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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

505 事前教示のあれこれ

2008-09-19 | 輸入
 今晩は!関税法第7条(申告)第3項に、税関の努力規定として納税申告について関税分類などの教示が規定されていることは、このブログでも何度か取り上げて来ましたし、ご存知のことと思います。

 この事前教示の詳細は、関税法の基本通達に書いてあって、HS分類(つまり関税率)、課税価格(つまり関税評価)と、数年前には経済連携協定(EPA)の進展とともに、原産地についての教示がメニューとなっています。

 かずさんは、こんな便利な規定があるんだから輸入するほうは、遠慮せずにどんどん使えばいいんじゃないか、それに、日本と外国で税表分類番号が違って、不当に高い関税をどこかで課されているということなら、どんどん日本政府に申し出て、政府間やWCOやWTOの場で調整してもらったらいいんじゃないかと思うんですが、企業側もなかなか腰が上がらないというのが、実態かもしれないですね。

 ある会合で、「関税分類の事前教示」の実態を数字とともに聞く機会がありましたので、数字は受け売りですが紹介します。

1 事前教示は、文書で照会して文書で回答をもらう「文書回答」と、電話などでj聞いて口頭で答えをもらう「口頭回答」がありますが、平成19年の実数は、文書回答が4691件、口頭回答が73181件です。

 納税者として、不測の損を被ったりせずに、安定して手続きをするためには、文書回答をもらうことが適当でしょう。ネットでの照会もできるようですから、港にある税関まで足を運ばなくてもいいような方法もありますから、研究したらいいですね。

2 役所から文書で答えをもらうためには、とかくお役所仕事で時間がかかって輸入に間に合わないという声が一部にはあります。
 
 税関にとってみれば、文書で回答するということは、口頭よりは慎重に、間違って解答するとまずいという判断が働くのは当然ですから、電話で即時に応答があるのとは違います。

 実態を見ると、19年度文書回答については、平均で15日間(受付から回答まで)で、3・4日から30日間ぐらいに分布しています。

 また、文書回答の請求があったもののうち、99.9%は30日以内で回答しているようです。

ただ、照会している側は、その答えで商取引の次のステップを進めるかどうか判断したりするわけで、勝手な言い分か知れませんが、聞いたら早く答えてほしいというのが本音でしょう。

 せめて2週間ぐらいで、回答があるというぐらいになればいいですね。平均で15日ということですから、ほぼ充足しているともいえますが、いろんな事情があったり、照会する側の税関からの質問への回答が遅いとかもあるでしょうが、7~8割ぐらいは2週間以内には回答がもらえるとありがたいように思います。
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 個人的な体験ですが、20年ぐらい加入している日本の大手生保と5年ぐらい加入している外資系生保に、まったく同じ内容で、同時にそれぞれ、医療保険の請求をしたことがあります。

 日本の生保は、請求書がついたころから振込みの案内が来るまでに2週間、外資系生保はなんと5日間ぐらいでした。

 支払いまでのはんこの数が違うのか、支払い事務の発想が違うのか、日本企業は遅いな~と感じました。
 税関は、港湾・貿易手続き関係の機関の中では、30年以上前にNACCSを稼動させるなど、迅速・簡易という点では先進的な役所ですが・・、これからもいろんな面で他の機関をリードする役目を果たしてもらいたいものです。

 そうそう、分類の事前教示制度は、今年の7月からはタイ税関でも始めたようですね。




502 ヨーロッパ諸国の付加価値税率

2008-09-16 | 輸入
 どうやら、日本の総選挙はそう遠くない時期と見込まれていますが、米国大手証券会社のリーマン・ブラザースの倒産で日本でも株価が急落しています。

選挙をするには良い環境とはいえませんが、日本の少子高齢化への福祉財源問題への対応では、時期は別として、いずれ消費税の引き上げは不可避のようです。

2008年1月現在の欧州諸国の付加価値税率は次のようになっています。

 勿論、食料品の軽減税率など色んな工夫がビルトインされているんでしょうし、かずさんは、別に消費税引き上げ論者ではありませんが、負担問題を先送りして次や次の次の世代が苦労するのも忍びないなと思っています。

 フランス19.6%、 イギリス17.5%、ドイツ19%、イタリア20%、スウエーデン25%、デンマーク25%

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税金の問題は、関税は公平という点では誰が輸入しても原則同じ税率です(関税割当制度のように、枠を持っている者の輸入とそうでない場合は大きく適用税率が違うということはありますが、原則は、どの輸入も同じです。)。

 ところが、所得税などの世界では、どれが公平なのか悩むようなことは頻繁にあります。
 例えば相続税というものがありますが、現在の相続税の世界では、遺産総額から基礎控除を差し引いて課税対象が決まります。

