ばーばのケベック日記

ケベック在住、ばーばの気まぐれ日記、日常に関する雑文が主です。

冬の旅

2014年02月25日 | 音楽

寒さがぶり返しマイナス20度前後の気温が続く。春が来る前にそろそろ聴こうかと、以前買ってあったイアンボストリッジのシューベルト「冬の旅」を聴く。この名曲を私はハンスホッターで聴きこんでおり、何十年経っても彼の声が耳に残っている。深い大地から湧き出るようなバリトン。そのあと、20世紀最大のベルカントと呼ばれるフィッシャーデイスカウを聴いても、いまいちのれないでいた。正直言って、フィッシャーデイスカウを聴きこむまでに聴いてない。

ふと、冬の旅を歌う恋破れた若者は10代後半、もしくは20代前半ではないのかと頭に浮かんだ。どう考えてもハンスホッターの声は中年の恰幅ある端正な紳士の声。これはむしろ、かつての過ぎ去った恋の痛みを思い出し歌ってるよう。

で、ボストリッジのテノール聴きました。彼は、オックスフォード大学の歴史博士号を持つ学者の卵からテノール歌手に転身した変り種。驚いたのは、彼の歌に、愛する女に捨てられた若者が、怒り、嘆き、未練たらしく、時に立ち直り、絶望し、、、といった身をよじるような魂の声が身体化したような表現ののびがある。そうだ声に嘆きののびがあるんだ。

YOU TUBEをみてさらに驚いた。まさしくボストリッジは冬の旅の化身そのものではないか。苦悩のあまり、顔も身体も歪んでる。若さが、もろに失恋の痛手をうけ肉体までなぶる。ボストリッジの感情移入はすごい、役者ぶりもいける。

冬の旅を聴く楽しみは、年齢によって好きな曲が変わる事。今年は「カラス」がなぜか気に入った。毎朝、すこし寒が緩むと空を旋回するのカラスの鳴き声を耳にするからかもしれない。また、YOU TUBEのできは素晴らしい。

CDボストリッジの冬の旅

おなじみのイントロ

http://www.youtube.com/watch?v=DLsaSm5iG9o

今年お気に入りの「カラス」、ボストリッジ自身がカラスになったみたい、映像が抜群

http://www.youtube.com/watch?v=SR5qFMGtzh0&list=PL2FEA1645BA0A5D3B