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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

399 関税割当制度(TQ制度)について

2008-04-14 | 輸入
今日は!きょうは関税制度の中では、古くからありますが余り知られていない制度を取り上げて見ます。
 
関税の重要な機能に国内産業の保護というものがありますが、その保護の仕方には色んな方法があります。

ある日本伝統の商品Aをイメージして、

① Aの国内産の価格は、外国産とほぼ同じです。
② Aについては国内需要の1%を供給する能力が国内に残っています。
③このため、残りの99%は輸入に依存しますが、Aを使って国内で加工する実需の産業向けには、低い負担で輸入を認めてAについての国内需要量を確保し、
④ 実需でもない、一般の輸入には高関税をかけたい
のような行政的な要請が有るとします。こういう場合によく使われるのが、「調整金」制度や「関税割当制度」です。

先ほどのAは、「生糸」が近いものです。生糸や絹製品はかって日本の伝統的な産業で、絹糸にして着物などにしていますが、今や絹製品のうち純国産の生糸を使っているのは1%に満たないようです。

 私たち消費者は、高価な着物なら生糸から国産と思っていますが、ほとんどの絹製品の生糸は外国産と想像したほうがいいかもしれません。

 生糸の輸入については日本の伝統的な産業を守るため、生糸の実需者輸入制度が取られていましたがこの4月から法律(生糸の輸入に係る調整等に関する法律)が廃止され、関税割当制度に移行しました。
 
  では生糸の関税制度がどう変わったか見てみましょう。
(従来)
①(独)農畜産業振興機構による輸入   関税無税
②絹業の者や団体が輸入するもの    関税無税+畜産振興機構に190円・KGの調整金納付
③一般の輸入   関税3068円/KG+調整金3910円/KG
(現在の関税割当)
① 関税割当を受けた者の輸入  関税無税
② その他   関税6978円/KG    

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 関税割当制度は、一定の輸入数量の枠内については無税や低税率(一時税率)を適用して、需要者に安価な輸入品の供給を図り、他方この枠を超える輸入は高税率(二次税率)を適用して国内生産者の保護を図ろうとするもので、具体的には「関税割当制度に関する政令」に出ています。
 
  ウルグアイ・ラウンドで関税化を進めたときに品目数が増えて、農水省所管の農水産品がほとんどで(19品目)、その他は経済産業省の所管物資である皮革と革靴の2品目だけになっています。
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 2007年12月4日の関税外国為替等審議会関税分科会の資料を見ていると、小売で50万円の着物の加工工程の価格が出ていましたので紹介します。

  一枚の着物が出来るまでは ①養蚕農家が繭5.5KGを製糸工場へ売り(販売価格550円) ②製糸工場で1KGの生糸にし(同3100円) ③ 織物工場で織り(同12000円) ④画き、染めなどの加工して一反の生地が出来(同150000円) ⑤集散地問屋の手を経て(同250000円) ⑥小売店の店頭へ(50万円)という流通経路のようです。織物まではかなり低い値段ですが、これ以降の付加価値が大きいんですね・。






394 重加算税についての雑感

2008-04-07 | 輸入
関西のソメイヨシノは、今日からの雨で盛りを過ぎてしまいそうですが、読者の皆さんはそれぞれの花見を楽しまれたと思います。

 かずさんは、土・日、紅しだれやソメイヨシノ、山桜と、美味い料理と佳き風を求めてぶらぶらで、好天に恵まれすっかり日焼けしました。

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輸入税の申告納税方式の貨物について(したがって、賦課課税方式の入国者の携帯品などは非対象です。)、重加算税制度が新設されたのが平成17年10月でした。

それまでは、輸入税については重加算税がなく、悪質なものは犯則として税関長が「通告処分」という罰金相当額を納めることを命令し、これに従わないときは検察官に告発すると言うことになっていました。

つまり、税が間違っていた時は、過少申告加算税→通告処分(罰金相当額)→告発の順番で厳しい処分になっていましたが、平成17年の改正で通行処分がなくなり、過少申告加算税→重加算税→告発の順番になりました。

規定では、重加算税が課される場合は関税法12条で「税額の計算基礎となる事実の隠蔽、仮装」とされており、基本通達12の4-1では、より具体的に書いてあります。
そこで、輸入者から見れば税関が、事後調査などで見つかる申告の誤りについて、重加算税の賦課を実際にどれぐらいおこなうかは、関心が持たれていましたが、制度新設の初年度はそんなに、課税してなかったようです。

ただ、情報では、昨秋で2年が経過し、税関の姿勢も、ぼちぼち国税局の重加算税の課税状況なども参考に、当初よりは活用しだしたようで、通関したときのインボイス金額と決済額が違うようなことが発見されて、輸入後に事情変更があったということが説明しきれないようなときには、重加算税も覚悟しなければなりませんね。

昨年の11月に財務省が発表した18年7月~19年6月の税関の調査実績では、低価インボイスによる輸入申告が重加算税対象になったとされていました。
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国税の世界では、相続税では申告漏れの半分近くは重加算税の対象になっているようですから、誤魔化しているのが多いんでしょうね。



376 納税申告事項についての「事前教示」

2008-03-11 | 輸入
今日は! 先週の7日付けで関税法基本通達の事前教示の部分が改正されましたので、取上げてみます。

 申告納税方式が適用される貨物は、「納税申告」をする必要がありますが(関税法第7条)、この納税申告を適切に行えるよう、同上第三項に「税関の努力義務として関税率分類、税率、課税標準等の教示」を規定しています。これがいわゆる事前教示と言うものの根拠規定です。

