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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

571 NACCSの国際的システム連携の課題

2008-12-26 | NACCS
日本の貿易関係システムのシングルウインドウは、輸出入・港湾関連情報処理センター(株)(9月までは(独)通関情報処理センターで、以下はNACCSセンターといいます。)が、関係府省共通ポータルやシステムを運用しています。

いわば、貿易関係手続きの国内システムは、NACCSに統合され、これから始まる外国の類似システムとの連携(「国際的なシステム連携」)はNACCSが基本になって進められていきます。

この連携については、今年8月改訂の貿易手続改革プログラムでは、

「2005年12月のアセアン首脳会議における合意文書において、アセアン・シングルウインドウが完成されているとされている2012年にも、日本のシングルウインドウとアセアン・シングルウインドウが相互に接続された状態となるよう、その実現に取組むとともに、米国、EU、韓国、中国等、アセアン以外の国々との連携にも取組む・・・」としています。

この政府方針を受け、財務省が主催して関係の官民による「次世代シングルウインドウ官民懇話会」が設けられ、その下部に「国際的なシステム連携」ワーキンググループが設けられていますが、その第一回会合が12月19日に行なわれました。

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 今回は初めての会合ですから、自由な意見交換だったようですが、システム連携のざっくりした課題は

① 何を(どのデータ(文書)を) ②誰と(どの国と) ③どのように(どのような接続法をとるか) 
に集約されます。

  ①の対象となる文書は、今のところ・インボイス、パッキングリスト ・原産地証明書情報 ・運送状情報(Way Bill、AWB) ・マニフェスト ・輸出申告許可情報 ・その他 が想定できそうです。

 このような情報が、誰と誰の間で送受信されるかは、BtoB間、GtoG間が考えられます。BtoG、GtoBもあるのかも知れません。

 頭の体操ですが、日本の輸出許可情報が、BtoBでタイの通関業者に送られタイの輸入申告データに変換できればタイでの作業軽減になるでしょうし、GtoGでタイ税関に送られてタイでの低価申告の調査に使用したりなども考えられます。

 もし、このGtoGの情報送信の実現性が高まれば、そのアナウンスだけでも輸入国での低価申告がだいぶ減るでしょうね(笑)。

 実現までには、費用負担のあり方も含め解決すべき問題は多いでしょうが、経済活動のグロバール化がますます進む中で、着実に進捗させたいものです。

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 明るい話題が少ない中で、少しは夢が広がるような事柄と思って今号のテーマを選んでみました。





554 Sea-NACCSの現況レポート

2008-12-02 | NACCS
こんばんは~。
かずさんの住んでいる地方は、小春日和といえる気温でしたが、皆さんのところでは如何だったでしょう?

10月12日に、海上貨物の通関業務を扱っているSea-NACCSが全面更改して2ヶ月近くが過ぎましたが、このたび、10月12日の稼動から10月末までのデータを含む資料が公開されましたので、若干の分析をして見ます。

1 稼働率
 更改Sea―NACCSは設計上の稼働率を99.99%としています。

NACCSのような、大システムのバージョンアップは往々にして色んなトラブルが生じますが、どうやらうまく乗り切ったようで、更改直後の10・12~10・31の稼働率は100%の実績となりました。局地的には、いろんな思いがけない事象が生じたり、不具合が出たりで、設定変更などをしながら対処したのではと想像できますが、システムへのゲートウエイがそれぞれうまく動いて処理できたことは、センター、システムインテグレーター、官民ユーザー、その他の関係者の総合力の賜物と思われます。

まずは良い結果を得てよかったですね。

2 海上システムへの参加者
 10月31日現在の参加者は、2158社、5179事業所となりました(業種別の重複を除く、純粋な数)。
 これは、前年度の20年3月末と比べて、会社数で614社増(+39.8%)、事業所で1190所増(+29.8%)です。

