すると、いつもの様にブッチャーが出現し、戦闘意欲満点のようだ。

「行きます」

 剣を構えて大きく息を吐いた中島が、ブッチャーへ向かっていく。すでに結構な回数ブッチャーとは戦っているので、動きや攻撃のパターンはほとんど熟知している。ただ、まだ全ての攻撃を避け切ることは出来ていないので、小さいもののダメージは喰らう状況である。いくらかダメージは食らったが、それ以上の攻撃で確実にダメージ与え、ブッチャーは消滅した。

「お疲れー。物質回収します」

 物質回収にむかう花岡 雅弘とすれ違い、中島は部隊の場所へ帰る。すると、古市 道彦が回復の準備をしており、佐藤 文香も次にブッチャーと戦う準備をしている。この後、物質回収が終わり、佐藤がブッチャー戦を行う。本日はこの後、中島、佐藤が2回ずつブッチャーと戦い、探索を終えることにした。


2016年3月15日(火)

2023-07-26 23:15:00 | 日記

【済々黌:富田 正継・前田 綺羅・原田 祐一・村川 学】

「良し、全員合格やな」

「これでまた1歩冒険者に近づいたかなー」

 全員の受験番号が有るのを確認して言葉を漏らした富田 正継の横で、嬉しそうに前田 綺羅もこう口にした。ここは済々黌高校の正門から入ってすぐの場所にある広場。ここに今年の後期試験の合格者一覧が掲示されている。富田と前田、原田 祐一、村川 学は父親が冒険者か元冒険者であり、自宅も黒髪近辺にあるので、小さい頃から冒険者組織が身近な存在であった、その様な環境で育ったので、将来は冒険者になることを目標にしているのである。それに対して両親達は、冒険者になるからと言って勉学が疎かになることを嫌い、冒険者になるためには、桜山中学卒業後、済々黌に進学し、熊大に進学することを条件としているのである。そして本日、第一条件で有る済々黌進学をクリアしたのだ。

「高校でも一緒のクラスになるといいなー」

 ルンルン気分の前田が笑顔で言葉を発する。富田はその様子を何気なく眺めていたが、何やら周りが少しざわついている。どうも前田の余りの可愛さに気づいた連中が、そこかしこで話題にしているので有る。

「じゃあ、そろそろ戻ろうか」

 このような状況は慣れっこではあるが、今日は高校の合格発表なので、余り目立たない方が良いと思い、富田がこう提案し、全員で校門から外へ出た。そのまま歩いて黒髪方面へ向かい、富田の自宅である『ゲーム&喫茶アクシズ』へ向かう。全員合格していたら母親の富田 さやかが全員にご馳走してくるという話をしていたからだ。

「ただいまー」

「お帰りなさい。どうだった?」

 さやかの声かけに対して全員でサムズアップで帰す。それを見て、大きく息を吐いて、笑顔を浮かべる。

「みんな、おめでとう。頑張ったわね。じゃあ好きなものたくさん作ってあげるから、何でも注文して」

 そう言われて、全員でテーブルに座り、何を食べるかで盛り上がる。この後、全員で大量の料理を注文し、皆んなで和気藹々と食べ尽くす。食べ終わった後は丁寧にお礼を述べ、全員で合格を伝えに、この後前田家、原田家、村川家を順番に回った。


2016年3月14日(月)

2023-07-25 12:13:00 | 日記

【戦士鍛錬場:中島 叶恵・川崎 健介・佐藤 文香・桑野 絵梨花】

「もうそろそろブッチャークリアして地下2階かしらね」

 笑顔を浮かべて桑野 絵梨花が声をかける。ここは午前中の戦時鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。先ほどまで模擬戦を行っていたザ・ワールド時よ止まれ部隊の戦士である中島 叶恵と川崎 健介、佐藤 文香の3人は休憩時間に集まって、一緒に休んでいた。そこに教官である桑野 恵利香がやって来て声をかけたのである。

「そうですね。圭吾君が地下2階に降りる階段の罠は解除しているので、後はブッチャー次第です」

 質問に対して、中島が状況を説明した。迷宮探索を始めてから約5ヶ月が過ぎており、第1迷宮の地下1階の探索はボスであるブッチャークリアを残すだけとなっている。罠解除士である澤山 圭吾が、すでに地下2階に降りる階段の罠解除に成功しているので、地下2階へ降りることはできるのだ。

「ブッチャーも健介君がそろそろで、私と叶恵ちゃんもそうかからないと思います」

 タオルで頬の汗を拭いながら佐藤が言葉を続ける。正直後23回の探索でクリアできる見込みなのである。

「まあとにかく油断しない様にね」

 笑顔を浮かべてこのように言葉を述べた桑野は軽く手を振って、他の戦士達の状況を確認しに立ち去って行った。

「ところで言い忘れてたけど、バレンタインのお返し今日持って来てるから後で渡すね」

 特に2人を見つめることもなく、ボソっと話をした川崎の声を聞いて、2人は顔を見合わせ、笑い合った。