 このように、納税申告を正しく行うための規定ですので、輸入の関税法以外の法令による規制(いわゆる他法令規制)の有無などの事前教示は、いわば付け足しのもので、これについて文書による教示というのは無いものです。

 分類については、古くからこの制度が利用されていましたが、最近では原産地、関税評価などについての利用も行われ、また、口頭での教示(回答)から文書による回答に重点が移っています。

 このような動きは、行政の透明性や、無用のトラブルを避けるという観点からは望ましいものです。
今回の改正内容は、詳細は基本通達(7-17以降)や今次改正内容をみてもらう必要がありますが、ざっくりは次のような内容です。

① 事前教示を受けると、その回答内容は公開されるのが基本ですが、
イ 照会者は、いずれの場合も非公開となります。
ロ 照会内容については、照会者が希望すれば最大180日間は非公開に出来ます。

② 照会してから解答までの期間について、次のように規定されました。
イ 分類や原産地は30日間以内の早期に
ロ 関税評価は90日間以内の早期に行う。  
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3月も中旬に入り、だいぶ気温の上がる日が増えてきました。関西の今週は、東大寺二月堂のお水取りが終わり、本格的な春の季節に入ります。





368 新しい日本版AEO制度―「特例委託輸入者」

2008-02-28 | 輸入
 今日は!引き続き関税法改正のないようです。
これも、関税法改正で4月から新しく発足する法律上の名称の輸入者です。

 「特例委託輸入者」は、改正後の関税法第7条の2の規定に出てくる用語で、輸入通関手続きを認定通関業者に委託して行う輸入者をいいます。

 つまり、申告納税制度が適用される貨物の輸入手続きは、基本的には輸入申告と納税申告とを同時に行うべきものを、あらかじめ税関長から承認を受けた「特例輸入者」と同じように、これらの申告を別途行うことが出来るものです。通関制度上は特例輸入者と同様の扱いになります。

 また、到着前の輸入申告が出来るとか、引き取った後の納税申告を一括して行うことが出来るということも可能です。
 
 ならば、「特例輸入者」と「特例委託輸入者」とはどう違ってくるのかと言うことですが、特例輸入者はその輸入者自体が法令遵守規則を定めコンプライアンスに優れていると認められますので、税関の審査・検査が基本的に省略されるようで、この点が大きく違うでしょう。
 
 この「特例輸入者」と「特例委託輸入者」とでどういう違いが生じるかは、これからの税関の説明などでより明確になると思われます。
 
 この特例委託輸入者になるためには、通関を依頼する通関業者が認定を受けておれば良いのですから、輸入者から見ればそうハードルは高くありません。このため、近隣からの輸入で、貨物のスピードにインボイスなどが間に合わず、とにかく貨物の引き取りをして納税申告は後回しにしたいなどのニーズには、マッチして行くのかも知れません。
 
  この制度が、どのように育っていくのかは、注目していく必要がありそうです。

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 朝青龍が関西空港で入国する際のマスコミへの発言が、また物議を呼んだり、「品格」がまた話題になっています。
 
 一流料亭や、老舗菓子店、や著名ブランド食品メーカーなどなど、あらまほしき立ち振る舞いを維持していくのは難しいんでしょうか。かずさんも自戒、自戒です。

 職場から見える梅林が徐々にピンク色に染まってきています、今年は去年に比し寒さが厳しいようですが、季節はめぐっていますね。
 
 日田の天領水といって、大分県日田のおいしい水が市販されていますが、ここは九州の小京都といわれ今頃は旧家のお雛様を拝見できます。なかなかいいところです、由布院や、黒川温泉に行かれた際は立ち寄られることがお薦めです。



357 食料自給率

2008-02-13 | 輸入
  米国民主党の予備選で、オバマ候補の選挙人獲得数がクリントンさんを上回ったとのことでしたが、これで大勢が決まっていくのでしょうか?

 冷凍ギョウザの事件以来、日本の食糧の自給に関心が集まっていて、かずさんも最近のブログで何度か周辺のことを取上げていますが、今日は、自給率のことを取上げます。

1 皆さんは、標準的なラーメンが、カロりーとしての日本産率(自給率)がどのぐらいかご存知ですか?なんとたったの4%と言うことです。麺がカロリーの大半で、小麦は輸入品が圧倒的だからでしょうね。
 

同じく、カレーライスは49%と言うことです。やはり、米の自給率が94%であることが反映しているんでしょう。 


2 食料自給率の計算は、①重量 ②カロリー ③生産額 の三つの方法がありますが、一般に使われるのはカロリーベースです。
 ちなみに、日本の自給率は、カロリーベースでは40%(平成17年度)、生産額ベースでは69%です。

3 日本の自給率は、日本万博の昭和40年度の73%から、現在の40%まで低下してきましたが、主要先進国ではフランス130%、アメリカ119%、ドイツ91%、英国74%、となっており、お隣の韓国は47%です。

4 このように急激に日本の自給率が低下したのは、食生活の洋風化が急速に進んだと言う特徴があり、自給率の高い米の消費が減り、自給率の低い畜産物や油脂の消費が増えたと言うことがあります。
 また、食料の消費傾向の変化以外にも、この消費の変化に生産が対応しきれていないことも要因と言われています。

最近は、惣菜、冷凍食品といった加工食品や外食が増えた中で、これまでの国内の生産では加工メーカーや外食店のニーズに十分応えてきていないと言うことがあるのかも知れません。

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日本への農産物の流入を、高い関税率や輸入割り当てなどで抑制しながら、一方では、アジアやこれからのマーケットに日本の工業産品への関税率低下を求めていくというのは、どこかで無理があるんでしょうね。舵取りが難しそうです。