このように、システムの更改をはさんで利用者が急増したのは、NVOCC、海貨業、輸出入者の三つの業種について利用業務が強化され、参加者となったからです。

この結果、システムの契約者数で見ると、10月末現在で ①船会社110社 ② 船舶代理店649社 ③コンテナーヤード411社 ⑤保税業者 1261社 ⑥NVOCC 92社 ⑦通関業者 893社 ⑧海貨業者156社 ⑨輸出入者60社 ⑩銀行 50社 の合計3689社 (上記の2158社より多いのは、同じ会社が保税と通関のように複数の業務で契約しているためです。)

これで、海上輸出入貨物の物流関係企業全体のうち、どの程度の割合がNACCSに参加しているかは不明ですが、NACCSは全国に行き渡っていることや、今回の更改で港湾における書類の受け渡し、通関その他の官民の手続き、貨物受け渡しの民民手続きのほぼ全体をNACCSがカバーしましたので、システムの普及としてはほぼ完成でしょう。

3 システムへのアクセスの形態
 ユーザーからNACCSへのアクセスの方法は ① 専用線によりアクセスする一般NACCS ②インターネットを利用するnetNACCS の二つがあります。

10月末の実態を見ると、2158社の契約者のうち、netNACCSだけを利用しているのが1273社(シェア59.0%)、一般NACCSとnetNACCSの併用532社(24.7%)、一般NACCSのみ353社(16.3%)となっています。

やはり他の業種より利用頻度の少ない、輸出入者や、船会社、代理店などでnetNACCSの利用度が高いようです。

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航空貨物のAir-NACCSはシステム更改をしていませんから毎月のデータに連続性があります。

資料を見ていて気が付いたのですが、航空システムのトラフィック件数(システムとの交信件数)を見ると、輸出業務の件数は、今年の6月に前年比でマイナスとなり、7月は101.2%と盛り返しましたが、8月からはずっと前年比割れです。

この数字はどうやら輸出の先行指数に使えるかもです。





539 NACCSの輸出入者の利用

2008-11-11 | NACCS
 こんばんは! 
今回は、先月12日にバージョンアップして稼動を開始したSea-NACCSをテーマに、荷主から見た活用について概観します。





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これまでも、少数の荷主は、自分の貨物の輸出入申告を通関業者に頼まずに自分で行なう(いわゆる、自社通関)ためや、関税延納額のデーター収集のため利用者になったりすることが行われていました。

今回のSea-NACCS更改では、荷主にも魅力的な機能が加わりましたので、NACCSセンターの資料では2008年9月2日現在の利用申し込みでは輸出入者として55社、101事業所が参加すると発表されています。

◎ このように、輸出入者が多数参加することになった大きなインセンテイブとは何でしょう?
 
もともとNACCSは、税関手続きシステムを中核に、関係する民間業務を処理する官民統合システムとして発足しましたが、これまでのSea-NACCSは関係の業種が多く、そのシステム化の進捗度合いも様々でしたので、カバーするメンバーが不十分であったり、メンバーであっても利用度合いが違ったりのため、システム化のメリットが十分発揮できませんでした。

 今回の更改では、NACCSの機能として「貨物情報を管理するプラットホーム・システムとしての機能」が格段に強化されました。
 
輸出の物流を想定すると、書類やデータの流れは荷主からは、S/Iによって関係業者にどんな荷物を出荷するという情報やインボイスや、P/Lの内容が通関業者に伝達されます。

また、港湾の関係者間では、バンニング、保税地域への搬入、輸出通関などにあわせて貨物の情報が伝達されていき、最終的には船会社が船荷証券(B/L)を発給します。

 このような、関係者間を流れていく貨物のデーターの内容は、それぞれ異なりますが、中核となるものは変わりません。このため、関係者がそれぞれ利用する貨物データのプラットフォームの役割を、今度のNACCSが担うよう改善が施されています。そしてこの機能を使えば、関係者間のデータの流しを完全ペーパーレスで行うことができ、また、その流し方としてはEDIが効率的です。

