ばーばのケベック日記

ケベック在住、ばーばの気まぐれ日記、日常に関する雑文が主です。

この世界の片隅に

2014年02月11日 | 読書

こうのふみよ作品、漫画「この世界の片隅に」読みました。夫が、素晴らしい漫画と推薦されてるよと耳にし買ってきました。読みながら何度か泣きました。上下で5000円です。こんな高い漫画本をよんだのは初めてですが、値段に文句言うのが恥ずかしくなるような漫画でした。作者も私も戦争を知りませんが、ここに描かれた日本の庶民の生活ぶりは、子供だった私にも馴染みある光景で、読みながら様々なこと蘇りました。感動して何も言葉がでません。あれこれの批評を控えさせるものがありました。夫はまだ読んでませんが、むしろ夫の感想を聞きたいと思います。


洗礼式

2014年02月10日 | 暮らし

昨日は姪の子供の洗礼式だった。義母の生まれの村の教会で、そこの墓地には義母方の一族が代々眠ってる。義父母も私達夫婦もやがてここに眠ることになっている。義父母の隣。生前、何回かお会いした親戚達も眠ってる。洗礼式の後、義父がいろんなこと話してくれた。この教会は18世紀末に建てられ地下が墓地になっていたとか云々。

真ん中の小さな建物は、冬季地面が凍ってるので埋葬できない遺体を春の雪解けまで安置するところ。冷凍人間のまま保管されます。

式を終えてから姪の家でパーテイー。

生も死も季節がめぐるように過ぎてゆく。ロラリーは、代々洗礼式に着るドレスを着た。それは曾おばあちゃんも着たドレス。人生で一回しか着ないので痛むことなく伝えられている。式の間中ピーピー泣いてた。

姪は、産前の体型を取り戻すべく水泳にエアロビとダイエットに励んでる。


テレーズおばあちゃん

2014年02月07日 | 暮らし

テレーズおばあちゃんから85歳でフェースブックデビューと連絡ありました。2年前にご主人に先立たれ一人暮らし。去年の暮れ一緒に食事したとき「私の人生は仕上がった」と話していたのに、今日お会いしたら蘇生したみたいに元気、あさってマイアミの友達の別荘に2週間の予定で遊びに行く。帰ってきたら今度は娘さん夫婦に逢いにバンクーバーに飛ぶ。そして今夏のグループ展にも参加する。でも着々とあの世への旅立ちを準備しており、本やレコードはほぼ全部といっていいほどアフリカに送った。遺言もお墓もお葬式も準備OK。一昔前を偲ばせる家具や調度品に囲まれて暮らしており、お家に入るとタイムマシンで別世界に迷い込んだ気分になる。いつお会いしても、めいっぱいお洒落していてアクセサリーもマニキュアも欠かさない。批評精神も活発で、こちらが老化してるんじゃないかと感じさせられる。85歳のテレーズにはっぱかけられた気分でした。

 


お葬式

2014年02月06日 | 暮らし

義父母と義妹と私との4人で、あまり近くない親戚のお葬式に行ってきました。10年ほどアルツハイマーを患って89歳での旅立ち。変わり者で人嫌いで知られており、参列者も20人ぐらいだろうと話していたのですが50人ほどでした。内輪な、いいお葬式でした。亡きポールおじいちゃんはお孫さん達を大層かわいがったとのことで、お葬式の段取りからミサの式典のパンフレット、流す音楽等、大学生になったお孫さんたちが準備したとのこと。大好きなおじいちゃんのお墓に入れる思い出の品々を、思い出話と共に参列者に紹介し、おじいちゃんの好きな歌を歌いました。娘さんのお婿さんが弔辞をのべました。

 かれはシンプルな人間だった。あまりにもシンプルゆえ、その人生は度し難くうつった。

お葬式後の会食で、彼は解放されたんだよと話してる方がいました。


農地

2014年02月03日 | メデイア

ラジオで農家の人が怒ってた。「農地を中国人に売って何が悪い、俺達が金持ちになるのを邪魔するのか」と。中国人投資家が大金をはたきケベックの農地買収を申し出たがケベック政府がストップをかけている。去年、甥が、アルバイトしていた農場主の3人の息子さんは後を継ぐ気がないよと話してた。そういった後継者のない農地が増えている。

中国をあれこれ批判するが、中国に儲けさせてるのは誰なんだ?身辺をみわたすとメイドインチャイナばかり。ロウソクや紙ナプキンのはてまでメイドインチャイナ。人件費の安い中国へ会社を移転してるから。爪楊枝もメイドインチャイナ、そこまでするのかと驚きます。

