
北京五輪の開幕が迫り、日本選手団の結団式が報道されていました。今年のお盆休みや、夏休みはエアコンの聞いた部屋か、アウトドアで軽装でビールと焼肉でのテレビ観戦でしょうか。
ワンセグのテレビ受信機が普及して、アウトドアの緑陰の読書や、テレビを見ながらのうたた寝も魅力がありますね。う~ん、こんなことを言ってると通関士の受験生には叱られそう!
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前回はNACCS変革のポイントをシステム、参加業種など全体的フレームの面から見てみましたが、今回は、より実務の面から見てみましょう。
1 S/I業務の新設
S/I(Shipping Instructions:船積依頼書)は、輸出者が荷物を出荷する際に、海貨業者へ一連の手続きと作業の一切を委託するために作成する書類で、輸出する際の最初に作成されるものです。
港湾関係の輸出手続きは、荷主からのS/Iの受取りから始まり、船会社によるB/L発行で終わります。つまり、輸出についてのポイントは、正しいS/Iデータを入手し、これを通関を経て、船会社に伝達するまでの海貨・倉庫・通関・バンニング・CY・船会社などのシステム的連携が如何にスムースかつ正確に行われるかです。
今回のNACCS更改では、この初めのS/I業務がNACCSで処理できるようになりました。これをうまく使えば、商社などの荷主がペーパーレスで海貨業者にS/Iデータを送信することができるようです。前号で輸出入者の参加が54社と書きましたが、この機能の利用を考えている輸出者もありそうです。
2 ACL業務の改善
コンテナ貨物のBLは、コンテナヤードが輸出貨物を預かる時のドックレシート(D/R)が基本になって作成されます。つまり始めのS/Iに、バンニングなどのデータが付加されていって、B/L作成データの元になるD/R情報が作成されます。ペーパーレスの中では、このM/Rデータがスムースかつ的確に船会社に送られていくかがポイントです。
NACCSは、今もACLという業務コードで、このD/Rデータの船会社への送信機能を提供していますが、次期システムでは充実が図られるようで、センターが各地で説明会を開催するようです。
業務システム化の大きなメリットは、ペーパーレス化による事務効率の向上ですが、今回の更改で大きく改善すればよいですね(^.^)。
3 オンライン・リアルタイム振替処理(ダイレクト方式)
ご承知のように、輸入許可は所定の関税などの納付が前提です(担保を置いての延納はその例外)。NACCSは、輸入許可を素早くするためにこの納税をNACCS専用口座を銀行に設けてその残高の範囲内なら納税されたとみなして、許可するような仕組みになっています。この仕組みは、30年前のNACCS創設期に考案されたものですが、専用口座であることによる不便がありました。
更改によって、一般の銀行口座からオンライン・リアルタイムで納税できるように変わります。
私たちが、所得税の確定申告で、パソコンを使ってMPN(マルチ・ペイメント・ネットワーク)の仕組みを利用して納税するのとよく似た仕組みのようです。この仕組みを使えば、通関業者が一時立替で関税納付しておくという慣習が減少することが期待されています。
4 NACCS利用料金設定の改革
このブログの453で取上げましたが、輸出入申告のような純粋な官手続きについてのNACCS利用料金は、更改後は無料になります。
NACCSは、官民が共同で利用するシステムでその費用を官と民でどう負担していくのかは、色んな意見や議論があった課題です。
NACCSセンターの収支状況を見ると、大体年100億円ぐらいの支出がありますが、それを税関と、いろいろの民間業種が、どう負担するかは、ざっくり見ればシステムの利用度、つまりシステムへの負荷の大小に比例して負担しているとのことです。
多くのNACCSの業務(先ほどのACL業務もその一つですが)ごとに、コンピューターがどれぐらい稼動しているのかを計測して、それと利用回数を組み合わせて、全体の利用量を測定し、各業務ごとに一回あたりの利用料金を設定しているものです。
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今回で、更改NACCSのポイントの紹介は終わります。官民の関係者が知恵を絞ってきた今後8年間を託する次期NACCSの開発は、今年10月の海上貨物、来年度の航空貨物のシステム更改でクライマックスを迎えます。
NACCSは世界に先駆けて1978年に稼動したものですが、世界をリードする使い勝手の良いシステムで引続きあってほしいものです。