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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

419 原産地ルールあれこれ(その2)

2008-05-15 | 輸入
前号(418)では、「原産地規則が適用される法律、政策目的はいくつもあり、それぞれ毎に異なる原産地規則がある。」ことを学びました。

 では、どのような規則があるのでしょう?
 原産地規則には、大きく分けて①特恵原産地規則と ②非特恵原産地規則があります。

①は、発展途上国向けの一般特恵(GSP)関税を適用する場合の規則と、近年増えてきた経済援助協定(EPA)による特恵関税適用の場合の規則です。

②の非特恵規則は、特恵関税以外の分野で、

 a WTOの通商交渉による協定税率の適用 
 b アンチダンピング税や相殺関税の適用 
 c 輸入急増等によるセーフガード措置の発動 
 d 輸入禁止措置の適用(例えば、関税法では原産地虚偽表示貨物は輸入が許可されませんし、
   外為法では北朝鮮原産地貨物は輸入禁止です。) 
 e 数量制限等の適用
 f 消費者保護に関係(例えば、不当景品類及び不当表示防止法 によって、公正取引委員会が偽
った原産地表示を禁止。)
 g 輸出規制の適用(例えば、輸出入取引法は、虚偽の原産地表示をした貨物の輸出取引を禁
止。)
 h 政府調達協定の、内外無差別原則ルールでは、外国産品、国内産品という区分。
 i 輸入貿易統計は、原則として原産国を貿易相手国として作成。

のようなものが存在します。

このように、政策目的でいろんな原産地規則があり、関税関連の原産地規則を取り出しても、関税暫定措置法施行令、日シンガポール経済連携協定等のEPA協定、関税法施行令、不当廉売の政令、関税法基本通達(これにも、WTO協定税率適用のためのもの、輸入を許可しない原産地表示に関するもの、輸入貿易統計についてのものがあります。)

したがって、原産国や、原産地と一口で言っても、どの分野についての原産地規則を適用して検討すべきかを明らかにする必要があります。

通関士試験の勉強では、このようにいろんな場面の規則があることを心得ておく必要があります。

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次号からは、一般的に、原産地規則がどういう構成になっているかを見てみましょう。

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時々、このブログの読者から、勉強中の関税法等の規定の適用などについての質問や、相談を受けることがあります。

このブログの冒頭にも、「何でも聞いてください」としていますように、(どれぐらい適切にお答えできるか分かりませんし、時間が無くって即答出来ないか知れませんが(~_~;))、気軽に尋ねてくださっていいですよ。

1年の中でも、アウトドアが心地よい季節、楽しんでいますか?かずさんの通勤途上では、つつじやアメリカハナミズキが終わり、アジサイまでは少し間がありそうです。
本日は、3月決算の発表集中日でした、決算時期は経営層の人事の時期でもありますね。




411 脱線して、消費税の話3・・非課税取引

2008-04-30 | 輸入
非課税取引というのは、国内取引なら課税の4要件を満たしているのですが、政策的に課税しませんというものです。
 
この非課税取引の範囲は、消費税法第6条に規定されていて、国内取引の場合と、輸入貨物の場合では違います。

国内取引では13項目、輸入貨物については7項目が定められていますが、輸入貨物についての非課税品は国内取引でも非課税です。つまり、国内取引のほうが非課税品が多いことになりますが、国内取引では非課税の土地の譲渡や、預貯金の利子、保健診療、国や自治体の役務提供の手数料なんてのは輸入貨物ではないですから、数が違うのは頷けます。

念のため、輸入貨物の非課税品を並べておきますね。(消費税法別表2)

1 有価証券等 2 郵便切手類 3 印紙 4 証紙 5 物品切手等 6 身体障害者用物品 7教育用図書
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 先ごろ、報道で日本経団連が、基礎年金の財源のために消費税10%への引き上げの提言を検討と有りました。
 
