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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

507 次期NACCSの状況

2008-09-24 | NACCS

 こんばんは! 次期NACCSの稼動予定を10月12日に控え、関係者の苦労や調整も最終作業の段階と思われますが、現在、貿易・港湾手続き関係業種に所属されている方の多くは、何らかの形でシステムの以降のための準備作業に関係されているのではと思います。
 
 以前にもこのブログで取上げましたが、次の海のNACCSでは、参加業種として、これまでの船会社、船舶代理店、CY、保税、通関、銀行の6業種に加え、海貨、NVOCC、輸出入者の3業種が加わります。
 この結果、輸出入業務、物流に関係する業種が網羅されることになり、参加する業種としては完成するようです。

(注)NVOCCは、貿易用語辞典では「Non Vessel Operating Common Carrier。利用運送事業者。自らは船舶を所有していないが、荷主に対しては運送業者として貨物を引き受け、実際には船会社を利用して海上輸送を行う者。この事業を行うには国土交通大臣の許可が必要となる。」とされています。

 そこで、各業種の参加状況ですが、社数を、2008年8月末の数→2008年9月2日現在の次期NACCS参加予定数の形式で以下に紹介します。(なお、複数の業種をかねる場合は、それぞれの業種に計上しているとのことですが、約三割強の増加ですね。)

・ 船会社・・・39→117
・ 船舶代理店・・・284→650
・ CY・・・405→409
・ 保税・・・1019→1240
・ 通関・・・887→895
・ 銀行・・・50→50
・ 海貨・・・0→150
・ NVOCC・・・0→91
・ 輸出入者・・・0→55
・ 単純合計・・・2684→3657(136.3%)
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 銀行のシステム移行では、いろいろのトラブルの発生が記憶にあるところですが、無事に進んで欲しいものです。






471 大変革のNACCS!(その2)

2008-07-29 | NACCS
 北京五輪の開幕が迫り、日本選手団の結団式が報道されていました。今年のお盆休みや、夏休みはエアコンの聞いた部屋か、アウトドアで軽装でビールと焼肉でのテレビ観戦でしょうか。

 ワンセグのテレビ受信機が普及して、アウトドアの緑陰の読書や、テレビを見ながらのうたた寝も魅力がありますね。う~ん、こんなことを言ってると通関士の受験生には叱られそう!

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前回はNACCS変革のポイントをシステム、参加業種など全体的フレームの面から見てみましたが、今回は、より実務の面から見てみましょう。

1 S/I業務の新設

S/I(Shipping Instructions:船積依頼書)は、輸出者が荷物を出荷する際に、海貨業者へ一連の手続きと作業の一切を委託するために作成する書類で、輸出する際の最初に作成されるものです。

港湾関係の輸出手続きは、荷主からのS/Iの受取りから始まり、船会社によるB/L発行で終わります。つまり、輸出についてのポイントは、正しいS/Iデータを入手し、これを通関を経て、船会社に伝達するまでの海貨・倉庫・通関・バンニング・CY・船会社などのシステム的連携が如何にスムースかつ正確に行われるかです。

今回のNACCS更改では、この初めのS/I業務がNACCSで処理できるようになりました。これをうまく使えば、商社などの荷主がペーパーレスで海貨業者にS/Iデータを送信することができるようです。前号で輸出入者の参加が54社と書きましたが、この機能の利用を考えている輸出者もありそうです。

2 ACL業務の改善

コンテナ貨物のBLは、コンテナヤードが輸出貨物を預かる時のドックレシート(D/R)が基本になって作成されます。つまり始めのS/Iに、バンニングなどのデータが付加されていって、B/L作成データの元になるD/R情報が作成されます。ペーパーレスの中では、このM/Rデータがスムースかつ的確に船会社に送られていくかがポイントです。

 NACCSは、今もACLという業務コードで、このD/Rデータの船会社への送信機能を提供していますが、次期システムでは充実が図られるようで、センターが各地で説明会を開催するようです。
 
業務システム化の大きなメリットは、ペーパーレス化による事務効率の向上ですが、今回の更改で大きく改善すればよいですね(^.^)。

3 オンライン・リアルタイム振替処理(ダイレクト方式)

 ご承知のように、輸入許可は所定の関税などの納付が前提です(担保を置いての延納はその例外)。NACCSは、輸入許可を素早くするためにこの納税をNACCS専用口座を銀行に設けてその残高の範囲内なら納税されたとみなして、許可するような仕組みになっています。この仕組みは、30年前のNACCS創設期に考案されたものですが、専用口座であることによる不便がありました。

 更改によって、一般の銀行口座からオンライン・リアルタイムで納税できるように変わります。

 私たちが、所得税の確定申告で、パソコンを使ってMPN(マルチ・ペイメント・ネットワーク)の仕組みを利用して納税するのとよく似た仕組みのようです。この仕組みを使えば、通関業者が一時立替で関税納付しておくという慣習が減少することが期待されています。

