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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

447 品目ごとの平均実行関税率

2008-06-24 | 輸入
 445、446と関税について、切り口を代えて見てきました。今回は、引続き、関税について品目ごとの水準を研究します。

 関税率は、HSの品目毎に法律や協定(ウルグアイ・ラウンドの合意、経済連携協定(EPA協定))によって決まっています。

 品目毎に関税が高い低いを議論する時には、二つの概念が使われます。

一つは、「関税負担率」といって、関税額を分子に、その輸入額を分母に除したもので、まさしく輸入時に負担した関税の率です。ちなみに、日本の全輸入の関税負担率は、2006年で1.4%でした。

もう一つは「平均実効関税率」で、各品目の関税率を単純に足し合わせて品目数で除したもので、日本の全品目の平均実効関税率は6.7%でした。

この二つは、いわば貿易額のウエイトをつけた加重平均と、単純平均との関係とも言えそうですが、品目ごとの平均実効関税率の資料がありましたので、大くくりの品目毎の状況を見てみましょう。

問 次の10品目について、平均実効関税率が A 10%以上、 B 5%以上 C 2.5%以上
D 2.5%未満 に分類してください。


①農産品(除く水産物) ②水産物 ③石油 ④林産物・紙・パルプ ⑤繊維及び衣類 ⑥ゴム、革及び履物 ⑦金属 ⑧化学品 ⑨輸送機械、機械類及び電気機器  ⑩ 土石類・貴金属等

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輸入品の日本での販売価格は、元の輸入価格、円への為替レート、関税・消費税等の輸入税、輸入経費、利潤などで決まっていきますが、ガソリン価格の高騰は、元の輸入価格の上昇を近頃の円高では相殺できなかったことが原因です。

 先日、ヨーロッパの著名ブランド品の販売価格を代理店が引き下げたとの報道がありました。
ユーロが円に対してかなり高くなっているのに何故かなと感じて記事を読みますと、売れ行き不振とのこと、やはり需要減少のインパクトは大きいですね。原油も需要を絞る努力が必要なんでしょうか?

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答 
A 10%以上・・・①農産品19.0% ⑥ゴム・革・履物 15.1% 
B 5%以上 ・・・②水産物5.9%  ⑤繊維及び衣類 6.6%
C 2.5%以上 ・・・⑧化学品2.5%
D 2.5%未満 ・・・③石油1.7% ④林産物・紙・パルプ1.8% ⑦金属0.8% ⑨輸送機械0.1%・機械類0.0%・電気機器0・2% ⑩土石類、貴金属類0.9%



446 関税率が規定されている法令とは?

2008-06-23 | 輸入
 蒸し暑い日が続き、どのように寝れば快適な朝が迎えられるのか試行錯誤の夜になっています。
 前回は、関税の8形態について、適用される品目を考えましたが、今回は、関税率の規定されている法令についての学習です。

(注)関税の8形態:スライド関税、従価従量混合税(複合税)、差額関税、従価税、 季節関税、従量税、関税割当制度、従価従量混合税(選択税)

通関業の企業で、通関に携わっておられる方は、関税率を調べる時に日本関税協会発行の「実行関税率表」という厚さが5CMぐらいの本を使われていると思います。

 関税率には、基本税率、協定税率、暫定税率、発展途上国向けの一般特恵税率、近年の経済連携協定(EPA協定)に基づく特恵税率がありますが、これらの具体的な税率は、どの法律に書いてあるか、直ぐに出てきますか?

 実は、筆者にもとっさに言われると、あれ!どうだったかなと思う事柄ですが、関税法には、関税率が書いていないことは読者の皆さんもご存知でしょう。

 関税定率法と、関税暫定措置法には、別表があってそこに税率が一杯書いてあることは見たことがありますね!