 今の基礎控除は、(5000万円+1000万円×法定相続人数)で計算されます。ほとんどの人はこの基礎控除を超えるような遺産は無縁ですから関係ありませんが、子供が一人の場合と三人の場合では基礎控除の額が異なり、当然相続税額も違ってきます。

 現在、政府では相続税額の税額計算方式の見直しが行われているようですが、税金の議論は難しいな~と感じますね。

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連休で訪れた立山連峰の室堂では、雷鳥を見ることができました。高山植物のチングルマは、みんな種子になっていましたが、遅くまで雪があったところでは、咲いていましたよ。






498 CO2対策と免税コンテナーの国内運送への利用

2008-09-09 | 輸入
 北京のオリンピック期間中は、市内への車の流入や、工場の操業への規制などで青空が戻ったようです。日本では大気汚問題の観点より、CO2を中心に地球温暖化への対処から産業、民生各分野でCO2排出の削減が課題になっています。

 大阪府では、2009年1月から府内を発着する排ガス不適合のバス、トラックについて流入規制を決定しています。

 このように、ロジステイクス分野でのCO2対策、燃料対策も急務になってきていますが、この場合はリードタイムよりも効率的な物流とか、空(から)状態でのトラック運行を極力避ける運用が大切です。

 関税関係法令は、この分野で寄与できることは余り多くはなさそうですが、気づいた一つにコンテナー条約による免税輸入コンテナーの国内運送への利用があります。




余り知られていませんが、国際輸送のコンテナーは、コンテナー条約と、「コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なわれる貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律」によって、日本での陸揚げの都度、三ヶ月以内の再輸出を条件に免税輸入されています。

ご存知のように、輸入貨物を詰めて日本に到着したコンテナーは、
① 港のコンテナヤードや、近辺の倉庫で貨物を取り出した後、空のままで又は輸出貨物を詰めて再輸出される場合と 

② 港から遠く離れた日本海の工場などへ運ばれて貨物を取り出した後、その工場で輸出貨物を詰めて港に返送されたり、空で港に返送されたりが、基本的な動き方です。

②はコンテナー輸送のメリットを生かせる方法ですが、問題は港までの運送です。

もし空で帰るなら無駄な動きで、デバンニング場所に輸出貨物がないなら、どこか輸出貨物があるところを経由して、できるだけ空コンテナーの運送は行わないというのが合理的です。関税法等はこのように、免税輸入したコンテナーを輸出貨物を詰込む場所に運送することについての制約はありません。

では、大阪港で陸揚げして免税輸入した実入りコンテナーを、滋賀県の流通センターまで運送して輸入貨物を取り出し、空になったコンテナーに岐阜の流通センター向けに国内運送する別の貨物を詰めて送り、岐阜で取り出して、空になったコンテナーを三重県の工場に送ってそこで輸出貨物を詰め込んで、最終的に神戸港のコンテナヤードから、中国に輸出する場合を想定しましょう。

免税コンテナーは無駄なく活用され、コンテナーを引っ張るドレーの燃料は効率的ですし、そのお陰で、これまで無駄があった他の運送を省略できるかも知れません。

前記の特例法は、「貨物の取出地から輸出貨物の詰込地まで通常の経路により運送される間において、一回だけ、国内運送に使用されるときは、免税の用途外とならない」(第8条)としています(つまりコンテナーを免税のままで国内運送に利用できる。)。

大阪港で陸揚げした、先ほどの例の場合、滋賀県の流通センターから岐阜の流通センター向けの輸出貨物でない貨物の運送は「国内運送」ですので、滋賀県(貨物の取出地)~岐阜県~三重県(輸出貨物の詰込地)の運送が「通常の経路により運送される間」かどうかがポイントになります。

このように、免税コンテナーについての効率的な運用面からは、国内運送に利用することへの制約を弾力的に認めるかどうか、税関の姿勢に負うところが大きいと言えるでしょう。
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 ネットの報道で、USA today などの世論調査では、共和党のマケイン氏の指示が民主党のオバマ氏を若干上回ったとか、(白人男性・ベトナム戦争のヒーロー+女性白人気鋭の政治家)と、(黒人男性の気鋭の政治家+白人男性、老練外交通)のどちらが勝つか、興味津々です。



473 セーフガードと関税割当について

2008-07-31 | 輸入
関税割当数量の枠内の輸入については、無税か低い税率を適用して安価な輸入品の供給を確保し、枠を超える輸入については高税率を適用して国内生産者を保護する関税制度の典型は「関税割当」制度です。日本の対象品目は、ミルクバター、麦芽、コンニャクいも、まゆなどの農畜産品が中心です。

話は変わりますが、読者の方に質問です。

 自由貿易を促進することを基本目的としたGATT体制の下では、自由貿易を推進する過程で思いがけず輸入数量が増えたり、輸入価格が低下したりして国内産業を緊急に保護する必要が生じることがあります。

 このような場合の対応措置としてセーフガード(緊急措置)が認められていますが、先ほどの関税割当と、ほぼ同様の国内産業保護機能を持っているセーフガード規定は、何でしょうか?日本ではどこに定められていますか?