4 NACCS利用料金設定の改革

 このブログの453で取上げましたが、輸出入申告のような純粋な官手続きについてのNACCS利用料金は、更改後は無料になります。

 NACCSは、官民が共同で利用するシステムでその費用を官と民でどう負担していくのかは、色んな意見や議論があった課題です。

 NACCSセンターの収支状況を見ると、大体年100億円ぐらいの支出がありますが、それを税関と、いろいろの民間業種が、どう負担するかは、ざっくり見ればシステムの利用度、つまりシステムへの負荷の大小に比例して負担しているとのことです。

 多くのNACCSの業務(先ほどのACL業務もその一つですが)ごとに、コンピューターがどれぐらい稼動しているのかを計測して、それと利用回数を組み合わせて、全体の利用量を測定し、各業務ごとに一回あたりの利用料金を設定しているものです。

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 今回で、更改NACCSのポイントの紹介は終わります。官民の関係者が知恵を絞ってきた今後8年間を託する次期NACCSの開発は、今年10月の海上貨物、来年度の航空貨物のシステム更改でクライマックスを迎えます。
NACCSは世界に先駆けて1978年に稼動したものですが、世界をリードする使い勝手の良いシステムで引続きあってほしいものです。



470 大変革のNACCS!(その1)

2008-07-28 | NACCS
 金沢の浅野川の氾濫で避難されたとかのニュースが流れていますが、猛暑日本列島では各地でスポット的な注意報や警報が出ています。
青い惑星地球を守る活動を真剣に考える必要がありそうですね。

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通関士の試験内容とは直接リンクしませんが、SeaとAirのNACCSのうち、Sea―NACCSが10月12日を期して全面更改されますが、現在フェーズ4に分けて行われる綜合試験のフェーズ2が行われています。今回の更改は、30年にわたるNACCSの歴史上でも、特筆される大きな変更をシステムだけじゃなく、その他の面でも行われます。

このブログでも、取り上げたことがありますが、二回にわたりその変革のポイントを取上げましょう。

1 オープンシステム化が進捗

 NACCSは、これまで少数の中央処理装置(センターホスト)を中心に、周辺のサーバー等とで構 成するシステムでした。今回の更改からオープンシステム化が大きく進展しています。

 オープンシステムの信頼度が上がっているとはいえ、これまでのセンターホスト型の信頼度を維持するため、システム基本設計段階から、開発担当者は胃の痛む思いをしてきていると想像されますが、技術革新やハードの価格低下などにより、旧システムに比し約3割のコストダウンを達成したと言われています。

2 SeaーNACCS利用業種の拡大

 Sea-NACCSの利用業種として新しく「海貨」、「NVOCC」(注)、「輸出入者」の3業種が追加されました。

これは、それぞれ業種の貿易手続きにおける役割から、参加を希望してそれぞれに応じたNACCS業務を新しく開発したものですが、これで海上貨物の貿易手続き関係者は出揃ったと考えられます。

なお、従来は「船会社」。「船舶代理店」、「CY」、「保税」、「通関」、「銀行」の6業種でした。

(注)Non Vessel Operating Common Carrier。利用運送事業者。自らは船舶を所有していないが、荷主に対しては運送業者として貨物を引き受け、実際には船会社を利用して海上輸送を行う者。この事業を行うには国土交通大臣の許可が必要となる。

3 参加者数の著増

 現在、NACCSセンターは、10月以降の新しいSea-NACCSの参加受付をしていますが、7月15日現在の参加者数は、2117社(対現行システム比132%)、5069事業所(同123%)と、著増する見込みです。輸出入者も54者が参加予定です。

4 運営主体の株式会社化

継続読者の皆さんは既にご存知のように、システムを運営する主体はこれまで(独)通関情報処理センターでしたが、10月からは新設の「輸出入・港湾関連情報処理センター(株)」となります。

 お気づきのように、組織の名称から「通関」と言う文字が消えて「輸出入・港湾」という一層広い概念の言葉に変わるように、税関手続きだけではなく、JETRASやFAINSのような他の貿易手続きや、港湾EDIと言われていた港湾手続きのシステムも一括して運用する主体になります。

 これまで親しんできたNACCSと言うシステム略称が変わるのか気になるところですが、この点は正式の発表を待ちましょう。
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453 次期NACCSの利用料金案について