基本税率は関税定率法に、暫定税率と、一般特恵税率とは、関税暫定措置法に書いてあるんですが、では、協定税率とEPAの特恵税率は、法律には書いてありません。

この二つは、条約を直接適用して、条約の関税率がそのまま輸入申告時の関税率になっています。つまり、協定税率は「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の1994年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第38表(日本国の譲許表)」を直接適用していますし、EPAの特恵関税率は日タイ経済連携協定のように、それぞれのEPA協定の税率を直接適用しています。

 そしてこんな適用をすることについて、関税法では

第三条 輸入貨物(信書を除く。)には、この法律及び関税定率法 その他関税に関する法律により、関税を課する。ただし、条約中に関税について特別の規定があるときは、当該規定による。

との規定があるんです。めったに読まない規定ですが、な~るほど!ですね。

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445 関税のあれこれ・・問題形式

2008-06-20 | 輸入
  大雨の被害が出ている地域がありますが、皆さんのところは如何でしょうか?
 私の住む町では、本格的な降りにはなっていませんが、週末はどうでしょうか?

さて今日は、関税の設定形態と、品目例です。

問 A群の品目について、対応する関税の形態をB群から選びなさい。

 A群  バター、バナナ、塩、精製銅、牛肉、綿糸、豚肉、コーンスターチ用とうもろこし

 B群  スライド関税、従価従量混合税(複合税)、差額関税、従価税、 季節関税、従量税、関税割当制度、従価従量混合税(選択税)

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受験勉強されている方は、B群の関税の形態が、それぞれどんなものかご存知だと思います。
「従価」とか、「従量」という漢字からでも、価格が課税標準になっているもの、個数や容積などの数量が課税標準のものというのは想像できると思います。

 季節関税は、季節で関税率が違うもの、関税割当制度というのは割当があってその割当の中か外かで違うもの、混合税は従価と従量の両方の設定があって、そのどちらかが適用されるものや、両方が適用されるもの ということも想像できますね。

 ちょっと分かりにくいのは差額関税とスライド関税でしょうか?
差額関税は、輸入品の価格と、一定額との差額を税額とするものです。
 
スライド関税は、輸入品の価格が高くなるにつれて税額が減少していく価格帯(スライド部分)がある関税です。

 一般人からは、何故、こんなにいろんな形態があるのかとの疑問が有ると思いますが、品目毎に異なる色んな国内産業事情や、需給状況などを背景に、あれこれ知恵を絞って設定してきたということでしょうね!
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バター(従価従量混合税(複合税))
バナナ(季節関税)
塩(従量税)
精製銅(スライド関税)
牛肉(従価税)
綿糸(従価従量混合税(選択税))
豚肉(差額関税)
コーンスターチ用とうもろこし(関税割当制度)



436 不当廉売関税の暫定課税決まる!

2008-06-09 | 輸入
秋葉原の無差別殺人は、かずさんも休みの日にぶらぶらしていたところですから、驚きと怒りを感じます。平和で安全だった日本の社会が、変化しているようです。

6日のニュースで、財務省と経済産業省が不当廉売関税(アンチダンピング関税)を暫定発動すると発表しました。

・ 対象は、「電解二酸化マンガン」
・ 対象国は「オーストラリア、スペイン、中国、南アフリカ共和国」の4カ国、
・ 不当廉売として一般関税率にプラスして課される関税率は、国によって14.5%から46.5%
・ 暫定期間は4ヶ月 です。

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主に乾電池の正極材料に使われる電解二酸化マンガンは、国内では東ソー(株)、三井金属鉱業(株)などが生産しています。

輸入量は、2004年度の9225トンが、2006年度に15160トンと64%増加しています。2007年1月に製造者の課税申請を受け同年4月から調査を開始し、1年経過の本年4月には調査期間を6ヶ月間延長していましたが、このたび、暫定課税に踏み切ったものです。

 調査は、当局から利害関係者(国外の供給者、国内の輸入者、生産者、マンガンの使用者)合計98社に対して質問状を出して回答を求めたりですが、やはり、国外の供給者からの回答ははかばかしくないようです。

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日本での、不当廉売関税はこれで4例目ですが、暫定発動は初めてです。
ご承知のように、不当廉売関税は関税定率法第8条に根拠があり、暫定発動は同条第9項で、「調査完了前に・・不当廉売関税に関する政令第17条に規定されている4月間、暫定的に課するものです。

これから、1ヶ月間反論を受付、不当廉売の事実が覆されなければ、暫定から確定措置に切り替え、最長5年間追加の関税が課されます。

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不当廉売関税などの、特殊関税制度は、制度自体が極めて専門的でなかなか取り付きにくいですが、こういう、実例があったときに頭の体操をすれば、少しは身近に感じるのではないでしょうか?