 欧米では、消費税の二桁、それも10数%や20%はざらに見られます。ただ、これぐらいの率になってくると、基礎的食料品については低い税率にするなどの意見が出てきます。しかしモノによって税率が違うとなると、軽減税率適用と、一般税率適用との区別をどこで線引くのか悩ましい問題が出てきます。

  礎的食料といっても、お米やパンやうどんはそうかなと思いますが、ケーキはどうでしょう?ドーナツは?ハンバーガーは?なんていうような疑問が続出です。
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 受け売りですが、イギリスの付加価値税の標準税率は17.5%らしいですが、食料品などはゼロ税率ということです。ただし、全ての食料品ではなく標準税率が適用される例外があって、例外には菓子類、冷凍菓子類(アイスクリームなど)、アルコール飲料などがあるようです。

 そこでチョコレートは、菓子類として17.5%の付加価値税が課されますが、ビスケットやケーキはゼロ税率らしいです。とするとチョコレートでコーテイングしたビスケットは17.5%でしょうか?
年金・福祉関係の財源確保のためには消費税アップは不可避のようですが、いずれ、こんな議論が出てくるんでしょうか?
 
 GW真っ只中、元気で~~~~。近頃の街中では、元気に泳ぐ鯉のぼりを見ることは減ってしまいました。



410 脱線して、消費税の話2・・課税対象外=不課税取引

2008-04-28 | 輸入
 課税対象外取引、あるいは課税対象取引というのは、「国内取引」における概念で輸入取引にはありません。

この課税対象外取引とはどんなものかという定義はなくって、逆に「消費税が適用される課税対象取引」として次の4つの条件全てを満たす取引と法律で規定されていますので、これを満たさない取引が課税対象外となります。(消費税法第4条)

① 国内で行う取引
 ちょっと悩むのは、国際電話や、国際運輸です。これらの考え方は「発信地・受信地のどちらかが国内ならば国内でのサービスとして扱われます。ただし、国際電話は、国内取引として課税の対象ですが、後で説明しますように免税になります。

② 事業者が事業として行う取引
 法人は全ての取引が該当します。
個人事業者は「事業者の立場」で行った取引が該当しますが、趣味での売買などを除き全て「事業者として」に該当すると扱われます。

③ 対価を得て行う取引
友人からプレゼントを贈られた場合は、対価を得ての取引ではないため、国内でなら課税対象外です。もちろん、友人がプレゼントをお店で買う時は消費税が必要です。
輸入なら、非課税のものでない限り消費税が課税されます。
   
  このような無償で資産を譲ったり、もらったりしたとき以外にも、①保険金の支払い ②祝い金をあげたり貰ったりしたとき ③部屋を借りる時の保証金で退去時に返ってくる保証金の支払い ④補助金を受けた時などが、対価性が無いとされます。

④ 資産の譲渡・貸付・役務の提供
普通に商品を売ったときなどでス、「役務の提供」とは平たく言うと目に見えないサービスを提供したときなどです。
このように、①~④の要件を全て満たした時に、国内取引の課税対象になります。
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 え~(^.^)、かずさんは明日から8連休です。後半には国内ですがちょっとした旅行を予定しています。ブログは、出来れば適宜に更新していく積りです。 ずっと好天だったらいいんですが。
 
 読者の中には海外でリッチにという人もいらっしゃるのかな。受験勉強の人は自分の勉強スタイルがあるでしょうから、上手く能率を挙げましょう。






409 脱線して、消費税の話1・・消費税の構造

2008-04-25 | 輸入
 関税が課されるものは輸入総額の2割ぐらいですが、原則全ての輸入に消費税がかかりますので、輸入実務にとって、消費税の課税構造などを何回かに分けておさらいしておきましょう。
 