現政府は「食料の自立」を掲げ宣伝してます。私も、メイドインカナダ、メイドインケベックを買うように心がけてますが見つからない。先日、パジャマを買いに行って、メイドインカナダはないのですかと店員さんにたづねたらZEROと言われました。

以下、政府の宣伝。ケベック産買いましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=gv2zBexqRIw


la grande bellazza

2014年02月01日 | 映画、ビデオ

La grande bellazza 、なんて訳すんだろう? 偉大なる美?わからない。

2時間ちょっとの映画だったが時間を忘れ惹きこまれ、これほど堪能した映画はひさしぶり。なかには眠ってる人もいましたが。

内容はというと、65歳過ぎたローマトップ社交界に君臨する作家のシニカルな目を通して、彼の人生、彼をとりまく社交界の人々、2013年のローマのハイソな生活がこれといった筋なく展開するだけ。「ドルチェビータ 甘い生活」の現代版のようだと思いながら観ました。醸し出す芳香が似ている。

遺跡と同居してるようなローマのとてつもない歴史、豪奢な生活、デカダンス、快楽、洗練された会話等々、この肉感的な厚みは日本にないもので、失礼ながら日本のお金持ち世界がちゃちなおもちゃに思えました。レベルが桁外れ。こういった文化に臆せず向かい合うには、逆に物質世界から解脱した無一文精神というか、さっぱり、すっきり、晴れやか、聖フランチェスコだな、なんてね。でも逆に、清潔過ぎてつまんないかも。

このウルトラハイソのゴージャスな世界が醸し出す人間世界は、逆に人間存在の露な姿なのかもしれない。だから、そのような別世界とは縁もゆかりもなく、1000円、2000円レベルで、何するんでもお財布の中身と相談してる私ですら何度かジーンとさせられた。生きている事は、ばかばかしくも楽しく滑稽で哀しい。ちなみにマイナス30度とかになるケベックに住んでると、そういった諸々の黄昏色の感情も情緒も凍りつき人間がプラグマチックになります。おまけに単純になります。

どの会話も味があり、ありすぎて忘れました。例えば

「ローマで幸せな人間は観光客だけだよ」

「あなたの職業は?」と聞かれて「金持ち」と答える

104歳だかのマリアテレジアを思わせる修道女は植物の根しか食べない、何故かという質問に「根というのは一番大切だから」

「誰もがいつか死ぬ、でも死ぬまでに生がある」

行ったこともないローマのカメラワークは観光的でなく、見せようと言う意図もなく、なのにハートをゆさぶる映像美だった。

映画でなければ表現しえない、言葉にならない人間の心の古層みたいなものを呼び覚ます映画だった。

好き嫌いがわかれる映画と思うけど、私は10点中9点。作家のお洒落も見ごたえあり(みてくれゼロの夫のファッションが難民に見えた)。ただひとつ気にいらなかったのは日本人観光客の一人がローマに感動のあまり失神して倒れたとこ。それはあんまりだよ。

以下YOU TUBE

http://www.youtube.com/watch?v=PA_eiQRppOY


アップルパイ

2014年02月01日 | 食べる

モントリオール留学中の友達の娘さんが今日から泊りがけで遊びに来る。子供がいない私に母親の気持ちっていうのは永遠にわからないだろうな。友達は娘さんが心配で眠れないときもあるとかといって時々電話をくれる。そういえばもう一人の友達も外国を飛び回る一人娘さんがおり、私に心配という言葉のない国にゆきたいとはなしてたっけ。男女平等とか、女性解放とかいっても、私からみても女の子っていうのは男の子より心配になりますね。私がお昼準備の間、夫が娘さんをバス停まで迎えに行きます。これ男の子だったら一人で来いよとつっけんどんになるかもしれない。でもね、そのたおやかな娘さんも、みてごらん、10年後20年後30年後、、、の私達。花の命は短いの。

で彼女はスイーツが大好きの事で昨夜アップルパイを焼いた。おとといスーパーの特売でりんごが一袋250円だった。りんごジャムつくって、アップルパイつくってもまだ残ってる。人生で今が一番楽しいと話してる娘さんも、10年もしたらスーパーの特売にはせ参じるようになるんだろうか、でも楽しいよ。

ケベックの紅玉一袋250円、通常は500円。

アップルパイ。