425 報道を教材にした勉強(2)・・本物と思って注文したらニセモノが送られてきた。

2008-05-23 | 輸入
 前回に続き、昨日の報道からの勉強テーマです。
「偽バイアグラ横行 大半が中国産・・・健康への被害懸念」の見出しが出ていましたが、今や、ネットで外国のものを注文して購入するのは、とても多くの人が利用しています。

 このような購入を、通関手続という点から分析すると 輸入通関の方法は 
①大きなロットで販売業者の名義で
②ネット注文を出せば、その個々人宛に外国から郵便や宅急便で送られてくるもの。に大別されます。

今回の医薬品は、薬事法で「「業」として医薬品を輸入する場合は、原則として関税法第70条の規定によって、税関が他法令確認の一環として製造販売業許可等の薬事法による許可や承認があることをチェックします。

このため、医薬品は、一般の会社が大ロットで輸入しておいて注文に応じて国内発送する方法が取れませんので、バイアグラに限らず、漢方薬、その他薬事法が適用されるモノの輸入は、許可を受けた正規輸入業者以外は、個人輸入の形式で輸入されます。

薬事法が適用されるのは「業」としての販売や輸入ですから、「業」でない例えば、個人が自分用に輸入するのは薬事法外のことになるからです。

では、個人が自分用なら、1年分をまとめて輸入したりは出来るのでしょうか?答えはノーかもしれません。

例えば、神経痛によく効くような軟膏が中国で販売していてこれを1年分60個輸入しようとすると、原則として厚生労働省の地方出先(地方厚生局)に書類を提出して、「業」としての輸入でないことの証明を受けて輸入通関の際に税関に確認を受ける必要があります。

このような、わざわざの厚生労働省の証明を受けなくても、一定範囲なら、特例的に税関の確認だけで輸入できますので、普通はこの範囲で個人輸入されており、また、ネットで個人輸入の代行を受ける広告でもこの範囲が明記されています。

この一定範囲とは、
①軟膏などの外用薬なら標準サイズで24個以内
②処方せん薬なら、1か月分以内
③これ以外の医薬品なら2か月分以内
④化粧品は標準サイズで24個以内
⑤医家向け以外の医療器械 例えば使い捨てコンタクトレンズなら2か月分以内 とされています。

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法令の構造を学んだところで、元に戻りますと、今回の偽バイアグラの輸入は、個人輸入の形式で通関したもののようです。

 したがって、形式的には、個人の名義で、関税法第69条の8の「輸入してはならない貨物」の知的財産権を侵害する物品の輸入の申告をしたことになりますので、関税法の罰則の対象は、第一義的には注文した個々人ですが、輸入名義人はいわば騙された人で、違法性はないと考えられます。
悪い人は、偽者であることを知っていた中間の業者でしょう。

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如何でしたか?

新聞の社会面の、なにげない記事を取上げてみましたが、私が書いた以上にも掘り下げは出来ます。最近では中国の冷凍ぎょうざの事件もありました。

 貿易手続きにおいて、税関とその他の関係官庁との仕事が、どういう役割分担になっているのか?
 税関がその役割を果たすことが出来るために、関税法などがどのような規定をおいているのか?

この様な感覚や好奇心で見ていくと、楽しくない法律の勉強にも、少しは面白さが出るのではないでしょうか?

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平泉が、世界文化遺産への登録が「延期」に・・との報道がされています。石見銀山の例もありますから未だ分かりませんが、このGWで訪れた、かずさんとしては残念。