2008-07-02 | NACCS
 今晩は! 452で、現在NACCSセンターが今年10月からの次期海上システムの利用料金の案について意見募集をしています。

 今回は、ざっと、新しい料金案を現在の料金体系と比べてどう変わるかを見てみましょう。

1 輸出申告や輸入申告のような税関への手続きについては、料金がかからなくなります。

  所得税の確定申告をネットでした人はご存知ですが、認証のための機器購入などの費用は私たち納税者が負担しますが、申告自体は無料で行うことが出来ます。

 NACCSは、これまで輸入申告のデータ送信も一回当たり40円のように従量料金が必要でしたが、このような税関手続き自体のデーター送信は無料になります。

 なお、NACCSは、申告書作成を支援する機能や業務を豊富に持っており、例えば、HS番号を入力すれば自動的に品名や有効な関税率を表示したり、外貨のインボイス金額を入力したらそのときの外貨換算率で円にしてくれたりの便利な機能を持っていて、この機能を使って通関業者は申告書に相当するデータ登録(申告事項登録)をしていますが、このような業務についてはこれまでと同じように有料の従量料金が設定されています。

2 料金体系を、利用者が選べます。

 これまで、専用回線で接続するユーザーの料金体系は、(基本料金+従量料金)の一つだけでしたが、
① 基本料金+従量料金A  ②従量料金Bのみ の2形態から選択できるようになります。
従量料金はAが、Bより安くなっていますから、自社の利用度数の多少によって有利なほうを選ぶことが出来ます。
 いわば、民間のサービスで取られているような料金制の導入でしょうね。

3 専用回線でつないで利用する方法とインターネットでつないで利用する方法(Net-NACCS)について
の共通料金体系が採用されます。

従来は、Net-NACCSの場合は従量料金だけで基本料金はありませんでしたが、共通の料金体系になります。
公平性ということからの措置でしょうか?

4 従量料金の刻みが細かくなります。

  NACCS利用のメニューである業務毎の従量料金の刻みは、これまで5円刻みで、8円とかの端数はありませんでした。

 案では、上記2の従量料金だけの体系を選んだときの料金Bは概ね5円刻みですが、基本料金とセットの料金Aでは、B料金の8がけぐらいになっていますから、8円や4円の端数がでてきます。

5 これまでになかった業務の料金が新設されます。
 次のNACCSでは、利用者の求めによって新しいシステム処理するための業務がいくつも新設されています。
 船積指図書(S/I)情報登録、バンニング情報予定登録、別送品輸出申告事項登録、インボイス・パッキングリスト情報登録などですが、このような新設の業務については当然ながら新しい従量料金が設定されています。

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 NACCSの利用料金は、簡単に言うと電子計算機システムのハード・ソフトの費用、運転やデータのメンテナンスなどの運営費用の総額を、国(税関など)と民間の利用者全員がその利用内容や度合いに応じて公平、公正に割り勘するためのものといえます。

 NACCSは唯一の通関システムとして高い信頼性が求められていますから、安かろう悪かろうのハードやソフトでは困るといった中で、大幅な黒字になる必要はないけれど、赤字でもやっていけなくなるし、サービスが維持できないのは困る などといった制約の中で、恐らく関係者の苦心の案と想像できます。




439 税関手続きにおけるITのこぼれ話(トラフィック数)

2008-06-12 | NACCS
 昨日に続いて、NACCSの話です。
 NACCS特例法の改正で、今秋からNACCSセンターが株式会社化し、輸出入・港湾手続き関係システムの唯一の運用者としての活動を始めます。

  一般に、今でも輸出入通関の90数%はナックスで手続きされているといわれていますが、システムとして、どの程度のトラフィック数があるんでしょうか。

またNACCSは、輸出通関、輸入通関以外に、入港、貨物管理、保税などの通関以外の業務を扱っています(便宜、その他と呼びましょう。)し、食品衛生や検疫のような関税法以外の他法令システムにもリンクして処理していますので、それぞれ、どの程度のトラフィック割合でしょうか?

 NACCSセンターのホームページには、定期的にこのようなデータがアップされますので、最新号を見てみましょう。

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 平成19年度(2007年度)で見ると、航空システムは2億9272件、同じく海上システムは1億9682万件、合計4億8954万件のトラフィック数でした。365日で割ると毎日134万件となります。

 この数字をどう評価するかは難しいですが、全国のJRの発券機や、銀行などの金融機関のATMのトラフィックはこれの数倍じゃないかなと思います。

ただし、NACCSは一つの輸入申告の処理にあたって、タリフ(関税率表、税率)、HS番号、輸入者の資質などものすごく多くのファイルと連動しながら処理するシステムで、その複雑さは指定券や乗車券発券システムを大きく上回ると聞いたことがあります。

 詳細は分かりませんが、毎日ものすごく使われていて、システムダウンなどの障害が起これば影響がとても大きいということはいえそうです。そういう点では、NACCSの稼働率は驚異的に高い率のようで、関係者の努力は凄いんでしょうね。

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先ほどの、年度合計のトラフィックについて、業務別の数字を次に紹介しておきます。

海上システム
 総計 19682万件
    うち、輸出    5327万件
       輸入     6197万件
       その他    5505万件
       他システム  2651万件

航空システム
  総計 29272万件
     うち、輸出    13292万件
       輸入     13521万件
       その他    1909万件
       他システム  548万件