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 一定量までは低い税率で輸入でき、一定以上では高い税率で国内産業保護の仕組みが、システム的に盛り込まれているセーフガードとしては、特別緊急関税制度でSSGと呼ばれています。

 このSSGは、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉から生まれたものでWTO農業協定に根拠があります。

日本では関税暫定措置法第7条の3、第7条の4に規定されていますが、
① 輸入数量が一定の発動基準を超えた場合(数量SSG)
② 課税価格が一定水準を下回った場合(価格SSG)
に、自動的に追加関税を賦課する仕組みになっています。
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 7月31日は、7番目の経済連携協定(EPA)が、ブルネイとの間で発効しました。
 (注)他の6カ国は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシアです。

 セーフガードは、WTOやEPAのような関税引下げの国際約束を実行することによる不測の国内産業保護の必要性に対処するための緊急措置です。

 EPA協定には、関税引下げの措置とともにセーフガードも盛り込まれるのが普通で、ブルネイとのEPAでも同じです。

このため、ほんのさわりですが、セーフガードについて取り上げて見ました。






451 価格調整金と寄付金の損金不参入とは!

2008-06-30 | 輸入
日本の大企業が国税当局から、海外取引きに関連して法人税の追徴を受けたことが、時々報道されます。追徴の理由は「国外関連者への寄付金として認められなかった」と言うことが書かれていたりしますが、どういうことでしょう?と言うのが、今回のテーマです。 
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 7月4日まで、国税庁がパブリックコメントの意見募集をしています。

案件は「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の改正案などですが、上記のような国外取引きについての租税特別措置法(租特法)の適用などについての指針となるもので、経済界の強い関心を集めている問題についてです。

 日本の親会社が、海外子会社で製造した製品を輸入することは広く行われています。

 この場合、子会社に資本金の50%を超えて出資している場合は、その子会社は租特法では「海外関連者」とされ、このような親子会社間で売買、役務の提供などが行われたときは、同法第66条の4(国外関連者との取引きにおける課税の特例)の規定の適用に関連して、いわゆる移転価格税制の適用の問題があります。

 例えば、海外製造子会社から輸入したものについて、輸入後に「価格調整金」などの名目で貨物代金を追加支払いすることがあります。

 この場合、その追加支払いが合理的な理由による取引き価格の修正に該当するかどうかが租特法第66条の4の特例規定が適用されるかどうかのポイントです。

 この合理的な理由かどうかは、パブリックコメントに供されている要領の改正案では、支払いの理由、事前取決めの有無、算定方法、計算根拠、支払いを決定した日、決済日などを総合的に勘案して検討するとされています。

 そして、もし合理的な理由がないと認められると、その支払いは寄付金として損金に算入することが認められない・・・つまり法人税法ではその支払いが損金とならず収益として課税される・・・ことについて検討が加えられます。

 冒頭の「国外関連者への寄付金として認められなかった」と言うのは、こういうことを指しているようです。勿論、この価格調整金だけではなく、親会社が子会社に行う色んな支援などの役務の提供などについても同様の検討が行われます。

 国外関連者ではない無関係の者に対しては有償で提供するのが通常の役務を、国外関連者の海外子会社に無償で提供したら、損金に計上できない寄付金だと国税当局からは指摘される可能性があるということです。

 親会社は、海外会社に経営、製造、販売色んな局面で、多様な支援を無償で行うでしょうから、このような税の側面も研究して対処していく必要があります。

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 なお、輸入時の関税、消費税については、一般に価格調整金のような、輸入後の別途支払いがあれば、それは現実支払い価格の一部ですから、修正申告して追加納税する必要があります。

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梅雨の晴れ間を利用して、京都・妙心寺の沙羅双樹の寺 東林院に行ってきました。
平家物語の「祇園精舎の・・・」で有名な沙羅双樹は夏ツバキの木ですが、多くの方が訪れていました。ただ、樹齢300年の古木は3年ほど前に枯れてしまったようです。

 写真の、地面に見える白いのが、落花した花びらです。

 蓮の花も開きかけていましたよ。