株で勝つ!

最高のトレーダーは、安定的に機能する2つか3つの手法に気づき、そして、それを繰り返し使用するミニマリストである。

株価メカニズムを知れば勝てる (1)

2005年01月08日 | 投資哲学・手法
株式投資をするときに、多くの投資家は上がる銘柄を探して買い、下がる銘柄を探して売れば儲かると考えていると思います。しかし、勝つためには『戦略と戦術』が必要であり、この2つを考えずに闇雲に投資すれば『勝つも負けるも運次第』になってしまいます。ですから、株式投資をする前にまず『株価変動がどうして起こるのか』について知り、その知った答を基にして『どういう投資をすれば勝てるのか』を考えるべきだと思います。

◇株価変動のメカニズム
(1)パイの原理
(2)3つのバリュー
(3)出来高が予知するもの
(4)テクニカル分析指標の影響
(5)派生商品の影響度
(6)景気動向と政治動向(企業業績と為替、金利、原油価格が市場に与える影響、および政治家のエゴが株式市場に与える影響)
(7)需給=世界の資金の投資の理論と流れ

大きく分けますと、株価の変動に影響を与えるものは上記の7つと言えます。この7つ全てをマスターすることは難しいですし、またマスターする必要もありません。これらのうちほとんどについては、時間と知識と武器がある専門家の分析に任せればよいと思いますが、株価に与える意味だけは知っておいた方がよいと思います。

そして、個人投資家にとって重要なことは『パイの原理』と『3つのバリュー』、『出来高が予知するもの』ではないかと思います。この3つが分かるだけで、投資戦術は全く違ったものになると断言できます。

(1)パイの原理
この言い方はケン・ミレニアム独特の言い方です。これは、この文章を書いている森田は『本ではなく実践で株式投資を理論化』しましたので、一般の言葉の認識とズレが出ることがあるからです。言い換えますと『印象』で書いていますので、言葉の意味を見るよりも『何を言いたいのか』『自分にとって得な方向に思考を持っていく』ようにしていただきたいと思います。

パイの原理とは、1つの銘柄が上昇する時に『最終的にその銘柄に入ってくる資金の量』は決まっていることを言います。これを理解できれば『株式投資の手法』がほぼ決定すると言えます。また、私の投資理論の基本はこのパイの原理によって構成されています。

≫「ある銘柄に入ってくる資金の量が決まっている」とはどういう意味か
この資金の量が分かれば株式投資は100%勝つことができます。資金の量とは『株価×出来高』で計算します。

例えば、ある銘柄が300円から500円まで上昇して下落に転じたとします。そして出来高は最初が1日10万株、最後が1日500万株になったとします。
この場合、最初の資金量は3000万円で、最後の資金量が25億円となります。ということは、その銘柄に入る最大の資金量は25億円となります。
もし、最初から25億円と分かっていれば、この25億円と株価と出来高から高値を推測することができますが、この数値は誰にも分かりません。この誰にも分からないことが分かれば株式投資の勝者になれますが、その訳をもう少し詳しく申し上げます。

投資家が株を買う時には、ほとんどの投資家は『株価が上昇したら売ろう』と考えて買います。ということは『買った株数は将来の売りの株数』となりますが、この売りの株数に株価を掛けた金額以上の金額が、その銘柄に入っている間は『株価は上昇し続け』ます。

しかし、売買代金が25億円になった段階で、売りたい投資家の売りたい金額が25億円となり、この以上のお金が入ってきません。これ以上株価が上昇するとすれば、それは出来高が減少する以外になく、出来高が増加するとすれば『株価が下落する』以外に計算が合わなくなります。

しかし、株価の上昇とともに参加する投資家が増えて、売買代金が増加しますので、最大売買代金になった時にはそれ以上は出来高は増加できなくなっています。このため、必然的に株価が下落することになります。
そして、高値で買った投資家のうちで、優秀なデイトレーダーやプロの投資家は『高値買いの危険性を知って買っていますので、上昇すればすぐに売り、下落してもすぐに売り』ます。つまり、株価の上昇が止まったところで売ることになり、株価が下落に転じることで他の投資家も売り始めて、株価の上昇が止まって下落に転じます。

≫結論
株価の上昇はその銘柄に入る予定の投資資金が最大になったときに止まるが、最大の投資資金が幾らかは誰にもわかりません。このため『高値を予測するのは難しい』と言えます。また、『上がった株価は必ずパイが一杯になったところで下落に転じる』ので、この2つを前提に投資戦術を考えれば、株価は上昇した時にはいつ下落に転じるか分からないことになり、『上昇した株は買わない』という結論になります。

もう一つ言えることは『いつ上昇が終わって下落に転じるか分からない』のであれば、投資する銘柄は、上昇率が高い銘柄ほど良いということです。
この意味も重要です。それは、将来の動きが分からないのに株価が上昇したところで買うという時には『どこかに根拠がある』に違いないからです。
その根拠は何かと言いますと、過去の動きと将来の成長性となりますが、これについては、企業業績の説明のところで申し上げます。ここで覚えて欲しいことは『上がった銘柄はいつ下がるか分からない』ので危なく、株式投資で勝ち続けるためには『上がった銘柄ではなく、下がった銘柄を買うべき』ということです。

この場合には、『買ったあとも下がり続ける銘柄』ではなく、買った近辺が『底値』になる銘柄を買うことが問題になります。そのためには前回レポートしました『下がらない銘柄の探し方』を知る必要があります。

森田謙一