○ 消費税の構造
  消費税法では、取引を分類して考えます。
同法では、取引は大きく Ⅰ国内取引 と Ⅱ輸入取引に分類されます。

 Ⅰの国内取引は文字通り「国内で行う取引」です。 Ⅱの輸入取引は、「保税地域から外国の貨物を引き取る取引」です。

Ⅰの国内取引は、さらに1課税対象のもの Ⅱ課税対象外=不課税取引(実務ではよく対象外)といいます。

更にさらに、1の課税の対象になるものは (1)課税取引 (2)非課税取引 に分類されます。

更に更にさらに(1)の課税取引は、①4%課税(これに25%の地方消費税がプラスされますから5%になります。) ②0%課税=免税取引に分類されます。
 
そして、Ⅱの輸入取引は、 1 課税貨物に関する取引と 2 非課税貨物に関する取引に分類されます。輸入取引はこれだけです。
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私たちが、100円のお菓子を買っても5%(厳密には、4%の国税である消費税と、その25%、つまり1%の地方消費税の、合計5%の消費税&地方消費税)の消費税が徴収されます。

 ところが、輸入品なら、ごく一部の例外(米等)を除き、1万円まで関税も消費税も免税されます。1万円なら500円の消費税が免税ですので(関税定率法第14条第18号)、これはすごい大判振る舞いの免税ですね。
 
なお、関税法や関税定率法は、「関税」についての法律で、輸入品についての消費税、たばこ税、揮発油税などの内国消費税の徴収については「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律」で決められています。

 関税が免税になる場合は、原則としてこれらの内国消費税も免税になります。
 先ほどの、1万円以下の輸入物品についての消費税の免税は、先ほどの長い名前の法律の、第13条第一項第1号に根拠があります。この点は、しっかり押さえておきましょう。



407 関税法とお金にまつわる話(ドル紙幣の輸入)

2008-04-23 | 輸入
 GWが近づきました。読者の中には海外で過ごす方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 海外で行くときには、必要なお金をどうしてもっていくのか考えますが、多くの国では円の現金と、カードがあれば用は足りますが、やはりドル紙幣は世界共通で使えます。

 私なども、ドル払いに備えてドル紙幣を持っていくために、日本の両替店でドル紙幣を購入することがありますが、あのドル紙幣は輸入されたものですが、ああいうドル紙幣の輸入手続きや、輸入に当たっての関税・消費税はどうなっているんのかを考えたいと思います。

 実は、かずさんは、商業ベースの紙幣の輸入なんてやったことがありません。以下は、調べたところこうだろうとの推測が入っています。違っていたら是非指摘下さい。

1 紙幣の輸入も通関手続き

 ドル紙幣や、日本銀行券などは、日常的に輸出入されていますが、これらは関税法上のれっきとした貨物ですので、関税法第67条の輸出入通関手続きが必要です。

 HS番号は、4907.00-000 の「郵便切手、収入印紙その他これらに類する物品(発行国(額面で流通する国を含む。)で通用するもので使用していないものに限る。)これらを紙に印刷した物品、紙幣、銀行券及び小切手帳並びに株券、債権その他これらに類する有価証券」です。

 税関のホームページで、先ほどのHS番号の輸入貿易統計を見たところ、2007年で128億円の輸入総額で、うちフランスからが119億円、米国からは6億円となっています。

 う~ん!!ドル紙幣の輸入申告価格は、どういう計算になっているんでしょう?額面じゃなく、KG当たり幾らなんてことになっているんでしょうか。

(注)現金や有価証券を携帯して出入国する場合、100万円超のときは税関に届出がいることはご存知ですね。

2 関税率、消費税率
 
 先ほどのHS4907.00は、基本税率が無税になっています。ま~そうでしょうね。株券や紙幣を輸入したら関税がかかるなんて変ですよね。

 消費税ですが、有価証券や、紙幣、トラベラーズチェックなどのお金そのものの譲渡や輸入については、非課税になっています。ま!!(^^)!これも分かりますね。「消費って感じがしないですよね。
 余談ですが、趣味で集めている記念通貨や、古銭などの譲渡や輸入には消費税がかかりますよ。
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 今や、日本の輸入構造は、総額の80%近くが関税無税です。したがって、輸入品の税金というのも関税よりも消費税が金額でも上回っています。

 次回は、消費税の課税のことを取上げてみましょう。