 そこで、賢明な読者は気が付かれたと思います。

現在、大きな商社は、あちらこちらの港で、多くの業者を利用して輸出しており、そのためのS/I情報の伝達は紙でやっているのが実情ですが、このNACCSの貨物情報のプラットホーム機能を利用することにより、荷主からNACCSにS/I情報を送り、港湾の関係者はNACCSからこのSI情報を受取ることを考えているわけです。

これで、荷主はペーパーレスが推進され、いろんな港湾関係業者と1対1でEDIをするためのシステム環境を作らなくても良いことになります。いわば、荷主と港湾関係者を結ぶVANのような役割をNACCSが果たします。

かずさんは、このように荷主から船会社までのEDIによるデータの流れ(つまりペーパーレス)が、今回のSea-NACCSで急速に進展し港湾業務の能率が大きく改善することを期待しています。

余談ですが、輸出の最終データはB/Lに凝縮されます。これまでのSea-NACCSでは、関係者がものすごい努力や、働きかけをしていましたが、主要船会社のB/作成実態は、件数で5~60%のものがEDIでNACCSなどから船会社にデータ伝送されていたようですが、このEDIによるB/L作成率は、もっと高くなって船会社の業務効率も良くなります。

なお、このように多岐の関係者がデータを間違いなく流していくためには、貨物毎に混同しないようなキーを付ける必要があります。

Sea-NACCSでは、上流では「NACCS-S/I番号」が利用され、中流からは「輸出管理番号」というものが利用されます。

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このほかに、荷主がNACCS利用者になれば、貨物管理番号や、輸入の場合はB・L番号などから、自分の荷物がNACCSシステム上でどういう状態か(通関が済んだかどうかなど)の照会や、輸出入許可を受けた申告内容のデータ受信なども行うことができます。

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オバマ米次期大統領の政権移行チームが、11月6日に情報共有サイト「Change.gov 」を開設したので、好奇心から早速覗いていました。http://change.gov/

来年1月20日のオバマ政権発足に向けた移行過程を、国民に対して透明に開示し、共有することが目的とのことです。





520 税関発給コードの支給

2008-10-14 | NACCS
 かずさんの住んでいる地域は、快晴の洗濯日和、行楽日和の三連休でした。

 519で、お知らせした12日午前8時の次期Sea-NACCSへの切り替えは詳細な情報は未だありませんが、システムの稼動は順調ですので、無事に移行してこれからは関係者の習熟やシステム処理の定着などが課題になっていくんだろうと想像できます。

 さて、12日から、地味ですがシステム処理に当たっての重要な事項が変更されました。

 通関業界では常識ですが、荷主の方もJASTPROコードという言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?

 JASTPROは、(財)日本貿易関係手続簡易化協会の略ですが、JASTPROコードはここが発給している、NACCSで使っている5桁の輸出入者符号のことです。

 荷主は、JASTPROに申請して有料で5桁の番号を取得すれば、NACCSで登録されて延納などのシステム処理ができるようになります。

 これに対し、今回の「税関発給コード」は、税関が無償で発給するもので12桁のものです。

 5桁の数字だけですと、10万のデータが最大になります。
そこで、かねて、荷主などからは一つの法人に対し、一つの番号だけですと社内の細分が反映できず、例えば、A(株)の食品本部食肉課のような部課が識別できるような仕組みにしてもらいたいので、5桁から7桁にして欲しいなどの意見がありました。

 また、NACCSによる輸出入申告では、輸出の仕向人や輸入の仕出人の入力を必須にしています。今回の税関発給コードはこのような海外の社についての番号発給も行なうことになっています。(ただし、このコードは日本独自のもので、HSのような世界共通の法人コードの管理制度は出来上がっていません。)

 官製のコードというと、なんとなく行政による管理強化のようなイメージがあるかもしれませんが、昨今の厚生年金についての色んな混乱の遠因の一つは、国民一人ひとりを識別できる国民基礎年金番号の普及が遅かったことにもあるようです。

 IT技術を活用して、生活を豊かに、効率的に物事を処理していくためにはコード化は避けて通れない課題ですので、新しいコードをどう事務処理の合理化に生かすのかを考えることが必要です。詳しい、インフォメーションは次のページで・・。

http://www.customs.go.jp/news/movement/201010.pdf

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そういうと、貿易手続の共通ポータルサイトができています。
 http://www.fusho-portal.com/

NACCSやその他のシステムが、本当に使いやすいシングルウインドウに進化していくためには、形が一つになっていくことも一歩でしょうね。貿易関係者が最も頼りにするようなサイトに育って欲しいものです。

 それから、関係者の間では、AEOの後発である認定通関業者の認定が進んでいるのか話題になっていましたが、10月10日現在の認定通関業者として、次の三者が公表されています。

 トレーデイア(株)・・神戸、 (株)日陸 ・・・東京、 丸全昭和運輸(株)・・・横浜
 
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三連休の最終日に、町の電気店街にぶらぶら行きましたら、2GBのマイクロSDメモリが500円でした。う~ん安くなっていますね(驚き!!) 最近買い換えた携帯電話のワンセグ録画用にゲットですが、目下のところちゃんと動いています!






519 Sea-NACCSのバージョン・アップ直前

2008-10-10 | NACCS
こんばんは~。

 
三連休のはざまの10月12日(日)午前八時に、現在のSea-NACCSが、全面更改されて次世代が稼動します。

 Sea-NACCSは、1991年(平成3年)に京浜港で通関業務だけを対象に稼動を開始し、阪神港、名古屋などに拡大しながら、1999年に全国に拡大するとともに、対象業務を現在と同様に、入港から引取りまでの一連の業務をトータルでカバーするようになり、12日からのシステムが3代目になります。

 今回のバージョンアップでは、入港~引き取りまでの処理の対象範囲はほぼ同一ですが、主に民~民間のB/L作成のための書類の授受等のペーパーレス化を推進したり、データの有効利用を図るため、海貨、混載、輸出入者の各業種が新たに利用者として参加し、また、外為、食品衛生、入港、検疫、上陸許可などの税関以外の機関が運用しているシステムのポータルサイトとしてNACCSが機能するようになります。

 専門的なことですが、システム的には、従来のNACCSは、中央処理装置を基本にした、いわゆるレガシーシステムと言われる機器構成の面が大きかったようですが、これを、オープンシステムといわれるものにチェンジしています。
かずさんにも詳しいことは分かりませんが、99.99%とか99.999%とかの、9が四っつも五つも並ぶ世界での信頼性という点では、微妙に異なってくるかもしれませんが。実用の面では問題はないでしょう。

専門家に聞くと、システムへのアクセス数の多寡という点では、JRの発券システムや、銀行のシステムは飛びぬけて多いですが、幾つもの業種が連続してデータをバケツリレーのように流して行って、その過程で幾つものファイルを複雑に使ってシステム処理していくと点ではNACCSは相当高度なものと聞いたことがあります。

 システムがうまく稼動せず混乱するというのは、システムを変えたり、プログラムを新しくリリースしたりした時に生じるケースが多いようで、UFJ銀行はまだ記憶にありますし、確か、オーストラリア税関の海のシステム更改でも大混乱がありました。

今度のような大規模なシステム更改について、NACCSセンターとNTTデータは、これまでうまくやってきた実績がありますが、大過なく無事に更改作業が終わって欲しいものです。

 関係者のご苦労が察せられます。

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 明日からの三連休、多くの読者は試験が済んでほっとされたり、秋の行楽シーズンなどで思い思いの遠出か、家族サービスか、友人とスポーツや行楽でしょうか?

それぞれの楽しみを・・・、でもNACCS関係者はご苦労様、頑張って~~とエールを送ります。